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【物語・スリランカ】恢復するたましい、草と花のちから

  • 今日の旅先:スリランカ、東京

  • 今日の料理:薬草のお茶

キッチンで、ニカが歌っているのが聞こえる。のびやかでか細い彼女の声が、とぎれとぎれに聞こえて、歌が終わると、今度は大きく僕の名を呼んだ。今朝は、彼女がお茶を作ってくれているらしい。

Ask him to find me an acre of land,
Parsley, sage, rosemary and thyme,
Between the salt water and the sea strand,
For then he'll be a true love of mine.

Scarborough Fair

もう起きていたの、僕は隣室から声をかける。叶わなかった不滅の恋の歌は、彼女にとってはハーブのお茶を作るときのテーマソングだ。今日のお茶は、焙じ茶にカモマイルを混ぜて、少し蜂蜜を垂らしてあった。カモマイルの(林檎に似た)甘い香りと、焙じ茶のやさしい香ばしさが、互いを引き立てあっている。ニカはこんなふうに、自分の故郷の思い出の味と日本(あるいは彼女の旅した世界各国)の風物を取り合わせて、いつも彼女らしい独特なものをつくる。ちょうどそれは、彼女そのものみたいだ。

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