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iri 「PRIVATE」 / アルバムレビュー

フレッシュで高次元のサウンドチャレンジング。それに呼応するかの如くアップデートを続けるシンガーソングライター、iriの自信作を一足先に拝聴。
5.18(木)仙台公演が俄然楽しみに!!


iriイリとは

iri

神奈川県出身。地元のJAZZ BARで弾き語りのライブ活動を始め、2014年ファッション誌NYLON JAPANとSony Musicが開催したオーディションでグランプリを獲得する。HIP HOP/R&Bマナーのビートとアップリフティングなダンストラックの上をシームレスに歌いこなすシンガーソングライター。

2016年ビクターよりメジャーデビューし、iTunes Storeでトップ10入り、ヒップホップ/ラップチャートでは1位を獲得。翌年にはNikeのキャンペーンソングを手掛け話題となる。数多くのファッション誌にも登場し、フランスのフェスや中国でツアーを開催するなど海外でのライブにも出演し、多方面から注目される新進女性アーティスト。

2021年10月にデビュー5周年を迎え、「iri 5th Anniversary Live “2016-2021”」を開催し、BEST ALBUM「2016-2020」をリリース。同年11月23日にリリースされたRADWIMPSのアルバム「FOREVER DAZE」に「Tokyo feat.iri」で参加。
2022年2月に、5th ALBUM「neon」をリリース。10月13日に東京国際フォーラム ホールAにてiri Presents ONEMANSHOW "STARLIGHTS"を開催した。

今年5月に、6枚目のアルバム「PRIVATE」をリリースし、5月17日から自身初となるホールツアーを開催する。

(iri OFFICIAL WEBSITEより)


「PRIVATE」を聴いた/クールマイン的見聞録

”ストリーミング・配信時代を象徴する新世代アーティスト”なる触れ込みで今や飛ぶ鳥を落とす勢いのシンガーソングライター、iriの通算6枚目となるニューアルバムをキャッチ!日常で起こった私的なドラマを詰め込んだという、そのタイトルもズバリ『PRIVATE』。今作もデビュー当時からの盟友であり、敏腕ヒットメーカーである音楽プロデューサーYaffleはじめ、豪華サポート陣が新たな世界観の構築に彩りを添えている。前作から1年3ヶ月、満を持してのアルバムリリースだ。それでは早速、Let's roll !!


炭酸飲料のように爽快に泡が弾ける、超絶ポップでびしびしビートの効いた『Season 』からアルバムはスタートし、リスナーをど頭から鷲掴わしづかみ状態。自身の最大の強みでもある、卓越したメロディセンスとスムースなラッピンを初っ端から遺憾無く発揮!とにかく元気を貰える、そんなオープニング。

どうやらそれほど
悪くないこの世界は
ゆらめくほど
Take me to your world
Let me know
Let me know
すれ違ってく日々も
ここでまた会えるのも
格別なSpice深まるOur story
Let me know
Let me know

 『Season』歌詞より

この部分が最高に気持ち良いフックになっているので、一緒に歌いたくなるのは自然の摂理的にマジカル。4/19にアルバムより先行配信され、最新MVが公開されたのでまずは予習・復習だ。


2曲目の『STARLIGHT』はサッポロ生ビール黒ラベルStar Lyrics企画タイアップ曲。これがまためちゃくちゃイイ感じのリキッドファンクで、ポップにドラムンベースを乗りこなしていく歌が気持ち良い。昨年10月に東京国際フォーラムホールAにて開催した、本人の過去最大キャパとなったワンマン公演のタイトルにも銘打っただけに(厳密に言うとSTARLIGHT"S"だが)、STARLIGHTも特に自信の1曲に違いない。清涼感と疾走感のあるキラーチューンで、既にWaver(iriファンの総称)の間では熱烈に支持されている模様。ライブでの盛り上がりも想像出来る!こちらは冒頭の『Season』同様、過去『Wonderland』や『24-25』を手掛けたサウンドプロデューサー/シンガーソングライターの、ESME MORIが作曲を担当している。


