見出し画像

福岡ソフトバンクホークスは二軍のイニングをどう埋めるのか


①表題について

こんにちは。クールベといいます。

今回は多くの選手をオフに放出した福岡ソフトバンクホークスが二軍のイニングをいかに埋めていくのか。またそこから見える狙いは何なのかといったことについて書いていこうと思っています。

②放出したイニングと懸念

福岡ソフトバンクホークス(以下SB)は2023年オフに例年よりも多くの選手を戦力外としました。その一覧がこちらです。

例年よりも多い14人に戦力外を言い渡した

また11月にはウォーカーと高橋礼&泉のトレードも成立。さらに山川の人的補償としてなんやかんやあったのちに甲斐野を放出することとなりました。これで戦力外となった選手(育成契約となった古川を除く)も合わせると、支配下での投手の放出人数は8人となっています。
ではこの8人が二軍でどれほど投げていたかを見ていきましょう。

多くのイニングを消化していた投手を放出

ここに加えて育成だった奥村&重田とも契約を結んでいないため、それらも合計すると429.2イニング分の投手を放出したことになります

この数字がどれくらいのものなのかを見ていきましょう。昨年SB二軍はウエスタンリーグで123試合を戦いましたので、概算すると約1100イニングを消化したこととなります。そのためSB二軍は今回の放出で約40%のイニングを失ったということとなります

ここで懸念となることはやはり若い投手が酷使され摩耗してしまうことでしょう。そんなこと起きるの?と考える方もおられると思いますが、三軍に目を向けると、昨年時点で高卒ルーキーの大野稼頭央が45試合程度登板しているなど本当に登板管理できてるのか疑問符がつく起用が実際に起きています。

ということで、このような酷使がないようにどのように二軍のイニングを埋めていくか考えていこうと思います。

③二軍ローテーションの穴を埋めるには

まずは高橋礼らを放出したことで生じたローテーションの穴を埋めることから考えていきましょう。

2023年のドラフトでSBは岩井,村田,澤柳,大山といった即戦力投手を獲得しました。
彼らは一軍においてリリーフ起用となるかもしれませんが、ここまで二軍のイニングが空いてしまった以上、アマ時代からリリーフだった澤柳以外は先発をやることとなるでしょう

さらにドラフトでは高校生屈指の完成度を誇る前田も獲得できました。育成プランがどうなっているかわからないため、どの階級で育てていくかはわかりませんが、二軍戦で先発することも十分にあり得るでしょう。

完成度の高い投手を多く指名した方針転換が見えるドラフトだった

また三軍からの抜擢も考えられます。昨年三軍で好成績を残した木村大成前田純、加藤などはチャンスが回ってくるのではないでしょうか。そしてオフにウィンターリーグに派遣された風間,井崎,ハモンドあたりにも登板機会は回ってくるでしょう。

このように育成を含め多くの投手を抱えていることもあり、高橋礼,森,ガンケルの抜けた二軍ローテーションの穴自体は適切に埋まると考えています。しかしここで挙げた投手はいずれも若く、特に三軍から上げる投手はまだ二軍で投げるレベルにない可能性もあります

個人的にこういった若い投手の資質を見極め、適切なファーム運用をしていくことが今年のSBにおける大きな課題だと考えています。

④リリーフの穴を埋めるには

穴埋めの候補自体は多いので容易に埋まるかと思っていましたが、考えていくうちに意外と穴は大きいのではないかと思うようになりました。2つ理由を説明します。

1.シンプルに抜けた人数が多い
先発で抜けた人数は3人ですが、リリーフは5人抜けています。さらに甲斐野は一軍でも多く投げていたので、その穴埋めも二軍からする必要があるでしょう。

2.前項目で考えた若い投手は抜けた高橋礼らより長いイニングを消化できない可能性が高い
二軍で好成績だった高橋礼や森には球数制限など特に見られませんでした。しかし若い投手は乱調や球数制限による早期降板が十分に考えられます。そうなると負担はリリーフに集まることとなります。

このようなことを考えていくと、より多くのリリーフ供給が三軍から必要となってくるでしょう。

候補としてはキャンプでB組に入った大竹,佐藤宏樹,鍬原,村上舜,小林珠維,フェリックス,アルメンタは二軍での登板が多くなりそうだと考えます。特にウィンターリーグに参加した大竹と佐藤宏樹や、倉野コーチが高く評価していたアルメンタは多くチャンスが回ってくるかもしれません

