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高校数学【確率分布・正規分布】〈6〉 正規分布

 「数学B」分野のうち、【統計】分野について解説します。
新課程では必須の学習内容ですが、まだまだ高校での指導方法が確立していないんだよね。
 では、端的に、わかりやすく、解説していきましょう。
 ここからは、分布とその性質です。まずは、〈正規分布〉です。

〈正規分布〉

・反復試行・検査では、「二項分布」となることは前節で学びました。
十分大きな回数を繰り返すと、事象の起こる確率と起こらない確率(排反事象)がどんどん等しくなっていきます。つまり、平均値を中心・ピークとして、それから離れば離れるほど確率が小さくなる、富士山型の分布になります。この分布を「正規分布」と呼びます。
・「正規分布」を記号では、N(m、σ) と表します。「二項分布」の表現では、回数nと確率pを使うので、B(np、 √np(1-p)) となりますが、この形で使うことは稀です。
・まず、題意を「二項分布」と捉え、
 平均         :m = np
 分散         :σ^2 = np(1-p)
 標準偏差:σ = √np(1-p)
 
と、各指標を順に求め、
 
十分に大きな回数・調査数となれば、「正規分布」でになると考えて、N(m、σ) と表すことができます。

[例題](前節と同じ例題)
・赤玉3個、白玉2個が入っている袋から1個取り出し、色を確認してから元に戻します。この試行を100回繰り返します。(反復試行)
・赤玉の出る回数をXとして、回数Xの確率分布を考えていきます。

[解法]
① ターゲット事象(赤玉が出る)確率: p = 3/5
② 排反事象(白玉が出る)確率            : 1-p = 2/5 
③ 「二項分布」となれば、n=100、 p = 3/5、 1-p = 2/5 なので、
 平均        :m = np = 100*3/5 = 60(回)
 分散        :σ^2 = np(1-p) =  100*3/5*2/5 = 24 
 標準偏差:σ = √np(1-p) = √24 = 2√6(回)
④ この場合、回数が100回と多いので、「正規分布」に従うと考えられます。N(60、 2√6) の正規分布です。
⑤ 多くの場合、この正規分布を、「標準正規分布」N(0、1) に従うように変換し、様々な考察を進めていくのですが、これは次節で解説しましょう。

[Method]
「二項分布」→「正規分布」→「標準正規分布」
 十分に大きな回数・調査数となれば、「二項分布」は、「正規分布」と考えて良いとします。これを、近似できると言います。このときの、「十分に大きな回数・調査数」という表現が、通常の数学ほど厳密ではないのです。これが、統計の難しいところかもしれません。




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