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CB未来会議 1 「Payming」の衝撃 5月9日

 新しい時代を作っていくためのキーマンが集まったネットワーク。それがコンセプト・バンクです。その中でも新しい動きをしている人をピックアップして講演会を行うものが「CB未来会議」です。今回は第一回目として日本企業で初めてロンドンのLevel39(金融テクノロジーに焦点を絞ったインキュベーション施設)へ入居が決まったキズナジャパン代表の高崎義一さんに新事業である「Payming」についてなど今後の展望を含め、桜新町駅近くにある桜神宮でお話をいただきました。

① ブルーカラーに対するサービスを提供したい

 高崎さんは高校を卒業後、建設会社や飲食店で働いていましたが、阪神淡路大震災で被災しました。その際に多くの仲間に支えられたことがきっかけで「働いている人が報われる社会を作りたい」ということで勤怠管理サービス会社としてキズナジャパンを立ち上げました。しかし起業をして最初に感じたことは多くの大卒者に囲まれ、高卒ということの劣等感だったと言います。しかしこのギャップが成功のヒントでした。いままで高崎さん自身がブルーカラーとして働いてきたからこそ見えてくる視点が労働者目線に立った勤怠管理サービスには不可欠だったのです。結果、世界で初めてマウスで線を引くだけでシフトが作れる仕組みを作り上げました。現在では18万人の人々が利用しているといいます。

② 海外への視点

 高崎さんは次から次へとより、労働者に寄り添うような勤怠管理システムを作り上げました。そんなある時に海外で給料を電子マネーで支払うサービスが流行っているということを耳にしまして高崎さんは驚いたと言います。なんとこの仕組みは高崎さんが数年前に考えた仕組みそのものだったのです。しかしこの仕組みを日本で実現しようとしたときには、法律で縛りがあり現実には至りませんでした。そこで高崎さんは日本にとらわれていたことに気が付き海外の勤怠管理サービスにも目を向けるようになってゆきました。そこで生まれてきたのが「Payming」です。

③ 「Payming」と今後の展望

 「Payming」とは労働をして給与が発生する際に、企業から銀行への振込を行い、労働者は銀行から給与を引き出すという従来の方法ではなく、個人が企業の口座から自分の給与分を引き出し使うことができるという決済サービスです。日本ではほとんどの人が銀行口座を持っていますが海外では銀行口座を持てずに日雇い労働から抜け出せず貧困にあえいでいる人が多くいるというところに注目したのです。

 この「Payming」は移民政策に大きな衝撃を与える可能性があります。なぜなら移民も銀行口座はもちろん仕事もろくにないのが現状です。国の政策でシリアから大量の移民を受け入れているヨーロッパ諸国にとって移民の仕事という部分はまさに対策を考えていたところであったのでしょう。2016年4月に行われたTechCrunch最大のイベント「GlobalSummit 2016 London」において「Paymmig」を発表した際にはドイツ、フィンランド、イタリア、オランダ、特にイギリスからは熱心なアプローチを受け、シリコンバレーに次いで海外拠点をロンドン、金融街のど真ん中に持つことができました。

Paymming」のすごいところは決済サービスだけでなく、顧客の買いものデータも把握できるために細かなマーケティングをとることはもちろん、人事データなども公開をすることにより、今まで住んでいた人たちに対してはどういう人なのか素性が分かるために安心を与えられますし、移民の方からは新しい仕事や地域に入っていくきっかけにすることもできます。

 まさに貧困と格差をなくすための革命となるようなシステムであり、勤怠管理という企業の中での給与計算でしかなかったシステムを、ビックデータとして活用することにより働き方で個性を生み出すという、世界の「働く」をテーマにしたビジネスモデルを生み出そうとしています。

 そして最終的には宗教も政治も関係ない道徳的な教育システムを作りたいと、さらに大きな夢を掲げたところで今回のCB会議は終了いたしました。講義が終わると観客からの質問攻めで行列が生まれ、有意義な会になっていたのではないでしょうか。

 高崎さんは5月末にはロンドンへ拠点を移されます。今後どのような成長をするのか注目をしていきます。

■高崎義一

 57年熊本生まれ。熊本工業インテリア科卒業。建設会社就職後、20歳の時に独学で居酒屋を始める。30歳の時には、フランチャイズオーナーとしてモスバーガーを3店舗経営。その際に勤怠システムを活用人件費削減に成功。

 95年に阪神淡路大震災により被災。全店舗が半壊状態となり、一時は経営困難に陥るも仲間の支えのおかげで持ち直し、勤怠管理サービス会社としてキズナジャパンを創業。

 15年にはドレミングプロジェクトを始動。日本企業で初めてLevel39への入居が決まるなど活躍の場を世界に広げている。


高崎さん

高崎さんと橘川さん

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