綾鷹に見る”美味しい”を聞かないマーケティング

綾鷹というお茶がコカ・コーラ社にあります。

コンセプトは「急須でいれたようなお茶

発売年は2007年。

コカ・コーラ社は緑茶飲料で長年苦戦していて、清流茶房、なごみ、まろ茶となかなかヒット商品に恵まれず、当時の本国から来ていたジャパンの社長はそれで首になったとかならなかったとか。

緑茶飲料はサントリーが2004年に伊右衛門を出して大ヒット。各社の緑茶飲料競争が活発になりました。

これは2010年あたりのTVCMです。

最近のはこちらですね。

寿司職人さんを集めブラインドでお茶を評価してもらうテストをして、一番選ばれたのは「綾鷹」でした!というCMです。

どちらも圧倒的に綾鷹が選ばれています。
でも、質問をしっかりみたことはありますか?

問「急須でいれた緑茶にもっとも近いのはどれ?」

です。最も美味しいお茶でもなく、お寿司にもっとも合うお茶でもありません。

問「急須でいれた緑茶にもっとも近いのはどれ?」

です。一言も急須で入れたお茶は美味しいとは言っていません。

綾鷹の特徴はにごりです。ペットボトルに長期間あると、”おり”が沈殿します。”おり”は商品クレームの原因になり、各社その”おり”の原因であるにごりを除去し、緑茶らしい味にする製法にしのぎを削っていました。

その中で、逆ににごりを前面に出した商品にしたのが綾鷹です。そして、にごりがあり、かつ”おり”ができるあるのを消費者、流通のバイヤーに知らせるために作られたのがこのCMです。

実はやぶ北ブレンドなどのお茶は急須で入れてもにごりはありません。(すごいビビットな緑でたまに見るとびっくりする)。急須でいれたからといって緑茶は必ずしもにごるとは限らないのです。(もちろん、種類によります!)

これは本当にうまいやり方で、「寿司職人さんが選んだお茶だから美味しいに違いない!」と思ってもらう作戦です。でも、お寿司さんが選んだのは急須に入れたお茶に一番ちかいお茶なのです。
これは「美容師さんに薦められたからいいシャンプーだ!」とか、「歯医者さんが薦めているからいい歯磨き粉だ!」と同じような作戦です。一種のレトリックです。

マーケティングとしてとても優秀です。

私は綾鷹のCMを見るたびに、このことを思い出します。




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