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【若手社員が勝手に"イケてる企業のC.I.を切る"!】 「第87回:株式会社 大源味噌」

今日は 若手社員の私が、成長している企業のC.I.を紹介します。なんと創業から約200年の歴史を持つ老舗企業です。
第87回は、味噌を中心とした発酵食品を、全国の高級和食店やお寿司屋さんに販売している「株式会社 大源味噌」です

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【企業概要】
*「大源味噌」は、本社を大阪に構え、味噌を中心とした発酵食品を製造・販売している企業です。「大源味噌」の特徴は、厳選した材料を使用し、手間ひまを惜しまず作り上げていることです。甘味が自慢の白味噌をはじめ、濃厚な旨味の本格的赤だし味噌等、有名料亭や著名な寿司屋で、昔から 愛されている凄い老舗企業です。また、お歳暮をはじめ、四季に合わせたご進物として、一般消費者からも人気を得ています。

【企業沿革】
*「味噌」そのものは、日本の食文化を代表する調味料であり食材の一つですが、最近は スーパーやコンビニでも手軽に買えます。その為、昔ながらの伝統的な製法で作られた味噌は、段々 少なくなっているのが現状です。そんな中、1823年創業の「大源味噌」は伝統の味を守り続ける一方、味噌の文化的価値をさらに高めようと様々な取り組みを行っています。

ここで、「大源味噌」の歴史を紹介します。
「大源味噌」の起源は江戸時代の1823年にまで遡ります。「竹島 平助氏」という人が、自家製の味噌を天秤棒を担いで売り歩いたことが始まりだと伝えられています。明治時代に入り3代目にあたる「竹島 源蔵氏」によって「大源味噌」の基礎が確立されます。「竹島 源蔵氏」は、人を雇い入れる時に必ず「おまえは一升分のめしが食えるか?」と聞いたそうです。というのも、当時の味噌作りは大変な重労働で、それだけに"食欲旺盛"で丈夫な身体を持った人材が必要だったのです。「竹島 源蔵氏」は、素材や製法には一切妥協しない、とても厳しい考えを持っており、それが今も「大源味噌」の基になっているそうです。

明治時代には、すでに「大源味噌」の味噌は、食の都・大阪の高級料亭や旅館などで使われるほどになっていました。しかし 「竹島 源蔵氏」はさらに陸軍省とのビジネスを始めます。明治36年には、大阪で開催された「全国勧業博覧会」に出品し、優秀賞を受賞。これらの展開により、「大源味噌」は大阪はもちろん、日本全国に広く親しまれるようになりました。
大正時代に入ると海外輸出に取り組みます。当時ロサンゼルスの埠頭に「大源味噌」の樽詰が積み上げられたのを見て、アメリカ在留の邦人が驚いたという逸話もあります。「大源味噌」の優秀さは、「頭の悪い者は『大源』へ行って脳味噌を入れ替えてもらえ」という笑い話もあるほどです。その後も「竹島 源蔵氏」の精神は受け継がれ、味噌だけでなく醤油の製造を行うなど、事業も拡大していきました。

しかしそんな順風満帆と言えた「大源味噌」に悲劇が訪れます。 太平洋戦争によって、「大源味噌」は その全てを失ってしまったのです。終戦後の全くの焼け野原だった土地で、「大源味噌」は再スタートを切ります。食糧難のため、原料の調達もままならない中で、昭和25年に復興を果たします。この戦後の時代は、高度成長とともに人々の食生活が西洋化し、和食離れが起こりました。その為、「大源味噌」にとっては恵まれた環境とはいえない時代です。スーパーでは、"だし入り"の味噌が売られ始めました。しかし「大源味噌」は戦前に比べれば規模は違うものの、ずっと今の土地に根を張り、こだわりの味噌を提供し続けてるのが、特徴です。他にはない「大源味噌」ならではの味、創業してから今まで、大事に受け継がれてきた味を大切にしたいという想いを大切にしているのです。

