NN店 1箱目 1人と1人カラオケ

奈桜は、埼玉県藤の牛島駅近くで学校帰りに1人でカラオケ店へと向かっていた。

吉浦奈桜、女の子、髪型はゆるふわなロング、背は低め。体型も普通、高校1年生で趣味は1人カラオケで得意な事はペン回しとドラムスティック回し。特にドラムが叩けるわけではないが、ドラムスティックを回すことだけ得意。前にドラムをかじったことあるが難しくて断念した。

カラオケにはよく行く。それこそ週に4回とかの頻度で行っている。お金は何処からかって?
それはバイトをしているから、お金がある。バイト先はもちろん、カラオケ店だ。ちなみに将来の夢はカラオケが好き過ぎて自分のカラオケ店を開店する事。

ここまでくると、ある意味カラオケマニア。いやカラオケマニアに違いない。

奈桜はカラオケ店に着くと、料金を払いボックスの中に入った。

いつも歌うものは決まってないが、ゆずの栄光の架橋が好きでいつも歌う。それ以外にも、バンドものであったり、YUIのようなアーティストも歌うし、ポルノグラフティも歌うし、歌う曲は多彩だ。歌は上手いと言われると分からない、友達がいないから友達とカラオケに行くことがないから、上手いか下手かは分からないが、カラオケの点数を見ると良い点数になるため多分歌を歌う事は上手いほうだと思う。

そんなこんなで、奈桜は「ゆずの栄光の架橋」を最初に入れて、早速歌った。

歌う途中、隣のボックスから同じ栄光の架橋が聴こえた。お隣さんは男性だ。どうやら同じ曲を選曲したらしい。すると、明らかに下手な歌い方が聴こえてくる。

奈桜は歌うことを1度辞めた。歌う気が無くなったようだ。隣が歌い終わってから歌おうとしていた。

〈奈桜〉なんなの?

隣が歌い終わったので、また奈桜は栄光の架橋で再挑戦することにした。歌おうとすると、また偶然にもお隣さんが栄光の架橋で被らせてきた。

〈奈桜〉まじで、なんなの!?

すると、奈桜は立ち上がり部屋をでて隣のボックスを様子見することにした。

ついでに、飲み物を取りに行った。そこにちょうど、お隣の男性が出てきた。

奈桜は少しイラっとしていたのでガツンと言ってやろうとパッとその男性を見ると、見覚えのある男性だった。

〈奈桜〉ちょっとあんた…… って君?

〈法斗〉わっ! すみません! うるさかったですか!?

〈奈桜〉いや、うるさいとかじゃなくて……

〈法斗〉?

〈奈桜〉君、どっかで見た事あるわ

〈法斗〉え、えーと?

その男性はメガネをしていて、おぼっちゃまくんのようなキノコヘアーに背はスラッとした高めで、こういう人っていかにもネガティブ思考の人が多いし、見た目で悪いけど、陰険な人って最初は思ったの。でも少し違った。

さっき、見た事あるって言ったのは恐らく同じ学年で同じクラスの中澤法斗くんだと思う。法斗くんもいつも1人でご飯食べてたり、1人で帰ったり、1人でいる所をよく見かける。でもまさか1人でカラオケに来てるなんて意外だった。

でも、歌は下手すぎ。

法斗くんを見て奈桜はなぜか怒る気が失せた。

そんな法斗は奈桜を見てオドオドしていた。

すると、法斗は口を開く。

〈法斗〉あ、あの、もしかして吉浦さんですか?

〈奈桜〉あ、うんそうだよ

〈法斗〉あの、友達とここに来てるのですか?

〈奈桜〉いや1人だよ、てかなんで敬語?タメなのに

〈法斗〉ごめんなさい! 吉浦さんと話したことなし、僕人見知りだから……

〈奈桜〉たしかに話したことないね、いいよ、今から話そう

〈法斗〉え!? そんな! いいの!?

法斗はめちゃくちゃ嬉しそうだった。

〈奈桜〉いいよ、えーとじゃあ私が中澤くんのほうのボックス移るね、いい?

〈法斗〉あ、はい! 大丈夫です!

〈奈桜〉じゃあ、ちょっと先に行って待ってて、店員さんに言ってくるから

〈法斗〉わ、わかりました

すると、法斗は自分のボックスに戻って行った。

奈桜は、店員さんに説明して法斗のいるボックスに移動することにした。
2人は同じボックスでカラオケをすることになった。2人とも初の2人カラオケ。

なんとも言えない状況。だが、この偶然からこのカラオケから始まる法斗と奈桜のカラオケを中心としたなんとも面白い付き合いが始まっていく。


ー 1箱目 1人と1人カラオケ ー つづく




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