中小企業の人事制度設計の現状

本日は標題のことについて。
まずは適正労働分配率の話から。

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適正労働分配率

弊社が人事制度(評価や給与の仕組)設計に入らせて頂く際に一番最初に確認させて頂く事がこの労働分配率である。

適正労分配率がどの程度であるのかはその時々
(支援先の状況や業界標準等を鑑みて)によるが、それは確実に存在する。

人件費比率が低く、個々の給与が高い状態を目指したいが中々そうはいかない。(優良企業と言われるところで労働分配率が10%代のところもあると言えばあるが中小企業ではレアである。)

売り手市場の現在では、人件費比率も給与も高止まりしているところが殆どである。

そんな状況から企業としてどの様な状況が理想で、その状態に達する為に
何をすべきか、人事分野ですべき事は何か、考えていく工程が必要である。

制度ありきの考え方ではうまく行きづらい

人事制度は評価・報酬・職位等を決定するものであるが、肝心の経営戦略や人事戦略が見えない状態では制度が浮いてしまう。

まずは経営戦略の方向性を定め、人事戦略の方向性を決定し、人材定義と
その見極めをする必要がある。

とまあ、教科書的にはそんな感じであるが、中小はこれを「なんとなーく」やっておりそれが、まあまあ当たっている事が多い(経験から創業社長等は出来ている事が多い)。

しかし、オーナー企業ではなかったり、2~3代目となったりするといよいよこれを体系的に捉えていかなくては回らなくなる事が出てくる。
そこで思いついた様にミッショングレードだ、ナインブロックだとやっても的外れとなる。

悪いのはツールではなく、経営戦略から人事戦略から実現したい事を定まっていない事が悪いというケースも多々あるからだ。
成果と行動、そしてポテンシャル、評価の軸は戦略と結びつき、企業によって全く異なるものとなる。

悪いのはツールではない

人事制度には様々なツールがあり、古臭いだの時代遅れだの言われているが
様は使いようである(実現したい事は何で、戦略は何かから何を評価するのか等上記の通りである)。

弊社はそれらのツールを人事制度におけるコミュニケーションツールだと捉えており、それが出来て戦略と結びついていれば何でも良いと思う(極論すぎるので誤解があるとは思うが)。

評価者同士で被評価者の事を上手くディスカッションでき、被評価者に上手くフィードバックが出来る事、そしてそれが育成に結びついている事、これが大切である。
例えばGEが用いていた事で有名になった9ブロックであるが、現在流行りの制度かというとそうではないだろう。

しかし、ツールとしてはとても優れた点が多く

・自社で求めるコンピテンシー(行動特性)がわかる
・伸ばす人材、手放す人材がわかる
・絶対評価の中で相対評価を人事を尽くして行う事ができる
・本人へのフィードバックがしやすい(納得感も得られやすい)

を実現できる可能性を秘めたツールである。
可視化という点でも中小企業に導入しやすい側面が多く、過去に2社程弊社も導入支援をさせて頂いた。

大切なのはコミュニケーションで、そのツール運用の為には

・日ごろの行動観察
・進捗サポート

無しには人事評価制度は骨抜きになってしまう。
結局はアナログのスキルが要求されるのはどのツールを用いても
同じである。

悪いのはツールではない。

複数の目を入れる仕組み(評価者間誤差修正)

中小企業では評価者が複数人いるというケースは稀である。

「事業部長がそう言うなら・・・」

等と1人の評価でそのまま決まってしまうケースも多い。

だが、セッションCではないが、複数人による評価が実現できなければ
妥当性が揺れてしまう。

なぜその評価なのか?
なぜその人を放出するのか?
なぜその人を昇格昇進させるのか?

成果を見たのか、行動を見たのか、ポテンシャルを見たのか、
部門によってもバラつきが出る事が普通なので、独裁企業では無い限り
評価MTGは是非行って頂きたい。

成果を出していて行動基軸が伴っていない方の対処

数字は出しているが、態度が悪いとか会社の決まりを守らない等行動基軸が
低い方をどの様にすれば良いか、悩ましいところである。

中小企業では、言葉ではダメと言いながら行動はそうなっていない
(つまり基軸がしっかりと固まっていない、あるいは努力目標的なもの)
ところも多いので更に悩ましいものとなる。

更に、数字を出す人はやはり超大事なので、行動はどうでも良くなってしまうところも多い。

それに加えてこの人材難。

もう経営者の悩みは底知れぬものとなる。

では、そんな方をどうするかというと、結論どうにもならない。
経営者が強い心で行動基軸を打ち出していき、それを守らせるか
それを我慢するかは経営戦略次第となる。


カトキチ@組織・人材開発コンサルタント

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