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【若手社員が勝手に"イケてる企業のC.I.を切る"!】 「第81回:株式会社 ユナイテッドアローズ」

今日は 若手社員の私が、成長している企業のC.I.を紹介します。若者に人気なアパレルブランドを展開する企業です。
第81回は、流行に即した若者が憧れる服を販売している「株式会社 ユナイテッドアローズ」」です。

ミルボン

【企業概要&沿革】
*「ユナイテッドアローズ」は、東京に本社を構え、紳士服・婦人服および雑貨等の企画・仕入および販売を行っている会社です。売上高は869億円で、BEAMS(ビームス)、SHIPS(シップス)とともに"セレクトショップの御三家"と呼ばれています。セレクトショップ業態の中では最大手と言えます。ここ福岡に、博多駅や天神の中心街など、複数店舗を構えています。「ユナイテッドアローズ」の特徴は、決して安売りはせず、流行に即した若者が憧れる服を販売している点です。高付加価値かつオンリーワンの 魅力的な商品を、百貨店と専門店の中間に位置する中高価格 帯で展開しています。「ユナイテッドアローズ」は、「セレクトショップ」という業態を展開し、ブランドのコンセプトに基づくバイヤーの 目利きにより調達した商品を提供しています。ファストファッションが増える中で、「ユナイテッドアローズ」の様な企業は年々 減少しています。

*沿革を辿ると、1989年10月2日に、元BEAMSで 現「ユナイテッドアローズ」の会長である「重松 理氏」らが、BEAMSからバイヤー30名を引き連れ離脱する形で立ち上げたのが始まりです。「重松 理氏」は、大学卒業後は婦人服メーカーに入り、1976年にはBEAMSの設立に参画しました。 そして、「洋服だけではなくライフスタイル全般の豊かさを提案していきたい」という想いで、1989年に「ユナイテッドアローズ」を創業しました。 ちなみに、この時に独立した理由は、BEAMSのやり方と合わずに、半ば喧嘩別れという方になりました。
海外の 「豊かさ」 を求め、日本に入ってきていないものを店頭に並べました。 そこから日本の生活に合ったものが残り、スタンダード(定番) になっていくんですけど、それが面白い。 ただ、 海外の製品は輸入のコストが嵩むので本当の価値よりもどうしても価格が高くなってしまうんですよ。 それが本当に申し訳なくて・・・なので日本に準ずるオジリナル企画のものを作って、価値と価格が見合ったものを提供しようということになりました。 この2つの要素が上手く絡み合って、 相互補完するという形で

*社名の由来
ユナイテッドアローズという社名には、ひとつの目標に向かって直進する矢(ARROW)を束ねた(UNITED)ものという意味が込められています。それぞれ個性をもった人間である従業員が共通の経営理念(志)を目指す。そうした従業員の集合体がユナイテッドアローズである、という人材に対する考え方を表したものです。

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【市場の分析】
*1990年代から2010年ごろにかけて、業界全体の売上が減少傾向にありましたが、その後、コロナ禍前までの数年間は、ほぼ横ばい状態となっていました。(参照:経済産業省資料P5)
アパレルのECについては、消費者がインターネット経由で衣服や靴を購入する機会が増え、EC化率が年々上昇していました。新型コロナウイルス感染症対策の緊急事態宣言の発令で、実店舗の売上はモロに影響を受けましたが、コロナ禍でもアパレルのECの市場は、拡大傾向となったのです。

*「ユナイテッドアローズ」は厳しい時代を迎えています。
何故なら 国内の「人口減少」です。少子高齢化に伴い、人口の現象はもちろんのこと、流行に敏感な若者が減っているからです。しかしそれだけは、ありません。十数年前までは、ブランド品や高級なファッションアイテムを多く所有することが、ステータスとなる時代でした。そのため、ファッションにたくさんのお金をかけ、ブランド品で着飾る人も珍しくなかったのです。しかし、近年では「モノへの執着」自体が減り、いわゆる「ミニマリスト」的志向が市場に浸透していることも挙げられます
高級衣料品が売れにくい時代になったのです。以前は「低価格商品は品質が悪く、長持ちしない」という常識がありましたが、最近ではユニクロやZARAなどを筆頭に、ファストファッションの高品質化が進んでいます。低価格で機能性が高くさらにデザイン性も優れた商品の普及は、あえて高いものを買わなくも良いと考える消費者の傾向を生んでいます。そうして年々、消費者の低価格志向が進んでいるのです。

