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Easy Life 『Maybe In Another Life...』(2022)

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3/10
★★★☆☆☆☆☆☆☆


バンドが人気を得ていく中で最も悲しい出来事は、デビュー時の個性が消え代替可能なものになっていくことだ。ほとんどのアーティストはシーンの趨勢に自らの音楽性を寄せていかなければ、ブレイクすることは出来ない。シーンの趨勢自体を作ってしまうようなアーティストはほんの極一部だ。資本の手助けもいる。

全英2位を獲得した本作でのeasy lifeはその典型例で、代替可能な存在に堕ちかけている。レトロモダンなソウルでBGMとしてオシャレだなという感想しか出てこない。口は悪いが、Rex Orange CountyやBenny SingsやDayglowやAlfie TemplemanやOmar Apolloやその他でいくらでも換えが効く。別の言い方をすれば、このアルバムでなくてはならない理由が無い。このアルバムを聴き続けていく必要が無い。

尤も、所属先のメジャーレーベルがバンドを一般層に売っていくために、邪魔な個性は消し、万人に受けいられそうなサウンドに寄せたのも理解は出来る。であるとすれば、誰もがshazamで検索せざるを得ないような、一聴で耳を掴む強力な曲が必要だった。しかし本作はどこかで聴いたようなメロディやフックで溢れ、個性に欠ける。

バンコクのデパートでは、毎日流行りの曲が大音量で流れている。明日には別の曲が、明後日にはまた別の曲が、コロコロと使い捨てされていく。このバンドには、一山いくらの存在にはなってほしくない。


4と6が一番良い曲。しかし6のギターソロを聴くと、このバンドに一体どこまでのセンスがあるのかよく分からなくなってくる。


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