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【サディ】読者の口説き方 #コルクラボの温度

本を読む習慣がない人にも、本を読んでもらうには?
コルクラボのキャプテン・佐渡島庸平(サディ)が、『読者の口説き方』というテーマで、これからのコンテンツについて語ります。

(これってどんなnote?)コミュニティを学ぶコミュニティ「コルクラボ」のメンバーが運営している音声番組「コルクラボの温度」。PodcastやVoicyでコミュニティやコルクラボに関することを配信しています。noteでは、「コルクラボの温度」で配信した音声の記事化、その他関連情報などをお送りしていきます。

(今回はどんな記事?)10月10日にVoicyで配信した内容を、テキストにしてご紹介します! 音声は下記リンクから聞けます。

はじめのあいさつ

とっちー:こんにちは、コルクラボのとっちーです。
この番組は「コルクラボの温度」というポッドキャストにVoicyオリジナルコンテンツを加えて配信しております。
今日はコルクのサディこと佐渡島さんにインタビューをしまーす。

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読者をどうやって『口説く』のか

とっちー:じゃあサディ、お願いしまーす。

サディ:はーい。

とっちー:今日のテーマは…わたしが出したのが全部ボツになったんだよね?

サディ:そう、なんかね、話しづらいの(笑)

とっちー:あはは、そーなんだ(笑)

サディ:なかなか深く話せないなと思って。

とっちー:うんうん、10分ていうと結構深く話せるもんね。

サディ:そう。あとね、大抵のことは喋るんだけど。

とっちー:うんうん。

サディ:こういうふうにラボとかで直に会ってる人には喋っても、こういう完全な公開の場では、超重要な戦略については話したくなくて。

とっちー:なるほど、それも(お願いしたテーマに)入ってたんだね。

サディ:そうそう、とっちーのお題にはね。

とっちー:うんうん。聞きたかったけど。

サディ:うん。それはまた、個別にね。Voicyじゃないときに(笑)

とっちー:わかった了解!(笑)
で、今日は何を話すかっていうと…

サディ:今日は、「読者をどうやって口説くのか」っていうことに対して、僕が考えていることを話そうと思う。

とっちー:え、それはどうやって本を読んでもらうかっていうことと同義?

サディ:うーんと、もし「本を読む習慣」がみんなにあるんだったら、「面白い本を書く」っていうのが、一番努力するべきことなんだよね。

とっちー:うんうん、わかるわかる。

サディ:でも、本を読む習慣がないんだったら、「どうやったら本を読んでもらえるか?」っていうところも考えなきゃいけなくて。

とっちー:行動を変えるってすごく大変だもんね。

サディ:そう。だからこれって…なんだろなあ。例えば、女性を口説こうと思った時に、まあ、その女性も付き合ったらキスはしてくれるのよ。

とっちー:そうだよね、告白してオッケーだったらそこまでは。

サディ:でも、キスが超うまいからって、誰とでも付き合えるわけじゃないじゃん。

とっちー:うん、そうだね。

サディ:だから最高に面白い本があるからって、どんな人でも読んでくれるわけではないんだよね

とっちー:なるほどね。

サディ:だからやっぱり、そこに行くまでの道筋っていうのが設計されてないと、ダメだなって思って。

とっちー:うん…ちょっと、例がどうだったんだろうなとは思うんだけどさ(笑)

サディ:(笑)

とっちー:キスのために付き合うわけじゃないからね(笑)
ごめんね、それでー?

サディ:それで、もしもね、誰かを好きだなって思ったとするじゃん?

とっちー:うん。

サディ:その人をメールだけで口説こうと思ったら、すごく難しいのよ。

とっちー:一通だったらってこと?

サディ:一通というか、メールしか使わずに口説けって言われたら超むずい。

とっちー:えー、メールでも恋に落ちるけどね。

サディ:メールだけで?

