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最近聴いているアルバム2021.03


Roxy Music - Avalon (1982)

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Bob Clearmountainによる1999年リマスターは非常に精密で劇的な変化を生む素晴らしいものであった。反して2015年東京でのDSDマスターカッティングは主張のキツくない上品でマイルドな音に仕上がっている。好みによるが、いずれにしても本作の内容が素晴らしい。ロック界においては、80年代は本物の審美眼とセンスを持ったプロフェッショナルの時代であり、90年代は本物のエモーションを持った一般人の時代だった。本作は前者の到達点だ。



The Cure - Kiss Me Kiss Me Kiss Me (1987)

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The Cureの作品中、最も多彩なサウンドが散りばめられた意欲作。意欲作なのだが、同時に最高傑作と言ってもいい冴えとアイデアと演奏がここにはある。世界のトップバンドになった後も、The Cureは「みんなのバンド」ではなく「僕だけのバンド」であり続けた。そのスタンスが後進のインディバンドに与えた影響は計り知れない。



Gomez - In Our Gun (2002)

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1990年代後半から2002年頃まで、UKでアートロックがプチブームになったことがあった。先鞭を付けたのがSuper Furry Animalsだ。彼らはBrit Popの狂騒にもポストBrit Popの耽溺にも共感を覚えなかった。彼らやGorky's Zygotic Mynciに続いたのがThe Beta Bandと、そしてGomezだ。ブルースやR&Rの要素はますます薄れ、奇抜なエレクトロニカや音の配置の妙を全面に押し出した作風になっている。とはいえ繊細な詩情、エモーショナルなボーカルメロディは健在どころか更に分かりやすく。無国籍的ながら端正な聴き心地が妙に心地よい。



DIIV - Is The Is Are (2016)

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The Cureを聖典とするポストパンク/ギターロックの王道を高品質で再現することに注力した傑作。これだけ才能があるんだから、ほんの少しでも新たなアイデアや冒険心が有りさえすればもう突き抜けた存在になれるんだろうが、それは彼らの中では求めていないのかもしれない。次作はMBVとポストパンクを混ぜた傑作だったが、やはり彼ら独自と呼べるものは無かった。



Iceage - Beyondless (2018)

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ひねりや意外性に頼らないダイレクトなサウンドに仕上がった4thアルバム。ボーカルメロディを全面に出したソングライティング重視の作品となっている。基本要素はギター/ベース/ドラムのオーソドックスな構成であり、往年のガレージロックのクリシェも多用する。だがそこに前作で培ったムードを作る技術、そしてこのバンドならではの色気、カリスマ性が織り込まれることで、見事に独自性を生み出すことに成功している。この個性がある限り、このバンドはどんなサウンドに挑戦しても大丈夫だろう。






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