内分泌かく乱物質:ホルモンバランスを乱す化粧品成分
そもそも、内分泌ってなに?
内分泌系とは、人間の体内でホルモンを産生・貯蔵・分泌する腺や臓器のネットワークのこと。
内分泌系が正常に機能することは、人間の身体にはとても重要。なぜなら、これらが他のシステムとも連携して、健康的な発育と機能を調節しているからです。
内分泌かく乱物質とは
体内の内分泌系の正常な働きを乱したり、邪魔をする物質。自然界に存在するものと、人工的に作られたものがあります。
人工的に生産される化学物質のうち、なんと1000種類以上が内分泌かく乱物質。食品、化粧品や日用品、おもちゃ、容器などに含まれています。
この物質は口からの摂取だけでなく、皮膚から吸収されて体内に侵入することも。多くのものに含まれているため、私たちは無意識のうちに日常的に接触しているのです。
内分泌かく乱物質が人体に与える影響
内分泌かく乱物質は、体内のホルモンの働きを邪魔します。ここで知っておきたいのは、物質によって異なる方法で邪魔をすること。
例えば、ホルモンを真似するような作用があるもの。この場合、体内のホルモン量が実際よりも多いと身体が誤って認識してしまいます。
あるいは、体内でのホルモンの産生、分解、貯蔵方法に影響を与え、血液中のホルモン濃度を増減させるものもあります。
そうしてホルモンが乱されると、次のような影響が出る可能性が。
神経系機能の変化
免疫機能の変化
がんや呼吸器系との関連
糖尿病や肥満
心臓血管系の疾患
発育障害
学習障害
精子の質の変化
生殖能力の変化
性器の異常
子宮内膜症
胎児や子供への影響
胎児の発育期や小児期に内分泌かく乱物質への暴露量が多い場合は、特に心配。
身体が成長する時期は、ホルモンが臓器の形成と発育を調節する時期。そのため、この時期に影響を受けると、それが長期に及ぶ可能性があるからです。
多くの種類の内分泌かく乱物質は、胎盤を通過します。そして、胎児の循環器系に濃縮されることがわかっています。
また、母乳を通じて乳児に移行する可能性も指摘されています。
微量だったら大丈夫?
近年の研究により、内分泌かく乱物質と健康への悪影響を結びつける証拠は増え続けています。
でも実は、その因果関係はまだ完全には解明されていません。
しかし、体内のホルモンレベルは、わずかな変化であっても人間の健康や身体に影響を及ぼします。そのため、たとえ微量であっても体内の繊細なシステムに影響を与える可能性はあると考えられています。
特に、発育中の胎児や乳児は化学物質に対して脆弱。そのため、低濃度であっても影響を受ける可能性はあります。
内分泌かく乱物質の疑念がある化粧品成分
様々な懸念がある内分泌かく乱物質ですが、実は化粧品成分としても使われています。疑念があるものは、その安全性が立証されるまでなるべく避けたいもの。
下記の成分は内分泌かく乱物質の可能性があるとして、EUで検証が優先的に待たれています。
全成分表示に記載がないか、確認してみましょう。
オキシベンゾン
コウジ酸
メチルベンジリデンカンファ
トリクロサン
レゾルシン
オクトクリレン
トリクロカルバン
ホモサレート
サリチル酸ベンジル
ゲニステイン
ダイゼイン
また、次の成分も将来的にEUで公式な検証が予定されています。
ブチルパラベン
BHA
メトキシケイヒ酸エチルヘキシル(オクチノキサート)
メチルパラベン
シクロメチコン
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