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なぜCONTINUEはPCエンジンを特集することにしたのか?

現在絶賛発売中の『CONTINUE SPECIAL PCエンジン』。2001年3月の創刊から19年、これまで頑なにPCエンジン特集を行わなかったゲームカルチャーマガジン『CONTINUE』は、なぜ「1冊丸ごとPCエンジン」の別冊を発売したのか――? その疑問を『CONTINUE』編集長の林氏に直撃!!

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――これまで『CONTINUE』はPCエンジンを特集していませんでしたけど、今回どうして別冊を発売することにしたのでしょうか?

『CONTINUE』編集長・林(以下、林) いや、本当にPCエンジンをやる気はなかったんですよ。『CONTINUE』を復活させてからも、PCエンジンをやる気はなかったです。

――そこまで「PCエンジンをやらない」という理由は何だったんですか?

林 『CONTINUE』は初期に「ファミコン大全」「スーファミ大全」「メガドラ大全」と立て続けにレトロゲーム機の特集をして「次はPCエンジン大全だろう」と思われてたんです。そういう読者ハガキも一杯来たし、実際「じゃあ、次はPCエンジン大全かな」って編集会議で話したことも、たぶん一回や二回ではないと思うんですよ。

――それなのに、やらなかった。

林 そこまで期待されちゃうと「むしろ、やらないほうがカッコいいんじゃないか?」と思って……というのは半分冗談ですけど、あんまり言われすぎちゃって嫌になった、というのはあるんですよ、真面目な話。イベントなんかでも話したことありますけど「お前ら、いい加減PCエンジン大全やれよ! バカ!」みたいなハガキが毎号来てたんです、しかも同じ人から(苦笑)。そんなの……ねえ? アタマごなしに命令されて特集やるのも嫌だから、いつだったか忘れましたけど、ホントに「さあ、いよいよ次はPCエンジン大全だ!」ってときに同じ人からハガキが来て、それで特集するのやめたこともありますから。だから、本当にやる気はなかったんですよね。

――にもかかわらず、今回は「PCエンジン大全」という雑誌特集ではなく、さらに大々的に『CONTINUE SPECIAL PCエンジン』という別冊として発売されました。

林 これについては3月19日に「PCエンジンmini」が発売になる、というのが大きいですよね、やっぱり。今後、少なくとも僕が現役の編集者として活動している間に、これほどまでにPCエンジンが注目されるタイミングも二度とないと思いますから、やるならいましかないだろう、と。それで、どうせやるのであれば「全50ページ特集」とかではなく「全部載ってる決定版」にしたほうが面白いし、長く残るものになるだろうなあ、と思ってやることにしました。

――実際に一冊作られてみて、いかがでした? レビューの数も、とんでもないと思いますけど。

林 いや、もう、死ぬほど大変でしたよ(苦笑)。これほど大変とは思わなかったです。過去に『CONTINUE』でやったような特集であれば、極端な話どうやってもレビューできないソフトは別のものに差し替えればOKだったんですけど、今回は「1本足りとも落とせない」というコンセプトでしたから。最後の最後、校了前日に「あのソフトはどうした?」「レビュー忘れてるじゃん!」みたいなことも実際ありましたから。それ自体は大して重要なタイトルではなかったりもするんですけど、そういうのも含めて「全部載ってるオール・イン・ワン」というコンセプトですから、とにかく校了前の数日間は、そういうバグ出しを延々やってましたね。

――全296ページという膨大なボリュームですけど、特に「ここを読んでほしい!」というオススメのポイントなどありますか?

林 もちろんレビューは読んでほしいですよね。今回レビューは「大」「中」「小」で重要度を設定していて、それぞれ「800字」「400字」「200字」なんですけど、個人的に面白いのは「小=200字」だと思っていて。

――え? ビッグタイトルじゃなくて?

林 「大=800字」は『天外Ⅱ』や『カトケン』、『スーパーダライアス』みたいなビッグタイトルで、それについては力のあるレビュー揃いなんですけど、たとえば『ロムロムカラオケ』とか『ウルトラボックス』シリーズを各200字でレビューするのって、かなりの苦行ですよ(苦笑)。他のPCエンジン本だと「50字くらいで簡単に説明」「まったく同じ内容のテキスト」「個別には説明しない」のどれかなんですけど、僕らは1本1本レビューしてますからね(笑)。もう、そのあたりの無駄な努力を評価していただければなあ、と思います。

――レビュー以外の企画だと、いかがですか?

林 個人的に読んでほしいのは『ときめきメモリアル』の制作者である永山義明さんのロングインタビュー。これは、もともと僕が『CONTINUE』を立ち上げる前、『超クソゲー』がものすごく売れたことを受けて、会社から「クイック・ジャパンでゲーム企画をやれ」って言われてやった特集の中に掲載されたものなんですよ。

――1998年に発売された「超ギャルゲー」特集ですね。マルチが表紙の。

林 よくご存じで(笑)。その特集をやるにあたって、クソゲーハンター阿部(広樹)さんと知己のあった永山さんをインタビューさせていただいたんですよ。永山さんは正真正銘『ときメモ』を創った人なんですけど、当時から取材にほとんど登場してなかったこともあって、結果として僕たちのやったものが最初で最後、現時点では唯一のロングインタビューになったんですね。しかもマルチが表紙の「超ギャルゲー」特集号って、まったく売れなかったですから(苦笑)、このインタビューを目にしている人って、世の中にほとんどいないと思うんですよ。

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――『ときメモ』は知っていても、それを作った永山さんのことは知らない。

林 『ときメモ』は明らかに90年代以降のゲームの歴史を変えたにもかかわらず、どのような人たちの、どのような想いを受けて、あの時代に作られたのか? ということが、まったく知られていない。いまの世の中「知られていない」ことは「なかった」ことと同義ですから、であるならば、この機会に再び世に問いたい、ということで、永山さんからご許可をいただいて再録することができました。これは本当に価値のあるインタビューなので、絶対読んでほしいです。

――ちなみに、林さんの一番好きなPCエンジンのソフトも、やっぱり『ときメモ』ですか?

林 『ときメモ』はもちろんなんですけど……今回改めてプレイしてみて『No・Ri・Ko』の淫靡さはすごいな、と思いました。宮(昌太朗)さんもレビューで同じこと書かれてましたけど、会社でプレイしてて赤面しちゃいましたから(笑)。あと、言うまでもないですけど『天外Ⅱ』は最高に面白いですね。あのゲームが1992年に発売されたっていうのは、やっぱり奇跡的なことだと思います。

――ありがとうございます。では最後に、お決まりですけど、林さんにとってPCエンジンというのは、どのようなハードですか?

林 やっぱり『CONTINUE』にとっては、良くも悪くも因縁深いハードではありますよね、PCエンジンって。繰り返しになりますけど、本当にやる気はなかったんです。でも、結果としては一番良いタイミングに出せたんじゃないかな、とは思っていて。そういう意味では、長らくお待たせした分、ものすごく僕たちらしい……というか『CONTINUE』でしか読めない一冊になったと思うので、是非とも手に取ってみてください。

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