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ピンク色の季節に

住み慣れたこの家にサヨナラなんて 簡単な事ではないでしょう 春が来れば南の窓辺で 「桜が綺麗だ」と言えるのは ずっと当たり前だと思っていたわ 摘み取った蓮華は忘れないように 携帯ケースに閉じ込めて 暮れ行く夕日のオレンジは  思い出と一緒に部屋の中 口では言えない感謝の言葉を そっと手紙に忍ばせて この家のどこかに隠しておくから  いつか絶対見つけてね 離れる事は分かっていたのに  ずっと知らないフリをしてたでしょう いつも近くに感じすぎてて  気付けなかったいろいろを

    • ファーストデートは凍えそうで

      1月も終わる寒空の下 午前1時  寒さを耐え抜くふたりは浜辺の上  背中には ダウンジャケット越しに砂浜の感覚 ”星がきれいだ ”寒いね” と さっきからそればかりなのは  本題に入る合図なのか さては  本題を引き延ばす口実か あなたがこちらに伸ばした左手を わたしは何故だか左手で受け取って 上手く絡められない指たちが  ただただ寒そうでかわいそう 行き場をなくした二文字が  かすかに海へと消えて行きそうで 捕まえなければと起き上がった瞬間

    ピンク色の季節に