5万のワンピースを初めて買った話
こんにちは。
minneでハンドメイド作品を販売しているコノカです。
5歳児の男の子を育てていて、汚れる覚悟のある服ばかり選んでいます。
そんなただの主婦であり、ママである私には、ちょっとドキドキすることがありました。
55,000円のワンピースを購入したのです。
結婚式などのお呼ばれ服でもない。
コートのような暖房の機能性があるわけでもない。
洗濯不可のデリケートなワンピース。
しかも、着る予定がない!!!
浪費家ではありません。
服にこだわりもありません。
普段であれば買わない品物です。
55,000円って私には高額だし、身の丈に合わない気がした。
それでも購入を選んだ理由は、ハンドメイド作家として「自分にご褒美アイテムを買う女性の気持ち」を体験しようと思ったからです。
デザインやものづくりをするとき、別ジャンルの物事を自分ごとに変換するように心がけています。
ワンピースをお買い物した出来事が、ハンドメイド販売にも変換できるはず。
ターゲットやペルソナを詰められていない方には、私の行動を参考事例にしてくださいね。
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ショップ店員さんが見つけた私の悩み
「綺麗な色合いのスカーフがある。」
スカーフに呼ばれたようにショップに、足を踏み入れた。
赤青緑黄色紫、、、
私は多様な色を使ったデザインが苦手なので、「カラフルで綺麗だな」と思うものは観察するようにしています。
そこはデパートの、普段足を踏み入れない、高めのお店でした。
人気のいない平日のお昼時間、ショップ店員の女性に声をかけられました。
雑談をしながら、私はこんな話題を話しました。
産後、服にこだわらなくなった。
産後の体重増加から体型が戻らず、自分に自信がなくなった。
無地の地味な服を着るようになった。
スカーフだったらワンポイントに使いやすいなぁ、、、
これ、私の悩みです。
ショップ店員さんの、悩みを聞き出す能力が高い!!
今の私はベストな状態じゃない。
でも、今が一番若いし、過去の栄光に囚われていることも気付いている。
ショップ店員の女性は「そうなのねそうなのね」と聞いて、自然と私の情報収集をしていました。
それから、「見てほしいワンピースがあるの」と紹介してくれました。
それが運命の出会いでした。
絵画のようなオリジナルプリントのワンピースでした。
無地が好きって言っているのに、派手な柄だらけのワンピースを出す!?
一瞬呆れたものの、見れば見るほど惹かれるものがありました。
どうしたら、こんなにワクワクする柄を作れるのだろう?
私いつの間にかヒアリング(要望の聞き出し)をうけて、ポンと要望に対して答えを提案されていました。
ものを売るのであれば、自分が好きなものではなく、相手が求めているものを差し出すといいます。
接客業の技を感じた瞬間でした。
百聞は一見にしかず、百見は試着にしかず
「試着してみる?」と勧められて、私、断ったんです。
柄物はあまり着ないので、、、って。
ちょっと派手すぎるかも、、、って。
買わないかもしれないし、、、って。
「いいのよ、試着はタダなんだから」って、試着させていただきました。
私の怖気付く心を軽くしてくれる、一番欲しかった言葉かもしれません。
その日は偶然が重なっていました。
普段はフルメイクをしていない時の方が多いんです。
ハンドメイド作家をしていて、人に会わないものだから。
でも、この時は違いました。
美容室に行ってきた帰りで、髪は最高にベストな状態。
ヘッドスパもしてもらって、むくみスッキリ。
だから、試着しても、着せられている感がないというか、着こなせたんです!笑
もーもーもー、心がキュゥッとする可愛いワンピース。
袖を通さないとわからなかった、袖や裾のシルエットの丸み!
デザイナーさんの細部までのこだわりを、ちゃんと受け取ることができました。
なにより、着ている私が可愛い!!
派手じゃないかしら?
変じゃないかしら?
購入の迷いも、結局「使っている自分が可愛いかどうか」。
試着を通して、服が語りかけてくるような不思議な体験をしました。
ぽっちゃり体型を包み隠すそのワンピースが、「太っていてもいいんだよ」って語りかけてくるんです。
体型カバー率200%です。
でもさ、55,000円もするよ。ひいいい。
いい服とは、出会い
私、産後太りをきっかけに、服への意識がネガティブになっています。
私にとって服は消耗品です。
消耗品に55,000円か、、、
デートがあるわけでも、勝負する日があるわけでもないのに。
私は、一度帰って、冷静になって、考えることにしました。
1日なら取り置きできる、と言われました。
そのブランドのカタログの一枚目を飾る、今シーズンメインのワンピースでした。
「1ページ目の商品は力が入っているのですぐ売れる」
私は帰って、そのブランドについて調べました。
ホームページには最低限のことしか書いていませんでした。
代わりに、ホームページの情報が1だとして、ショップの女性は100語ってくれました。
そのワンピは毎年出てくるシリーズもので、今回の柄は建物だけれど、お寿司の時もあったし、野菜の時もあった。
もし私が見かけたワンピがお寿司柄や野菜柄だった場合、こんなにときめきませんでした。
私は建築が大好き、元インテリアデザイナーです。
デザイナーがこだわっていて、縫製の強度の確認のため、ぐいぐい何度も確認している事も、同じものづくり人としては魅力的でした。
もしかして、服は出会いなのかな?
