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メンバーとマネジメントの気持ちの差を浮き彫りにするゲーム

「リーダーをやってみるという人は手を挙げてください」
全部で5チームほどあっただろうか。各チーム6〜7人で構成されていた。

リーダー研修での出来事。参加者はすでにチームリーダーなどマネジメントを経験している人間か、これから経験する予定の人間。全てのチームが立候補でリーダーが決まると、講師が説明を続ける。

「これからリーダー以外のチームメンバーには目隠しをしてもらいます。各チームのリーダーには同じお題を与えますので、お題のゴールを目指してメンバーに指示をしてください。」

まず最初にメンバーが横一列に並び、その目の前に長いロープが置かれる。

「お題というのは、このロープで指定の図形を作ってもらうというものです。そのロープの位置と、メンバーの位置を、リーダーの指示で移動して作ってもらうというもの。リーダーはロープに触ってはいけませんし、メンバーを手で引っ張って案内したりしてはいけません。」

要は、メンバーが目隠し状態で、口頭の指示だけでロープを持ち上げて動かして、大きな図形を完成させるというもの。図形だけではなく、図形に対するメンバーの位置もゴールに含まれる。時間制限もある。

「では、始めてください。」

掛け声とともにリーダーが各メンバーに指示を始める。
「お、いま真ん中のチームが優勢ですよ!」
ちょいちょい講師が煽りを入れて、他のチームリーダーを焦らせたりする。

私はメンバー側。目隠し状態だと、だんだんと自分が部屋のどこにいるのかもわからないし、ロープがどこにあるかもわからなくなる。

すべてのチームが完了を告げると、目隠しを取る。私のチームは他のチームに比べ、こじんまりとして小さな、崩れた図形が出来上がっていた。「なんじゃこりゃ」と不満げな表情を浮かべるメンバーも。

その後、チームごとに円陣を作り、ゲームが始まってから、目隠しを取るまでの気持ちの上がり下がりをモチベーショングラフにし、その時、なぜ気持ちが下がったのか。なぜその時上がったのか。を一人一人説明する。

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イメージこんなやつ。

最初はこれから始まるゲームにワクワク。期待で上の方に位置していたモチベーションも、ゲームが始まると目隠しで見えない不安、指示の不明確さに対する不満、意外と長く感じる時間、などが作用して、下がっていく。最後は解放されて少し上がる。みたいなグラフを描く人が多かった。

メンバーからは

「まず最初にどういう図形を作ろうとしているか説明がなかった」
「口頭での指示がわかりにくい」
「他のメンバーに指示している時、放置されている時間が長く不安に感じた」
「いま全体の何割ほど出来上がっているのかわからなかった」
「リーダーが不安そうな発言をしていると、こちらも不安になる」

など言いたい放題。

リーダーは、

「なんて説明すればいいか考えるのに時間がかかってしまった」
「説明しても上手く伝えるのが難しかった」
「メンバーがだんだん不安な気持ちになっているのが伝わってきて、さらに焦ってしまった」

など反省の言葉が多めだった。

「みなさん、やってみていかがでしたか?」と講師。

「今回はリーダーとメンバーに分かれてもらいましたが、実際の会社ではみなさんリーダーです。あなたのチームメンバーは、目隠しをされているくらい、チームや会社が何を目指しているのか見えないものなんです。」
「マネジメントというのは、組織が大きくなればなるほど、コミュニケーションの結節点(情報をスムーズに伝え、共通認識を合わせるために間に立つ人)として機能しなければなりません。」
「あなたはリーダーとして、会社が何を目指し、そのためにチームがどう機能する必要があるか、きちんと伝えられていますか?それぞれの人の役割をきちんと伝え、納得して動いてもらえていますか?」

私もメンバーとの1on1はいろんなことを意識し、事前に準備を重ね、毎度覚悟を持って臨んでいたが、ここまで差がある認識の隙間をきちんと埋められていただろうか?

伝えていても、伝わっているつもりになっていたのではないか?
伝わっていても、腹落ちしてくれていただろうか?
そもそも自分は会社の方向性、チームに求められる目標や役割にきちんと納得した上でメンバーと話せていただろうか?

自分もメンバー経験があった上でマネジメントをやっていたのに、いつの間にかメンバーの気持ちがわからなくなっていた気もする。

最後に講師はこうまとめてくれた。

「ビジネスを構成する"ヒト"、"モノ"、"カネ"の中で、マネージャーがどうにかできるのはヒトだけです。言語化して共有する。これを徹底しましょう」

コミュニケーションの側面において、マネージャーに求められる役割は大きく4つに分けられると言う。

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頭では理解しても、まだまだ現場ではうまくいかないことも多い。これからも経験を重ね、会話を重ね、試行錯誤しながら進むしかない。

せめてこの記事の経験や情報が同じように悩む人の一助になりますように。

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