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1640mP feat. 初音ミク『Hatsune』鑑賞

ギターが叫びたがっている訳ではない。
ピアノが打ち鳴らされたがることもない。
初音ミクに感情なんてない。

……本当にそうだろうか?

Hatsune は二人の有名ボカロP、164と40mP(合わせて1640mP)による、初音ミク歌唱のボカロ曲だ。ちなみに Hatsune 以前の1640mPの楽曲として タイムマシン と 未来線 がある。


ギタリストでもある164の楽曲には、ギターの見せ場が多い(天ノ弱など)。
一方40mPの曲は、しばしば軽快なピアノに彩られる(恋愛裁判など)。
164のギターと40mPのピアノは Hatsune でも活躍する。
ときには競い合うように、ときに譲り合うように、楽しくて仕方ないとでも言いたげに疾走する。

楽しく疾走しているとしか思えないのだ。
ギターもピアノも、ドラムもベースも、奏でられる瞬間を待ちわびていて、一音一音を歓びとして発している。
164や40mPの歓びを、評者が楽器の音色そのものに投影して聴いているのかもしれない。


初音ミクもそうだ、彼女は楽しんで歌っているとしか思えない。

164 Twitterより


ちなみに164に調声された初音ミク(画像赤字部分)と40mPに調声された初音ミク(青字部分)の微妙な差異は、分かる人には分かるらしい。
言われてみれば前者が凛々しく、後者が柔らかいような。


一曲を通して、それぞれの音が自由に駆け回っているようでありながら調和が取れているのは、二人の実力あってこそだろう。
164と40mPの、音楽やボカロへの愛はもちろんだが、お互いへの尊敬や信頼も伝わってきて、それはもうアツい一曲。