【味噌の日本における市場規模】
*先述した通り、「味噌」業界は厳しい立場にあります。全国に於ける「味噌」の出荷量は、2000年には「約50万トン」あったものが、2020年には「約40万トン」となり、ここ10年で20%の減少が見られています。その一方で伸びているのが、「即席味噌汁」です。味噌の利用の大部分は、味噌汁です。以前は、その味噌汁も しっかりと固形味噌から研ぐのが一般的でしたが、最近は 核家族化に伴い、「即席味噌汁」に移行しているのです。その「即席味噌汁」市場は、毎年前年比で5%ほど増加しています。更に ここ最近は、コロナ禍で内食需要が高まったことで新規ユーザーが増え、飲食店や事業所での食事機会が家庭内にシフトし、自宅での喫食機会の増加も後押ししたと言えます。
「大源味噌」が製造している、料理の至る場面で使える昔ながらの固形味噌は、年々 消費が減っていっているのが現状です。

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それでは ここで、「株式会社 大源味噌」の、"イケてるC.I."の一部を紹介します。
【企業理念】
「お味噌で 心豊かな 人創り」
味噌が持つ未知なる可能性を追求し、新たな価値を創造していくことで人々の暮らしの質を心身ともに向上させていく

【経営理念】
「全従業員の物心両面の幸福を追求すると同時に、健康で豊かな人類・社会の進歩発展に貢献する。」
大源味噌ではここで働く人々全員の物心両面にわたる幸福を追求することを目的としてこの会社を運営していきます。
経済的な安定や豊かさを求めていくとともに、仕事に向き合うことでの自己実現を通して、生きがいや働きがいといった人間としての心の豊かさも求めていくということです。そして同時に、味噌や麹製品などの発酵食品をあらゆる方法を考え探求し、商品を世に広めていくことによって、大源味噌を発展させ続け、社員一人一人が安心して未来を託せる会社にしていかなければいけません。そして、心も身体も健康で豊かな人類・社会が進歩発展していくように貢献していくのです。


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【若手なりの成長理由 分析】
ここからは、若手なりに「株式会社 虎屋」の成長理由を、仮説ですが "3つ"上げさせて頂きます。
先ず、結論からいうと…
◆1.「『美味しいものを作ること』に徹底的に拘っている点!」
◆2.「『美味しいものを作ること』以外は、全て変えて良いという柔軟性を大事にしている点!」
◆3.「不器用なまでに真面目な職人を大切にしている点!」
の"3つ"です。それでは、1つずつ見ていきます。

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◆1.「『全国のお客さまの要望に応えるために、経営をスリム化している点!」
*先述した通り「大源味噌」は、大阪では歴史の長い味噌屋です。大正時代には海外輸出にも取り組み、味噌だけではなく醤油の製造も始めるなど、事業を着々と拡大していました。しかし 現在は、製造は日本各地にある他社の蔵に委託しています。それは、太平洋戦争によってすべてが灰燼に帰してしまったからです。1950年に現在地で再スタートを切りますが、「蔵を持たない味噌屋」という独自路線を歩むことにしたのです。

*勿論、自社で味噌を製造したいという思いもありました。しかし 味噌創りには広い土地が必要で、設備投資もしなければいけません。あれこれ考えた結果、逆転の発想で「こんな都会でやっている味噌屋は他にない。都会の味噌屋だからこそできることをやろう」という考え方に至ったのです。その為 現在では、取引のある味噌メーカーは、北は仙台から南は鹿児島まで十数社あります。原料の配合割合や使用する原料を指定するほか、昔ながらの味噌づくりにこだわるメーカーの逸品を選りすぐっています。このように、設備投資を行わず、本当に信頼している味噌メーカーに委託することで、取引先に柔軟に対応できるのが、「大源味噌」の強みと言えます。

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◆2.「味噌のプロフェッショナル『みそソムリエ』の存在を武器に、様々な媒体で販売していること!」
*「大源味噌」には、味噌のありとあらゆることに精通した味噌のプロフェッショナル、「みそソムリエ」が存在しています。対面販売を行なっている「大源味噌」にとっては、お客様の様々な質問に的確に答えられる知識は必要不可欠なのです。また 今では、本当に味噌にこだわりを持っている会社だけが取引先になっています。このような方々と取引するには、詳しい味噌の知識が必要となります。

*また 今回のコロナ禍に於いては、オンラインショップの更なる充実を図ろうとしています。そして、それぞれの商品の特徴を説明したり、実際に使ったりしている様子を撮影して、その動画をYouTubeで紹介したりと、うまく お客さんとの意思疎通を図っています。さらに、さらなる販路の拡大を狙って海外進出も視野に入れています。2013年には、「和食」そのものがユネスコ無形文化遺産に登録されて以来、世界各地で和食レストランが急増していることも理由の一つです。先ずは アジアを中心に、直営店を出すことも視野にいれながら、少しずつ 飲食店やホテル等、B to Bの開拓を行なっています。