3曲目はアレンジャーに水曜日のカンパネラケンモチヒデフミを招いた『Roll』。アップリフティングなEDM主体で、ジャージー・クラブの特徴的な5つ打ちキックのビートが気分を高揚させる。メロウな歌もさることながら、ラップの部分がカッコ良くて自然に頭が振れてしまう。

※ちなみにこちらのVer.では1975 年に設立したフレンチカジュアルを代表するパリのブランド agnès b.のクリスマスコレクション企画に、ロンドンを拠点に活動するJockstrap、トロント出身アーティストのSaya Grayと共に抜擢され、初のARプロモーションホログラムビデオも制作・公開し話題に。


続く『DRAMA』では鬱屈な日々から抜け出しドアを開いて次へと進むようなポジティブなリリックが印象的で、エモーショナルなR&Bを聴かせる。

続く5曲目『』はAmazon Originalドラマ『モアザンワーズ/More Than Words』の主題歌に起用されており、MVもドラマ制作陣やキャストとコラボレーションした内容で話題を呼んだ。終わってしまった夏を回想するような切なさが、若者を中心に共感の嵐を生み、正に「染み染み」に染みまくる感動的なバラード。臨場感溢れるコンサート会場で聴いたらシンクロしたWaver達が感涙必至の予感!ここでもiriの高いソングライティング力が存分に光っている。


アルバム折り返しの6曲目でもキラーチューンの連発。サウス・ロンドンシーンの注目株であるソングライター/トラックメイカーのedbl(エドブラック)とSANABAGUN.での活動を始め世界的に活躍するギタリスト、Kazuki Isogaiとの共同プロデュース曲、『Go back』がここにどっしりと鎮座ちんざ。今年2月に配信と7インチアナログ盤をリリースし、チルなLo-fi HipHopで耳障りと居心地の良いサウンドが人気を博した。初の海外アーティストとのコラボ曲で見事な化学反応をみせたわけだが、今度は生でこの曲のグルーヴに揺られるチャンス到来である。(※注:当日のセットリストに必ず組み込まれることを約束するものではございません。あしからずご容赦ください。)

続く7曲目『friends』は昨年10月に配信限定シングルで発表された後、先ほどの『Go back』のカップリングとしてリリースされた楽曲。非常に軽やかなステップでありながらラグジュアリーな雰囲気も持ち合わせたハウスミュージックに仕上がっている。メルセデス AMG SLのタイアップソングとして使用されているのだが、この車のコンセプトである、<スポーツカーとして徹底したパフォーマンスの高さとラグジュアリーを極めたスタイリッシュさ>を考えると、完璧な選曲だと思う。
余談だが弊社のnoteで以前、アルバム『neon』のレビューをさせていただいた事がある。その際に収録曲『摩天楼』について、「高級車のCMに使われていても不思議じゃないぐらいラグジュアリーな光沢感のある曲だと思う。」と書いたのだが、たった数ヶ月後にはそれが当たり前かのように実現しているあたり、のびしろオバケなポテンシャルの高さに少し驚きつつも、「ま、でも当然か。」と妙に納得してしまった。
とにかく歌もラップもiriの声質のカッコ良さを十分堪能出来る1曲。ドライブのお供に愛聴している方続出のようだが、今度はコンサートホールでプチョヘンザ(put your hands up)しながらノリノリになっていただきたいところ!(前述 ※注:に同じ。)


moon』はループする感傷的なフレーズが印象に残る曲だった。アコギの音色と落ち着いたBPMのブレイクビーツの融和が最高で、儚くはかなくトリートメントがほどこされた切ない音のレイヤーが効果的に感受性を突いてくる。メタな思考で描かれたリリックの中で呼びかける「君」は性別や年齢を限定せず、色々な場面でシンクロするのではないか。アルバムリード曲という訳ではないのかも知れないが、個人的には隠れた名曲だと思った。
続く『boyfriend』もレイドバックしたオーガニックな演奏に溶け合うように、ソウルジャズな歌声がセンチメンタルな心情を吐露とろしていく。そしていよいよそこかしこにある日常のドラマは最後の曲へと繋がる。