そう思って、帰宅し、「これはアパレルショップの店長をしている友人に話さないと!」と、ワンピースとときめく出会いをした話をLINEしました。
彼女は、「服は出会いなんだよ!」私の心を代弁してくれました。
彼女が運営しているアパレルショップは、一着5〜10万円の服を扱うお店です。
このご時世、服が売れなくなってきた話を聞いていました。
着ていく場所がないので、店舗は縮小し、撤退し、存続の危機だと聞いています。
服に興味を持たず、流行も置き去りにされた私には、
「そんな服、どんな人が買うのか想像つかない」
高貴な人たちに違いない。
友達は私が購入を悩んでいるワンピースの画像を見て熱弁してくれました。
そっか。
今まで、お呼ばれ服やおめかし用の服しかお金をかけたことがありませんでした。
ダウンやコートも機能性にしかお金をかけてこなかった。
でも、そのよそ行き服って何回着ただろう?
着る機会が多い服にお金をかけてもいいかもしれない!
私にとって、新世界の幕開けです。
何より、買おうと思ったきっかけは、その服を見ているとクリエイター魂がファイヤーするんです。
私に自信を与えてくれる服。
いいもの作ろうって影響を受ける服。
部屋に飾るアートみたいな服。
こんな服を着ているハンドメイド作家になりたい。
アラフォーの仲間入りをして、着る服を少しずつ変えて、お洒落なシニアになろう思った服。
改めてショップへ行きました。
店員さんから「〇〇様!!」と名前をよんでもらえました。
数日だけど、覚えていてもらえるって嬉しいことですね。
「この服は、30代から80代の方も着ています。
長く着れると思うので、楽しんでくださいね」
店長の女性も綺麗に歳をとっていました。
こんな女性になりたいな。
このアートを纏ったようなシニアになりたいな。
年齢を重ねることを、ポジティブに想像してお買い物をしました。
語りかけてくる作品をつくりたい
お洋服も、アクセサリーも、ネイルも、バッグも、もしかして何か語っているのかも。
私が買ったワンピースのように、体型がぽっちゃりでも包み込んでくれて可愛くしてくれる、心の広さを持っているのかも。
そんな作品作り、していきたいです。
そして、こんなチャレンジな買い物ができるのも、作品で売り上げが出ているから。
作品が売れてなかったら絶対買わなかった。
夫に相談して、似合うかな?高いかな?と話した時、夫も「高い!」と言ったけれど、「たまにはいいんじゃない?」と背中を押してくれました。
収入がなくてカツカツだったら、夫も背中を押してくれなかったと思います。
まずはこの服を着て、近所の美術館に行こう。
天気の良い日に歩いて行こう。
このお買い物から作家として反映できること
①ヒアリングをしっかりする
お客様への要望を聞き取ること。
「ピンクのピアスがほしいんです」
お客様にピンクのピアスを差し出しながら、
「ピンクが好きなんですか?」
なにか情報収集してみてください。
本当はピンクが好きではないかもしれない。
パーソナルカラー診断でおすすめされたかもしれないし、春色アクセがほしいだけかもしれないし、かわいいって言われたいだけかもしれない。
その言葉の背景を、雑談で聞き取ることができたら、一緒におすすめ商品を提案したいです。
ちなみにデザイナー時代、「これがほしい」と言われて、おとなしく言われたものを作らないデザイナーでした。
「なぜ?それでなくてはいけない理由は?」
ひねくれて考えることで、お客様の期待を150%超えることができるのです。
そして期待を超えることができた時、お客様はファンになってくれるのです。
②希少性のある商品展開
ほしいと思ったときに何時でも買えるよう、ショップ環境を整えていました。
それがお店への信頼感だと思うのです。
でも、「今しかない」希少性のある商品を作ることにも挑戦したくなりました。
一点だけです。
季節もの、イベントもの、スケジュールをチェックして手に入れるって、日常がお祭りの日に変わります。
③買うか決めるのはお客様
「ちょっと高いかもしれない」という価格設定をして、それを買うかどうか決めるのはお客様。
お財布の都合がつかないかもしれないし、ちょっと買いたくなるタイミングがあるかもしれない。
お客様が買う理由を自分の中に落とし込めた時、「欲しい」が「買おう」に変換されます。
落とし込めるきっかけは、作品が生まれるストーリーかもしれないし、作家のこだわりかもしれないし、作家のギャップや、共感かもしれません。
商品ページやプロフィール、SNSで伝えることを止めないでいようと、モチベーションになりました。
今、そのワンピースは私の制作部屋に飾ってあります。
ワンピースを眺めて、「語る作品を作るぞ!」とモチベーションにつながっています。
今回勇気を出して、いつもと違うお買い物をしたことで、新しい世界や価値観に気づけました。
この気持ちをお客様にも提供できるように、ものづくりを続けていきます。
またね。
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