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プロダクトの歴史を共有することの大切さ

はじめまして

クックパッドマートの開発チームでデザイナー兼エンジニアをしている長野と申します。

私は先日ブログや登壇で、クックパッドマートの立ち上げから現在に至るまでのプロセスをお話しする機会がありました。このnoteでは、その時に感じた「プロダクトの歴史を共有することの大切さ」について、書いてみたいと思います。

クックパッドマートの歴史にご興味がある方は、下記のリンク先もぜひどうぞ。

チームの議論が前向きになる

プロダクトの歴史が共有できると、「なぜプロダクトが今その形になっているのか」その理由が理解されるようになります。そうすると、議論の方向性が自然と未来を向いた建設的なものになるという実感があり、それが歴史を共有することの直接的な効果ではないかなと感じています。

例えば、クックパッドマートのサービスの今の形だけをみた場合、

なぜクックパッドマートは、
・専門店の商品しか扱わないのか?
 そのせいで品揃えが少なくなっているのでは・・・!?
・家まで配達しないのか?
 いまどき何だって家まですぐに届くのに・・・!
・ユーザーごとの個別包装をしないのか?
 そのほうが受け取りは断然楽なのでは・・・!?

といった疑問をもつ方も多いです。

もちろんその理由や経緯を逐一説明することはできますが、今に至るまでの歴史が共有されていると、「なぜやらないのか?」ではなく「今後やるべきか?やるとしたらどうすればできるか?」というように、論点が未来を向くようになります。

クックパッドマートは今年の1月にスタートしたプロジェクトで、その歴史はたった1年弱です。しかしその間サービスの形は日々変化し、新しいメンバーも続々と増えてきました。そのような変化の中でも、常に議論の方向性を前向きにしてチームのスピード感を維持するために、プロダクトの歴史を共有することが効果的なのではないかなと思っています。

プロダクトに愛着が持てる

もう一つ、私が感じている歴史が共有されることの効果として、「チームが大切にする価値やプロセスが理解され、メンバーがプロダクトに愛着を持てるようになる」ということがあります。

私は2010年にクックパッドに転職したのですが、そのきっかけとなったのはクックパッドの創業期の歴史が語られた本を読んだことでした。プロダクトを育てていく際に大切にされてきた価値やプロセスに魅力を感じたことが転職の決め手でした。実際にジョインしたのちも、創業メンバーからプロダクトの歴史を聞くたびに、とてもワクワクしたのを覚えています。

クックパッドマートも、チーム発足当初の3人から、今では15人ほどにまでメンバーが増えています。プロダクトの歴史を通してチームが大切にする価値やプロセスを共有することは、参加のタイミングが異なるメンバーが、同じように愛着を持ってプロダクトを育てていくことに繋がるのではないかなと思います。

過去にダメでも今もダメとは限らない

新しいトライをしようとしたときに、「それは前にやってダメだったからダメでしょ」と単純に言うのは良くないなと思っています。なぜなら、過去にトライした時と今とでは、時代も環境もリソースも、様々な制約条件が違うから。

もちろん全く同じことを繰り返しても意味がないので、過去に得た学びは共有し、今に当てはめてみるとどうか?と言う議論ができるようにしたいです。歴史を語るときには、そのように捉えられる表現ができるように気を付けたいなと思っています。

クックパッドマートチームの歴史の残し方

最後に、クックパッドマートチームで、プロダクトの歴史がいい感じに記録されていっているなと思う方法がいくつかあるのでご紹介します。

あらゆるログを Github issue に残す

クックパッドマートのチームでは、開発チームがコードを共有するリポジトリとは別に、チーム全員が参加して、主にissueだけが活発に動いているリポジトリがあります。

各issue上ではそれぞれの課題に対する議論が進み、ログを読めば大まかな進捗状況がわかります。また、定例ミーティングのログを日付をつけたissueとして残していて、そこに今取り組んでいるissueへのリンクが張られているので、後から定例issueを見返すとその時期どんなトライをしていたかを遡ることができます。

▲週定例のissueはこんな感じ。

issueの停滞を防ぐパトロール

Github issueの運用でよく問題になるのが、古いissueがクローズされずに残り続け、全体的な動きがみえづらくなってしまうということがあります。それを防ぐためにクックパッドマートチームでは、週1でissueパトロールをしています。作成からひと月以上経過しているissueを中心に、状況確認と必要であればissueの切り分け・立て直しをするようにしています。

▲メインのパトローラーは私なのですが、サボっていると他のメンバーが自主的にパトロールしてくれたり…

思い出フォルダに写真を残す

クックパッドマートチームは資料共有にGoogleDriveのチームドライブを活用しており、そのトップディレクトリに「思い出」と言う名前のディレクトリがあります。チームの誰でもがチームの「思い出」になりそうな写真を雑にあげるための場所です。

▲クックパッドマートの食材を使ったチーム懇親会の時の写真たち

こちらは全くノーメンテですが、振り返るとチームの歴史としてとても面白い記録となっています。発表資料を作る際にもとても捗るのでオススメです。

社内wikiにサマリを残す

クックパッドでは社内wikiが情報共有ツールとして活発に使われています。新規事業のチームはどうしても情報が部内に閉じてしまいがちなので、クックパッドマートチームでもなるべく他部署に活動をオープンにしていく方針としています。

その取り組みの一つに、社内wikiのチームのページに「歴史」というページを作り、プロジェクトやチームの動きのサマリーを月単位で更新しています。そこには大まかなプロジェクトの取り組みや、新メンバーの紹介などを載せていて、他部署の人が見てもざっくりとチームの動きがわかるようなものになっています。

プロダクトの歴史を語ろう

新規事業は特に、毎月、毎週、毎日の変化が本当にめまぐるしいので、立ち止まって歴史をまとめる余裕がないことも多いかもしれません。しかし、立ち上げ期こそ貴重な学びも多く、記録に残しておいて価値のある情報が多いのも事実だと思います。

このnoteを読んでくださったみなさんも、いま育てているプロダクトの歴史を語り、周囲に共有してみると、未来を考えるきっかけになったり、共感してくれる仲間が増えたりするかもしれません。

クックパッドマートも、チームメンバーみんなが歴史を語ることで、共感してくれる仲間を増やし、良いプロダクトに育てていけたらと思っています。