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34才のライター宣言。

明けましておめでとうございます。牧野です。普段は文鳥文庫を出版する「文鳥社」や、企画・デザインを中心としたブランディングをする「カラス」や、その親会社である「エードット」で役員をやっています。

ほとんどの方にとってどうでもいいことであると承知で書きますが、今年からは「ライター」を名乗っていこうと思います。もともと博報堂に入社した頃から「コピーライター」という職種だったので「すでにライターじゃないか」と思われるかもしれませんが、「コピーライターとライター」は全然別の職種です。

コピーライターは「言葉を基点にアイデアを考えだすプロ」です。もちろん言葉の細部にこだわりますし、ボディコピーのような「文章」を書くこともあります。でも長文を書くことは稀です。企業や社会が抱える「課題」と「ありたい未来」をつなぐアイデア(言葉)を書くことを追求することが、コピーライターの仕事です。

これまたとても当たり前のことを書きますが「ライター」は「きちんとした文章を書ける人」だと考えています。その点、僕はきちんとした文章が書ける人間ではありません。だからこれまで「ライター」を名乗ったことはありませんでした。

もともと純理系で、国語の成績は悪く、センター試験は200点満点で90点ほどでした。誤字脱字も多く、言葉も知りません。知識も教養も大してありません。それでも2019年はライターという職業にチャレンジしてみようと思います。その理由は大きく二つです。

ひとつは、文章を褒めてくれる、好きだと言ってくれる人がいるからです。

昨年末、糸井重里さんと登壇する機会をいただきました。テーマはざっくり言えば「広告業界の未来」についてです。その場で糸井さんにこのように言われました。

(大変失礼なことを言いますが) 牧野さんは、考えていることも、やっていることも大したことない。大したことないのだけど、伝え方や文章がとにかくうまい。それにみんな騙されてしまっている。だから、「大したこと」をやりはじめたら、すごいことになるんじゃないかと思う。 (意訳)

「考えていることは大したことない」って言われて傷ついていたのですが、よくよく考えると、あのコピーライターの大巨匠であり、ほぼ日を20年続けているライターの糸井重里から「伝え方=文章がうまい」って言われるのは、かなりすごいことではないかと思い返しました。

そのほかの場所でも、文章が好きだ、と言ってくれる人がたまにいて、こんなに下手な文章なので恐縮なのだけど、やっぱり嬉しく思うし、そんなに褒められることも他になかなかないわけです。「文章は自分の大きな武器なんだ」と34才にして再発見してここにいたります。

もう一つの理由は、書きたいことがたくさんあり、それを書ききる力と、それを届ける力がほしいからです。

書きたいことがたくさんあります。自分の周りで動いているプロジェクトのことや、カラスや文鳥文庫のことやエードットのことや、それらに関わる素晴らしいメンバーについて書きたいと思います。

社会を覆う不寛容さについても書きたいし、新しい資本主義についても書きたいし、女性がより活躍しやすい社会についても書いていきたい。不均衡な大卒文化についても書きたいし、広告業界の未来についても書きたいし、ブランドやデザイン論も書いていきたい。書きたいことだけは列をなして待っています。

それを書ききるには力が必要でした。しかし、今の自分にはまだ、それを「書ききる力」がありません。その課題を前に、絶望するばかりです。象について書けるかもしれないが、象使いについては何も書けないかもしれない。どこまで書いても「ああ、もっとうまく書けたかもしれない」という可能性がつきまとう。その力のなさに絶望してしまう。

それらを「書ききる力」が欲しいし、書いたものを「広める力」がほしい。当たり前だけど、その「力」は天を見上げていても降ってはこない。それは、たゆまぬ地道な努力からしか生まれないことだけはわかっているのです。だから今年は書こうと思います。


書く、描く、画く。それらすべて「掻く」が語源らしいです。石や木や壁に引っ掻き、「跡を残す」ところからきていると聞いたことがあります。つまりは、「かく」とは、何かを残したいという強い思いから生まれる衝動です。書くというは、もがく、あがくことでもありそうです。

というわけで、今年は「かく」ことに本気で取り組む一年にしていきたいと思います。もしライター仕事があれば気軽にお声がけください。もがき、あがきながら、頑張って書きたいと思います。


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