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北陸新幹線「かがやき」金沢からなぜ各駅停車

金沢―敦賀間3月16日に敦賀開業

 北陸新幹線金沢―敦賀間が来年2024年3月16日に開業されます。JR西日本は8月末に開業日と同時に金沢―敦賀間の「かがやき」「はくたか」「つるぎ」の大まかな運行計画を発表しました。最速型の「かがやき」の一部は新設区間で各駅停車で運行されるなど予想外の中身もありましたが、在来線の特急「サンダーバード」「しらさぎ」廃止されることもあり、来年運行が始まるとどこまで利用者の利便性が高まるか疑問点も残ったままです。
 金沢―敦賀間は石川県内に小松、加賀温泉の2駅ができます。福井県内に芦原温泉、福井、越前たけふ、敦賀の4駅が新設されます。北陸と東京をより短時間で走る「かがやき」は東京―金沢間の運行から推測して金沢を出てからは福井だけに停車して終点敦賀に向かうと思われていたのですが、一日4往復はすべての駅に停車することがわかりました。乗降客が北陸新幹線でも低位にランキングされることが懸念されている芦原温泉や越前たけふも予想外のかがやき停車駅になります。一方で現在東京―金沢で15本運行されている各駅停車型の「はくたか」は敦賀まで延長運転されるのは3分の1の5本しかありません。


完成した芦原温泉駅の駅舎。新幹線は2階ホームとなる

芦原温泉や越前たけふにも停車


 北陸新幹線でかがやきが停車するのは現在東京、上野、大宮、長野、富山、金沢の6駅。
埼玉県、長野県、富山県、石川県一駅ずつで沿線でも群馬県には止まりません。それが敦賀開業で富山県まではそのままだとして石川県は3駅、福井県は4駅になってしまいます。
石川以西は「かがやき」の大盤振る舞いという感じもします。

越前たけふ駅

9本のうち停車は4本


 もちろんすべの「かがやき」が停車するわけではありません。JR西日本の8月30日の発表資料によると東京―敦賀間の「かがやき」は上下9本ずつで、それ以外に東京―金沢折り返しが上下が1本あります。敦賀までの9本のうち5本は金沢以西は福井しか止まらない本来の「かがやき」運行で残り4本が金沢以西は各駅停車の「かがやき」となります。
 なぜ各駅停車の「かがやき」ができたのでしょうか。一つは沿線自治体からの要望が多かったことでしょう。市議会で決議し陳情もしています。報道によると「加賀、芦原の温泉駅には首都圏から来やすい時間帯に、小松、越前たけふにはビジネス客の利便性を考慮したダイヤを検討したい」とJR西日本は説明しているそうです。
 東京からの時間を考えると芦原温泉駅以西では東海道新幹線経由が北陸新幹線のライバルとなります。東京直通が「はくたか」しか乗れなければ敦賀から米原に向かい「ひかり」に乗り換えた方が早いかもしれません。高速の「かがやき」に乗れて快適に行けるというイメージを植え付ける戦略もありそうです。

新高岡、乗客伸びず通過駅に


 今回は敦賀開業のご祝儀も加わって沿線自治体の顔を立てて「かがやき」停車駅が予想外に多くなったのでしょうが、ずっと停車駅のままでいられるとは限りません。JRは利用客数によって常に運行を見直しています。北陸新幹線も金沢開業直後は富山県の新高岡駅にかがやきを停車させていましたが今はすべて通過します。長野県の飯山や上田、佐久平など各駅停車型の「はくたか」でも通過することがあります。現在の北陸線の乗降客が決して多いとは言えない芦原温泉や市街地から離れている越前たけふなど開業後の乗降客数が注目されます。
 北陸新幹線は9月23日から試験運転が始まり具体的な運行ダイヤや料金が年内にも発表される見通しです。北陸線を引き継ぐ「ハピラインふくい」や「IRいしかわ鉄道」のダイヤや運行料金も今後発表されるでしょう。
 関西と中京への北陸線直通特急運行は廃止されてしまい、敦賀で乗り換えとなります。関西、中京への乗り換えのため北陸新幹線は現在金沢―富山間で運行されている「つるぎ」が敦賀まで延長されます。「つるぎ」には福井だけに停車する最速型の運行もあります。北陸新幹線で首都圏と北陸、関西・中京と北陸の旅客の運行がどう変化するのか興味深く目が離せません。


2023年8月30日に発表されたJR西日本の北陸新幹線運行計画資料より


 


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