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続・青木真也の仕事

いつもより早く目が覚めました。

昨晩の総合格闘技イベントOneChampionship、青木真也(王者)VSクリスチャン・リー(挑戦者)のタイトルマッチのせいでしょう。

結果は2R、クリスチャン・リーのTKO勝ち

過去に何度かあった大一番での敗北とは違い悔しさよりも清々しさが大きいのは、青木真也の作り上げた世界、試合後の態度が素敵すぎるからだと思います。

正直、青木真也の負けた試合でこんな気持ちになったことはありません。勝ちしか期待していないからです。

青木真也の戦績は44勝10敗。10敗のうち判定は2試合だけ。残りは全てKO負け。倒されなければほぼ勝つという驚異の数字です。

戦績からも分かる通り青木真也の弱点は打撃です。試合中の打撃の対処を見てもそれは明らかで露骨に顔を背けがちなその姿はお世辞にもカッコイイものではありません。僕たちが格闘家のそれを想像するほどの超人級の打たれ強さもありません。

奇妙な言い方ですが選手には、負けても納得してもらえるタイプがいます。所謂、「漢(おとこ)らしく殴り合うタイプ」の選手です。
青木真也は間違いなくこのタイプではありません。

青木真也は「勝たなければ納得してもらえない」タイプの選手です。

リング外での発言や振る舞いに対して結果で黙らせる、結果で言葉の説得力を積み上げてきた選手です。

僕はそんな青木真也の試合に、前回のフォラヤン戦である種の違和感を感じました。
それまでの試合に観られた打撃に対しての露骨な避けというものを全く感じなかった点です。

デビュー間もなく中尾受太郎戦で派手にKOされたときの若さ故の怖いもの知らずからくる「いったれ感」ではなく、
打撃の恐怖を受け入れた上での覚悟を決めた表情に見えたのです。

リー戦もそうでした。一発食らうと自ら仰向けに倒れて防御の姿勢を取る姿が僕の見慣れた青木真也の姿です。(戦略的には正しいのですが)

今回は体は倒れても最後まで相手に気持ちが向かっているように感じました。倒れまいと脚を踏ん張る姿を見て良い意味で

「らしくない!」

と思い、胸が熱くなりました。

私生活でも色々あった。
残された選手生命は短い。
自分がギリギリ世界で闘える内に最高の相手に全てをぶつける。

色んな事が覚悟となって表れた試合でした。
もちろん勝って欲しかったし、青木真也自身も「負けても納得される選手」になることは生き様として望んでいないハズですが、
作品の完成度という意味ではフォラヤン戦以上だったかも知れません。

PRIDEから今まで、70kgの世界で青木真也は日本のトップで独走してきましたが、
そもそもこれは異常な事態です。
逆に言えば青木真也を脅かす選手が出てこなかったと言う事で、誰もついて来れなかったと言うことです。これは青木真也自身にとっても、もしかしたら不幸な出来事だったのかもしれません。

本人にその気が無くでもファンは勝手に全てを背負わせます。

戦後のマイクでリーに対して「キャリアとベルトをパスする」
という発言を聞いて「肩の荷が降りた」と言ってるようにも聞こえました。

国籍にこだわらない僕も、青木真也がバトンを渡す相手、引導を渡される相手が日本から出て来なかった事実に、日本の格闘技界に対してほんの少しの寂しさを感じるし、
バトンを受け取ったリーに対しては思い入れが強くなりました。
同時に数年前のインタビューでの「辞めるときは負けて次世代に繋げて辞める」
※https://twinavi.jp/topics/tidbits/563e9a98-4368-41e1-91f7-39335546ec81
というのを思いだし「引退」の二文字がよぎりましたが、
直後のnoteでそれは無いことが発信されてホッとしています。
※青木真也 shinya aoki @a_ok_i|note(ノート)https://note.mu/a_ok_i/n/nfc0d21957b93

もう少し、バカのサバイブが観られるようですので、今後もしばらく素晴らしきメンヘラ格闘家に気持ちをアゲサゲさせて貰えそうです。

※試合開始まで落ち着かないのでソワソワしながら描いたものです。

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