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学びの方程式y = axから考える未来の学び

今週の木曜日から金曜日の三日間、 Hyper Islandの研修に参加しました。この研修で特に大事にされていたのは、振り返りの時間です。多くの時間を使って学びを振り返るとともに、それをチームや全体に共有する時間が多く設けられていました。

参加者の気づきや学びを聞く中で思い出したのが、養老孟司さんのバカの壁に書かれていた「y = ax」という方程式によるメタファーです。

ここでいう、xはインプット(情報等)で、yはアウトプット(例えば、学び)です。そして、aは人間力とでもいいますでしょうか。つまり、同じインプットx(同じ情報を受け取っている)があったとしても、アウトプットyはaの大きさ(人間力)に依存します。例えば以下のようにです。

①a=0 :どれだけインプットxを入れても、アウトプットは0。会社から言われて研修に嫌々出ているような状況。学びや気づきはなし。この状態の人はかなり危険だが、実際にはそれなりに多そう。
②a=1 :インプットxに1を入れたら、同じだけのアウトプットが出てくる。出題者の意図したこと通りに学んでいる状況。
③a=10:インプットxに1を入れたら、アウトプットyは10となる。いわゆるを1を聞いて10を知るの人。従来型の凄い人。

今回の研修で多くの人からの学びを共有させてもらう中で、もっとも驚いたことは、本当に凄い人はインプットxを入れた時のアウトプットが数字ではなく、例えばギリシャ文字アルファのような、全然違う学びを得ることができる人がいるということです。上記の例に合わせると以下の④のような感じです。

④a=アルファ :インプットに数字を入れたら、全然違う着想を思いつく。数字の話をしているのに(xに数字を入れる)、アウトプットがアルファのようなギリシャ文字のような状況(ちなみにここでアルファを使ったのは、ファイナンスでいう超過収益という意味のアルファとかけているからです。)。

具体的には、ワークショップの中でゲームをすることで、「コミュニケーション」、「役割を明確化する」、「時間をはかる」といったことがいかに重要かを参加者に学ばせることを目的としているとします。そして、ゲームをする中で、実際に参加者は上記のような学びを腹落ちすることができれば、ワークショップとしては大成功でしょう(②の状態)。さらに、優秀な③のような人は「この学びをどう組織に還元するか」や「この役割を担うのは〇〇だな」とかさらに自分の組織に置き換えて考えることができる人でしょうか。

一方で、④のような深い変換装置の思考を持っている人は、プレゼンテーターの意図した学びを大きく超えるようなことを得ることができます。例えば、実際にあった話ですが、上記のようなことを学べるワークショップから得る気づきが「無理に最大の成果を狙わなければ、無駄が圧倒的に減る。これは、ダンさんの、ソーシャルノームが目指す世界だな。」といったような、少し聞いただけではよくわからないことだったりするわけです。

とはいえ、歴史的な発見というのは、例えば実際ニュートンがりんごが木から落ちるのを見て重力の着想を得たり、パスカルがお風呂に入ることで浮力のアイデアを得たりと、インプットが数字にもかかわらず、アウトプットがアルファのようなギリシャ文字のことが実際に起きています。

そして、こういった発想はおそらくAIにはまだできないはずです。xに1を入れたとし、計算が早くなり、aがどれだけ大きくても、AIのアウトプットは数字という範疇を仕組み上まだ超えられないのです。ですが、人間の思考は仮に数字のインプットがあったとしても、全然違う学び(アウトプット)を得ることができます。

個人的には、未来の教育はこういった方向に進むのではないかと思っております。詳しくいうと、出題者の意図した答えを回答させるのではなく、出題者の意図を大きく超える、場合によっては斜め上を行くような気づきや学びを与えることが出来るような教育です。

そして、このような学び(上記の④)がAIには思いつくことが出来ないイノベーションの源泉なのだと、多くの人の学びを共有させてもらう中で感じました。

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