またルーキーからは澤柳が入ってくると考えられます。現在(2024/2/16)は左ひざの違和感でC組調整中らしいので、開幕は二軍で迎える可能性が高いと考えています。
さらに育成の宮里もリリーフとして充分入ってくる力があると個人的に考えています。おそらく三軍スタートになると思いますが、二軍で投手が足りなくなってきたタイミングでの昇格もあり得ると考えます。

そして現実的なシナリオとして前項目で挙げた若い先発投手らがリリーフに入ってくることも考えられます。

このようにリリーフの穴を埋めるには数が重要になると考えています。

⑤具体的なイニング消化数について

③,④で多くの投手の名前を挙げてきましたが、では彼らはどの程度イニングを消化してくれるでしょうか。皮算用に過ぎないと思いますが、考えていきましょう。

やろうとしていることは要するに安仁屋算

期待したいのは去年獲得した大卒ルーキー投手たちです。彼らの内2人がローテに入ればかなり先発ローテは楽になると考えます。では現実的に彼らはどの程度イニングを消化してくれるでしょうか。

参考にしたいのが昨年に大卒ルーキーとして二軍ローテに入った松本晴木村光です。松本晴は65.1回、木村光は63.1回とイニングを消化しました。ここで考慮したい点として松本晴はTJ手術明け木村光も肩に故障歴がある中でこのイニング数を消化したということです。

そのため目立った故障歴のない岩井と村田には80イニング程度、やや故障の多い大山には60~70イニング程度を消化してもらいたいところです。

そして三軍から上がってくる若い投手にもイニングを稼いでもらいたいところです。傾向としてこのグループの投手はいわゆる谷間先発のような起用になってくると考えます。つまり誰か1人を固定するというより、ある程度平等にチャンスを渡していくものと考えています。そしてそこで結果を残した投手が主戦場を三軍から二軍に移していくのではないでしょうか

そのためこのグループの投手が消費するイニングは読みにくいです。しかし複数人の若手で回していくこととなるので、1人のローテ投手が稼ぐより多め程度のイニング(100イニング程度)を消化するものと考えます。

脳内でですがこれで250イニング程度は先発投手によって消化できましたね。

では次にリリーフについて考えていきましょう。ただしリリーフは候補の投手が多いのである程度絞って考えていきたいと思います。

④でも書いた通りやはり大竹,佐藤宏樹,アルメンタは登板機会を増やしてくると考えます。3人で合計90~110イニング程度稼いでほしいところです。
またルーキーの澤柳も登板機会を多くもらうと思います。一軍への早期昇格もあり得る選手なので15~20イニング程度を想定しています。

もちろん他のリリーフ投手にも登板機会があることを考えるとリリーフで170イニング程度は十分に稼げるのではないでしょうか。

これで420イニングほどを新たに創出することができました。
ここに既存投手のイニング消化増があれば過度な酷使なく二軍を運用することができるのではないかと考えます。

⑥狙いは新陳代謝、そして再定義と帰還

タイトルでほとんど言っていますが、ここまで多くの投手を放出した狙いは積極的な新陳代謝にあると思われます。

2023年のSB二軍は二軍レベルを超えた中堅~ベテラン投手がイニングを消化していました。
つまり一軍の調整のために投資するイニング数が多かったということです。

そして今年にこういった投手を多く放出したため、SB二軍は若い投手がより多くイニングを消化することとなるでしょう。
つまり若い投手の育成のために投資するイニング数が増えるということです。

今までのSBフロントは「二軍は一軍にチャレンジをする調整を行っている選手が中心」という認識であったと思われます。
しかし現状の若手投手の育成失敗に伴う先発ローテーションの高齢化が起こっていることに危機感を覚え、二軍を「一軍に向けての調整の場」であると同時に「若い選手の育成の場」と再定義したのではないかと考えます。
そして目下の課題である若い先発を育てるため、多くのイニングを投資した投手を放出し、若い投手にイニングの投資を行えるようにしたのではないかと推測します。

ではなぜ今年だったのか。ドラフトで多くの即戦力投手を獲得したことも背景にあると思いますが、一番の理由は倉野コーチの帰還にあるでしょう。
育成手腕に定評のある倉野コーチの帰還はフロントに若い投手がイニングの投資を受けやすい環境づくりをさせるのに十分だったと思います。

⑦最後に

ここまで読んでくださってありがとうございます。私自身ここまで長い記事になると思っていなかったので前後編に分けようとも思いましたが、切りどころがみつからずこのような形になりました。
また、このnoteはたけもとさんの「2024 楽天ファームの投球回をどう埋めるのか考察」を読んで書こうと思い立ちました。たけもとさん、ありがとうございます。

※引用と参考


この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?