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New Education Expo 2016 in 東京レポート その1

 2020年から大学入試が変更になるということを耳にしたことのある人も多いのではないでしょうか。センター試験が無くなり、新しい評価方法を採用したテストが導入されるというものです。今回の「New Education Expo 2016」は新テスト導入に向けての説明が中心となっていました。

 登壇をされた鈴木寛氏は、「1700年代の後半以来、250年ぶりに世界の歴史が大きく変容している、というところが高大接続システム改革の背景にあり、明治以来の教育も根本的に考え直さなくてはならない。」と説明をしてくださいました。では、その歴史的な大きな変容とは何なのでしょうか。そこから説明をできればと思います。

 歴史的な大きな変容として、AIの進歩が挙げられていました。感じている人も多いかもしれませんが、言われたことをしっかりとこなす技術というものは、AIにすべて取って代わるといっても過言ではないでしょう。昔の駅改札では駅員が切符を切っていましたが、自動改札機が生まれた現在では、そんな駅員を見ることは少ないかと思います。これと同様の現象が、今後ものすごいスピードで起こってくると考えられています。仕事が変化するということは、価値観が変化するということで、教育も変化をしてくるということではないでしょうか。

 では、技術の進歩によって様々な仕事が生まれて、無くなっていくなかで、人間の仕事とは何なのか。どんな教育が必要なのか。「New Education Expo 2016」では、前提というものが通用しなくなる社会になり、スピードや効率ではない能力が必要になってくるとして、「0から1を生み出す力」「複雑性、不確実、多様性が増える社会で対応をしていく力」「答えのない問題に向き合える力」などが挙げられており、教育の質が変化してくるのだと実感しました。

 社会的な大きな変容によって、20世紀のより正確にというマニュアル型の教育から、21世紀という不確定要素が溢れる中での教育、必要スキルの変化に対応するものが、高大接続システム改革なのです。具体的な変化内容としましては大きく2点あります。

 1点目は「学習指導要領の抜本改革」。いわゆるアクティブラーニング教育を取り組むために、教科・科目の見直しを行います。具体例として「歴史総合」という暗記型の歴史ではなく、歴史思考力として近現代史を範囲として行うものや「数理探求」という科目が増える予定だといいます。詳しい内容の発表はありませんでしたが、ある事柄について自分なりの考え、レポートなどにして発表・議論してゆくものなのではないかと、私は説明を聞いて感じました。

 2点目は「大学の入学者選抜改革」。授業以外の活動を評価(内申書)が重視され、マークシートの代わりに白地の答案用紙への回答記入増えていきます。内申書に関しては、学校内外の活動などにもしっかりとした評価をつけるようにし、主体的に多様な他社と交流をできるようなスキルを身に着けてほしい、ということでした。そのためには大学としても、こんなような学生が来てほしい、というのを学部ごとに明確に打ち出して、受験生を選抜していかなくてはいけませんし、高校側としても学生の活動を正しく評価をしてあげる必要があります。白紙答案の実施に関しては、マークシート型という選択肢の中で間違い探しをする20世紀型の学習思考ではなく、自分で文章を理解し、自分自身で回答を見つけ出すという21世紀型の学習思考を養っていきたいということでした。

 しかしながら、現状問題がいくつかあるといいます。大きなものとしては、教員の改革があります。現在の教員は20世紀型の教育を長年学習、指導と行ってきた人々なので、教育の質が変化したときにその変化に対応ができるのかという問題です。現に新テストの導入に関して、公立学校校長会と文部科学省が対立をしてしまっている現状があるといいます。そのほかにも、アクティブラーニング教育の押し付けや、形だけ真似て満足をしてしまうような、負のスパイラルを生み出してしまう危険性もあるために、教員へ正しい教育という部分が、高大接続システム改革を行っていく中での重要な課題だといいます。

                            文責 吉池

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