締めくくりの10曲目『private』。アルバムタイトル曲だから、と勝手に自分の中でド派手なナンバーを想像していたが見当違い。ピアノジャズとボッサとHipHopの間を行き来するようなトラックの上を、低めのトーンでスイスイ乗りこなす歌声。オーバーダブされたファルセットのコーラスも美しい。時折フィルターが掛かってドリーミーな雰囲気をかもし出しながら静かにエンディングを迎えた。大味で肉!肉!メイン!メイン!もうお腹一杯!!ではなく、料理の出す順番から食後のデザートまでよく考えられた、ちょ〜〜ど良いコース料理を堪能した気分だ。成人女性に対して使うのに適切な言葉じゃないが、実に大人っぽくてクールな余韻を残して日常のドラマは一旦フェードアウトしていく。


【PRIVATE雑感】

フレッシュで高次元のサウンドチャレンジング、それに呼応するかの如くアップデートを続けるシンガーソングライターの自信作。という感想を率直に抱いた。表現力豊かなヴォーカルスキルが多元的に楽しめる為、おしゃれでカッコいいクラブミュージックを良い意味でお茶の間レベルまで落とし込める技量と懐の深さのようなものが今作もより際立っている。そして単純に曲の良さで聴かせる事が出来るという、弾き語りがルーツだった彼女の本質が何よりの強みなのだろう。
2021年にデビュー5周年に突入して以降、数々の場数を踏み、大きく成長を遂げ、更にスケールアップしたステージパフォーマンスに期待せざるを得ないのであった。

・・・

今回の公演の会場となるのはトークネットホール仙台。仙台市を代表するコンサートホールの1つで歴史も古く、地元では「市民会館」との呼び名で昔から親しまれた場所です。時期的に緑が爽やかな”けやき並木”を抜けた先に位置し、西側には広瀬川も見る事が出来ます。気持ちの良い緑の散策がてら、彼女の素敵な歌声をご堪能されてはいかがでしょう。また他県にお住まいの皆さまにつきましては観光がてらぜひこの機会にもりの都・仙台に遊びに来てください!
クールな歌声と人懐っこいキャラクターで愛されたiriの初のホールツアー、東北地方は宮城・仙台公演のみ開催ですのでこの機会をお見逃しなく!!

◆詳細は下記【ライブ情報にて】


【作品情報】

アーティスト: iri

作品名:PRIVATE

発売日:2023年5月10日(水) ※配信同時リリース

初回限定盤(CD+CD):VIZL-2181 / ¥3,800(税抜) ¥4,180(税込)
通常盤(CD): VICL-65817 / ¥3,000(税抜) ¥3,300(税込)
アナログ盤(LP):VIJL-60289 / ¥4,000(税抜) ¥4,400(税込)

▽各種特典など詳細はこちらで確認▽



【ライブ情報】

iri Hall Tour 2023 “PRIVATE”

2023年5月18日(木)
OPEN 18:00 / START 19:00
@トークネットホール仙台(仙台市民会館) 大ホール

全席指定 ¥7,000(税込)
※未就学児入場不可
※電子チケットのみのお取り扱いとなります。
※新型コロナウイルスの感染拡大に伴う、政府・自治体等による指示や要請により、開場・開演時間の変更や公演の延期及び中止になる場合がございます。
※別途コロナ感染対策ガイドラインがあります。
※営利目的の転売禁止。

TOTAL INFORMATION


【アーティスト情報】

・iri OFFICIAL WEBSITE


・iri OFFICIAL YouTube channel

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