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◆3.「伝統だけに拘らず、革新を追求する商品開発を行なっている点!」
*「大源味噌」は、伝統を大切にしながらも、時代の潮流に合わせて新たな商品開発を行うことを大切にしています。その一例が、「アミノみそ」の開発です。これは 関西大学との共同研究により、数ある乳酸菌の中から選定した ある乳酸菌を仕込み時に同時に使用して醸造するという通常では考えられない製造技術を開発しました。この結果、これまでにない「D-アミノ酸」("旨味成分”のもとであり、その他 美容効果もある)を醸造中に産生させることができます。このような画期的な味噌の製品例はこれまでになく、既存の味噌製品と大きく差別化された製品開発に成功したのです。これにより、健康志向・美への意識の高い日本人だけでなく、全世界の人々へ味噌の新たな魅力や価値を伝える大きなきっかけにしています。

*「D-アミノ酸」とは、通常のみそに含まれている様々なL-アミノ酸とは違い、自然界に多く存在するいわゆる必須アミノ酸なのです。近年「D-アミノ酸」は、その機能性 又は 呈味性に関する研究が進展していて、「D-アミノ酸」の様々な生理的機能が発見されています。人間に含まれる「D-アミノ酸」は、加齢とともに減少することが発見されていて、肌機能を低下させる酸化を防ぐ効果や、ハリや弾力のある肌に欠かせないコラーゲンの産生を促進する美肌効果が、L-アミノ酸より優れていることが分かっています。つまり、美味しいだけでなく、人間の健康や美容にも良い、画期的なミソを開発したのです。


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◎と言うことで…
「大源味噌」を調べましたが、伝統に甘えることをせず、常に新しいことに挑戦されていることに魅力を感じました。しかし モノづくりに於いて、絶対に必要なことは「良いものを創る」ということだと思います。「大源味噌」で言えば、美味しい味噌を創り続けるということです。「大源味噌」さんの場合は、味噌のインスタント化が時代のトレンドになる中でも、企業の存在意義である「美味しい味噌創り」に拘り続け、その味噌創りの中で 革新を追求し続けると言う、変えるべきところと、そうでないところがはっきりしていることが凄いと思いました。

因みに、私は「味噌汁」が大好きで、毎夕食で必ず口にしています。「味噌汁」は体を温めてくれますが、同時に心も温めてくれるものだと思います。味噌汁を飲んだ時のホッとする気持ちや安心感は、隣の人に優しくなれる魔法なものだと思います。その味噌汁のベースである、味噌を創り続けている「大源味噌」には、自然と愛着が湧きました!!

◯それでは 最後に、C.I.について、若手なりに一言いわせて頂くと…
シンプルな言葉で表現されていて、実直、誠実、忍耐、といった想いが読み取れるC.I.だと感じました。つまり 「大源味噌」美味しさの秘密は、企業としてのC.I.の志の高さにあることが伺えます。決して 時代のトレンドに流されるわけではなく、しっかりと根を張りながらも、美味しい味噌創りの為に革新を追い求める姿勢は、このC.I.から来ているのではないでしょうか?その結果、「大源味噌」は、ミシュランガイド掲載三ツ星店に高い評価をうけ使用されるようになりました。
ただ 一つ気になったのは、今では 味噌以外の発酵食品に領域を広められている点です。この事自体は、決して悪い事ではないのは当然ですが、企業の存在意義である「企業理念」と相違が出てきてしまうところが気になりました。「企業理念」は、企業活動の判断軸になるものですが、その「企業理念」と「実際の活動」に乖離が出てしまう事で、従業員さんなどにも戸惑いが生じる可能性があります。しっかりと、この機にC.I.を見つめ直し、それに伴った戦略作りも必要だと感じました。
若者が、生意気ばかり言って、本当にすみません。。。

また 出来れば、あくまで参考程度にですが、コンカンが提唱するC.I.と、御社のC.I.を、一度 照らし合わせて頂けると有り難いです。
*concanが考えるC.I.とは?
https://www.concan.co.jp/post/topics-ci
長くなりましたが、以上です。

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