*そんな中では、日本外のアパレル業界の海外展開ですが、アジアへの販路拡大が積極的に行なわれています。特に中国や東南アジアに向けた展開が増加しています。
またこれまで、アパレル産業は、製造工程での汚染水、温室効果ガスの大量に発生や、動物の皮や毛の使用、在庫の大量廃棄などが問題視されていました。
2019年の主要7ヵ国首脳会議の「ファッション協定」をきっかけに、サステナブルファッション」への注目が進んでいる点も見逃せないポイントです。

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それでは ここで、「ユナイテッドアローズ」の、"イケてるC.I."の一部を紹介します。
【経営理念】
●「真心と美意識をこめてお客様の明日を創り、生活文化のスタンダードを創造し続ける。」
真心と美意識をこめた「ヒト・モノ・ウツワ」を通じてお客様一人ひとりが自分らしく装い、暮らし、心豊かな明日を過ごしていただく。
私たちは、それを積み重ねることで世界を豊かにし、輝かせることができると信じています。
そして、この信念に向かって、束ねた矢のように突き進んでいくことで世の中になくてはならない、生活文化のスタンダードを創造し続けます。

【社是】
●「すべてはお客様のためにある」

【商品開発理念】
●「トラッドマインド」=「歴史と伝統をリスペクトする。そこに革新性を加えることで、新たな伝統を作っていく」に合わない商品を売らない。

【社会の約束】
●「5つの価値創造」
◯お客様価値
◯従業員価値
◯取引先様価値
◯社会価値
◯株主様価値

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【若手なりの成長理由 分析】
ここからは、若手なりに「株式会社 カネカ」の成長理由を、仮説ですが "3つ"上げさせて頂きます。
先ず、結論からいうと…
◆1.「O2Oをビジネスに積極的に取り入れている点!」
◆2.「細かくターゲットを分けて、それに即した複数の店舗展開を行っている点!」
◆3.「社内管理と外部管理を明確にし、社内人材の育成に注力している点!」
の"3つ"です。それでは、1つずつ見ていきます。

◆1.「O2Oをビジネスに積極的に取り入れている点!」
*O2Oとは、「Online to Offline」の略で、Webサイトやアプリなどのオンライン(Online)の場から、店舗などのオフライン(Offline)の場に消費者を誘導する施策を意味します。「ユナイテッドアローズ」のO2Oの施策として、一部の店舗で商品の在庫を調べる業務に、iPhoneを使い在庫管理システムを売り場のどこからでもアクセスできる点があります。例えば「この商品のSサイズはありますか?」とお客さまから店頭で聞かれた場合、その商品のタグに記載されている商品コードをiPhoneに入力すると画面上に、その商品の現時点での在庫数が表示される仕組みになっています。つまり、従来の「申し訳ございません。在庫がないようです。色違いでしたらございますが、お持ちいたしましょうか?」などの「無いから諦める」という選択肢ではなく、次の接客チャンスに活かすことができるのです。
また「ユナイテッドアローズ」の店頭販売では、試着はしたものの購入に至らなかったお客さまに、試着品の品番メモを渡すというサービスがあります。お客さまは、品番メモからECサイトで商品を検索し、他ブランドの商品も含めて帰宅後にじっくり比較検討することができ、その結果 店舗で購入できなくても、ネットでいつでも注文可能になります。

*「ユナイテッドアローズ」のネットショッピングサイト「UAオンラインストア」で商品を見て、実店舗で現物を受け取りたい、 試着したいという場合には、お客さまが指定した実店舗にその商品を送付するサービスもあります。そのため、お客さまは ネットで気になった商品を実際に手に取ってみて、商品の確認や、販売員によるコーディネート提案のサービスを受けることができます。販売員が品番を渡すサービスがリアル店舗で購入を迷ったお客さまをECサイトへ誘導する取り組みなのに対し、こちらはECサイトで購入を迷うお客さまをリアル店舗へ誘導する取り組みです。ある意味 他の企業でも挑戦できる施策ですが、「ユナイテッドアローズ」は、この面倒なことに対してどこよりも真面目に取り組んでいます。

