ヒゲオマキザルは石器使い日記 2023.2.9

 明日私はろくろを回すらしい!

 先日友人数人とスーパー銭湯にいた頃、誰かが提案してろくろ体験に行くことが決まった。なんていい集団なんだ。

 明日行くところのろくろは電動なので実際には私が回すわけではないみたいなのだが、気構えとしては自分が回すくらいの気持ちで行ったほうがいいだろう。
 回転ってかなり人間的な動きだ。行動主体が回転する様は動物園に行けばひたすらその場で回転を繰り返す動物がいくらでも見られるが、自分以外の物質を回転させる動物っているのだろうか。
 そんな理性を持っている人間にしかできない行動を、明日してきます。


 流石にろくろは回せなくても石を使うくらいは全然しているらしい。

ヒゲオマキザル

 めちゃくちゃ道具使ってる。最近5万年前の打製石器だと思われていた尖った石器が、こいつらの先祖が使った石の破片だと判明したことがあったらしい。こういう話を聞くと私たちが滅びてもそのうち人間みたいな生活する奴らが出てくるだろうなと思い、なら滅びていいじゃんと思う。
 ただ流石にこのおサルたちも尖った石器を使うわけではなく、見つかった石もあくまで破片で、これを使って刈ったり切ったりしていたわけではないらしい。
 でもあと十万年くらい経ったらこのサルたちも尖った石器を使って草を切ったりするようになるんだろうな。
 長い時間のかかる変化を想像すると、それを見るために無限に生きて〜〜となる。普段は100年の生でさえ拷問で一刻も早くスーッと消えたいと思っているので、この転向を私の中に生むのはすごいことですよ。
 ダイジェストでいいからこの先1億年くらいのトピックスをまとめたものを見せてくれないかな。最近サイエンスドリームというYouTube chにハマってるんだけど、そこで見た動画によると地球の歴史を紐解けば200万年間雨が降り続けた時期とかあったらしい。すごすぎるし絶対ダイジェストではカットされる。

 そんな地球の歴史に思いを馳せていると、明日ろくろを回す手にも力が籠る。進化の果てに回転する土台に粘土を乗っけてちぃちゃいお茶碗を作ったりするようになった人間の奇天烈さと、いつか遠い未来でお茶碗を作るようになったヒゲオマキザルに思いを馳せながら明日は回転させまくろうと思う。

 あとすぐに作ったお茶碗を貰えるわけではなく、焼き上げが一ヶ月後らしくてちょうど忘れるくらいの頃でいいな〜と思った。そのまま忘れられて主人のいない湯呑みとかも置いてあるんだろうか。
 野生化したお茶碗が街を荒らす日もそう遠くはない。その時立ち向かうのは、もしかすると人類ではなく石を持ったヒゲオマキザルなのかもしれない。

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