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『なつぞら』考 北海道編大団円 ~5/19記ス

なんて天陽らしい告白だったろう! 哲学的で、爽やかで、切ない。

「なっちゃんとは、どこにいてもキャンバスでつながっている」

それは物理空間的にはきっともう交わらないと悟っているから。
そして、それでもつながっていたいから。

つながっていたいけど、「俺は待たんよ」となつを送り出す。
なつの夢も、自分の生き方も大事。
真っ白な雪原の中、握手で終わる、少年少女時代の小さな大切な恋…

「ベニヤ板のキャンバスに向かって絵を描くとき、自分の無力さを思い知らされるが、
 それは誰の価値観にも左右されない自由そのもののときだ」

そう語る天陽くんの世にも美しい顔には、
大地に根をはり、孤独と向き合って生きる芸術家の凄みがあった。

でも
「(スキー板を)もってない」
「自分で作るわ」
「(作り方は)知らん」
三連発のときのような軽やかさも印象的で、吉沢亮ほんとにすばらしかったなあ~

最初は、
「昭和30年かそこらに、こんな髪型のこんな垢ぬけた美少年おらんやろw 実在感なさすぎww」
と思ってたけど、今となってはこの造形に唸るしかない。
十勝が生んだ自然哲学青年。
朝ドラ史にまた一人、類型から遠い名キャラが刻まれた…!て感じ。

「あさイチ プレミアムトーク」にも出ちゃったし、
天陽くんの主な出番は終了ってことなんだろな。

ロスすぎるので、
今は映画「キングダム」よろしく、
なつが上京したら天陽くんそっくりのアニメーター青年かなんかと出会って、結婚しちゃえばいいさ! と思ってる。

しかし、
2週間後くらいには、
新キャラとして出るらしい中川大志くんにキャーキャー言ってる自信もある…(笑)

今日の天陽くん見てたら『さよならなんて云えないよ』(小沢健二)を思い出した。

♪ 南風を待ってる 旅立つ日をずっと待ってる 
♪ 「オッケーよ」なんて 強がりばかりをみんな言いながら
♪ 本当はわかってる 
♪ 二度と戻らない美しい日にいると
♪ そして静かに心は離れていくと

https://www.youtube.com/watch?v=Ik9rVXSslWM

「田舎で単一的な北海道、多様で大都会の東京」
みたいな対比になりがちなところ、
北海道の人々の中にすでにすばらしい多様性があって(それは当然のことだもんね)よかったなあ。

実は、なまら美形でシュッとした照男兄ちゃん。

「昭和30年かそこらの十勝にこんな美青年が…(略)」とならなかったのは、
扮装や寡黙さもあるけど、
両親が藤木直人と松嶋菜々子だからってのも大きいと思うw
あの一家、美がインフレしすぎてるもんw

いそいそと牛乳持って登場したら、なつと天陽までいて、
サラさんに「別に頼んでないけど」って心底不審そうに言われる照男、なまらかわいかったよね! 

家に帰ると「牛乳に意味なんてあったら牛は年じゅう悩んでることになる」なんて言っちゃってさ!

「じゃがいもや乳牛を育てながら絵を描いてます」と言った天陽。

倉田先生は「生活者にこそ演劇が必要」と言った。

芸術と生活とは切り離されたものではなく、
背中合わせにぴったりくっついて分かちがたいものだ、と示した十勝編。

東京編では、なつはアニメという芸術に取り組んでいくんだろう。
そこでの芸術がどう描かれていくか、楽しみ。

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