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◆2.「細かくターゲットを分けて、それに即した複数の店舗展開を行っている点!」
*「ユナイテッドアローズ」のターゲットは、ファッション感度の高い消費者であり、価格や基本的な機能で洋服を選ぶ人たちではありません。「ユナイテッドアローズ」では このセグメントを、「トレンドマーケット」、あるいは、「半歩先を行く」と表現しています。「ユナイテッドアローズ」には、17のブランドがあり、それぞれが異なる価格帯にポジショニングしています。主力ブランドのうち、最も高い価格帯に位置するのが、シルバーアクセサリーと革製品をメインに取り扱うブランド「クロムハーツ」であり、次の価格帯に「ユナイテッドアローズ」と「ビューティ&ユース ユナイテッドアローズ」があります。中価格帯は「ユナイテッドアローズ グリーンレーベル リラクシング」で、「ユナイテッドアローズ」ブランドの30%ほど安い価格設定がされています。
実は一つの企業でこれだけのブランドを展開することは滅多にありません。多くの企業ブランドは、性別や年齢、ファッション・テイストで、ざっくりセグメンテーションすることが多い一方で、「ユナイテッドアローズ」のセグメンテーションは、一つのターゲットに合わせて、一つのブランドを展開しています。これは複数のターゲットに向けにブランドを作ると、結局 特徴がないブランドを作らざるを得ないからです。結局、一つのターゲットに対しては一つのブランドを展開することが一番効率が良いと考えています。


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◆3.「社内管理と外部管理を明確にし、社内人材の育成に注力している点!」
*「ユナイテッドアローズ」は、製造プロセスを外注していますが、生産管理者は全て社内に置いています。独自に「生産プラットフォーム」という商品管理支援システムを開発し、工場の選択、材料の調達計画、製造費用の管理などに役立てています。その為、独自に開発した「MDプラットフォーム」という商品管理支援システムによって、1年52週のマーチャンダイジングと在庫を計画・管理を支援することが可能になっています。具体的には、全事業で統一された進捗管理表と指標を提供することで、売れ筋商品の追加生産、死に筋商品の消化促進対策などのための判断を支援できます。そして これらのマーチャンダイジングは、本部と現場の頻繁なコミュニケーションによって、頻繁に調整され、市場の変化に対応しています。

*「ユナイテッドアローズ」は人材開発理念として、「創造的商人」を掲げています。「創造的商人」とは、「CSマインド、商売マインド、クリエイティビティマインドを併せ持ち、何かひとつの分野での専門性を持ちつつ幅広い分野に精通している人」を指しています。販売員への認証制度として、「ユナイテッドアローズ」は、セールスマスターを設け、販売員の動機づけと育成のマイルストーンとしています。
企業内には教育機関「教育機関束矢(たばや)大学」を設置しています。ここでは「ヒト、モノ、ウツワ」を切り口とした研修を提供しています。例えば接客(人)であれば、関連技術として、メジャーリング、品質表示、購買心理等が学べます。これらは 社員だけでなく、全てのアルバイトも受講可能になっています。「店はお客さまのためにある」という経営理念の浸透を図るため、販売スタッフの教育訓練への投資を強化しているのです。

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◎と言うことで…
*「ユナイテッドアローズ」について調べましたが、実は 私もよく「ユナイテッドアローズ」で洋服を購入します。その際にいつも感じることが、扱っている洋服のコンセプトにズレがないということです。その理由が、歴史と伝統をリスペクトし、そこに革新性を加えるという「商品開発理念」がしっかり定義されているからであり、これに合わない商品は取り扱わないという約束があることが、何よりの強みだと思います。
その上で、どこよりも早く新しい取り組みをされています。例えば オンライン・ファッション・モール(ゾゾタウン)や駅ビルなど、新しい流通チャネルへの取り組みで、セレクトショップとして最も早く対応することで有名です。他にも、オンラインショップと実店舗のシームレスな統合など、大手企業でありながら、過去の成功体験だけに拘らず、新しいことに取り組む企業文化が、企業の成長を支えているのだと思います。

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◯それでは 最後に、C.I.について、若手なりに一言いわせて頂くと…
とにかくC.I.にこだわりを感じます。特に私が驚いたのは、C.I.の中に洋服に関する言葉が一つも出てこない点です。つまり 「ユナイテッドアローズ」さんでは、洋服を扱っているというより、洋服を通して 生活文化のスタンダードを創造するという目的であり、その手段として洋服を扱われているからだと思います。その証拠に、C.I.の中に「真心と美意識をこめた『ヒト・モノ・ウツワ』を通じて」とありますが、ヒトは接客・サービス、モノは商品、ウツワは施設・空間・環境を表しています。つまり、「ユナイテッドアローズ」は、モノとして洋服だけでなく、生活文化のスタンダードを創造するためのトータルプロデュースを目指しています。
また 出来れば、あくまで参考程度にですが、コンカンが提唱するC.I.と、御社のC.I.を、一度 照らし合わせて頂けると有り難いです。
*concanが考えるC.I.とは?
https://www.concan.co.jp/post/topics-ci
長くなりましたが、以上です。

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