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【詩】スカンク16号

記憶に不安定さを求め
脊髄をかためる
振り向けないのは
影の先が私の指先を握りしめているから
優越に呼び止められても
響くほどの雷鳴が耳に入り込んでも
私は泣かない
込み上げてくる唄に従って目を開けた時
世界が止まる
鉛色の太陽はとても重い
物語りは血を流し続ける

魂は器用に出来ていない
目の前に途方もない空白が存在する
全ての息の根を止め
時を奪う途方もない空白
白々しく彩光を呼び寄せようとも
関わりを持ちたくないそれは
扉を閉じたままだ
ああ、救いようのない無限に
四肢を支えられた根幹が揺らいでいる
分かるだろうか
着床を拒否する孤独を
聞こえはしないだろうか
唄いだすはざまの世界を
魂は器用に出来ていない

経度の輪のホログラムが地球の外郭皮膜として浮んでいる
地上から逃れたロンサムジョージは
仲間と共に見下ろしている
緯度の輪はモノリスとなり世界を分断してしまった
それは音も声も吸い上げ
向こう側には届かない
遠く時がたった未来では
何もかもが忘れ去られているでしょう
地球のかたちが丸いことも
月があったことさえも

6秒間だけ輪の中に入る
焼き尽くした果てに
迷い進む夜があってもいい


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