とっちー:はい…(笑)
まあ、写真で顔知ってればかな。

サディ:メール以外のことも知ってるじゃん、それだと。

とっちー:うんうん。写真もなしで?

サディ:そう、完全にメールだけだと難しい。

とっちー:難しいと思う。たしかにね。

サディ:今の時代って、メール、LINE、リアルに会う、もしかしたらリアルに会ったときに手紙を添える…そうやって、複数の手段で違うコミュニケーションを組み替え、繰り返して、口説いてるんだよね。リアルな人を口説く場合って。

とっちー:あーなるほど。たしかにたしかに。

サディ:で、「本と読者の出会い」っていうものも、書店での1回の出会いっていうのでは難しいと思う。

とっちー:うん、そうだね。

サディ:ツイッターで誰かが面白いって言ってる、新聞でその本自体が広告してる、書店で見かける、これでやっと3回の出会いじゃん。

とっちー:うん。

サディ:「複数の出会いをどういうふうにして設計するのか」っていうことが、超重要だと思ってて

とっちー:え、いわゆるさ、クロスメディアって言われているものってこと?じゃないの?

サディ:クロスメディアは映像化とかじゃん。映像化とかも、結局「コンテンツの状態」を変えてるじゃん。

とっちー:あー、なるほど。接触点を変えてるわけじゃないってこと?

サディ:そうそう、コンテンツの状態を変えてるんだけど、そうじゃなくて、様々なかたちで何度もそのコンテンツに触れてもらうことのほうが、大事だと思ってて。様々なメディアで、様々なかたちで、それに触れてもらうっていうことをどういうふうにしてつくるのか。

とっちー:うんうんうん。

サディ:だから、最近僕がやってるのは、やっぱりまずはツイッターで複数の人の意見に触れてもらうということ。

とっちー:あー、サディの意見だけじゃなくて。

サディ:そうそうそう。

とっちー:色んな人の。

サディ:たとえば、「破天荒フェニックス」にしても「ある男」にしても、僕だけじゃなくてフォロワーが超いる人もそうでない人も、とにかく様々な人が楽しいと思っているんだなと。

とっちー:うんうん。

サディ:僕の近しい人もそうだし、近くない人も楽しいと思ってる。

とっちー:うんうん。

サディ:その楽しいと思っている人のサンプルが増えたりだとか、更に新聞に載ったりだとか、インタビューで知ったりだとかっていうかたちで。

いまは多分ね、1500円とかそういう金額はそんなに問題じゃなくて、2時間とか3時間とか、誰かに時間を取ってもらおうと思ったら、5秒10秒のかたちで、「何回も口説く」っていうことが必要とされている時代だな、というふうに思ってて。その、何回も口説くってかたちをどういうふうにして設計するのか。それで、そういうふうにして(何回も口説かれて)読み出すのと、ただ本屋でサクッと知り合うのと。

だから、いきなりすぐ付き合うのと、いろいろあって付き合うのとどっちが楽しい?とかっていうのと同じで。

とっちー:うん、どっちも楽しそうだけど。あれ?笑

サディ:そうそう、どっちもあり得るんだよ?でも…

とっちー:ちがうよね。楽しみ方がちがうかも。

サディ:そうそうそう。「コンテンツ自体が自分の手元に来るためのコンテキストも設計していく」っていうことが、必要な時代になってきているなと思うんだよね。

とっちー:うんうん。そこも、楽しみのひとつみたいな?

サディ:そう、そう。で、今すごく考えているのが、お金を払うことが楽しみの一つになってないなと思って。

とっちー:あ、いま?

サディ:そう。お金を払うっていうところだけは、まあ仕方がないなって思ってやるじゃん?ポルカっていうのはお金を払うことそのものも、楽しみのひとつなんだよ。

だから、「どういうふうにして『お金を払う』っていう行為自体を楽しみの一つにするのか」っていうのが、すごく重要かなと。

とっちー:たしかに。できれば、その本を買うんだったら、「その著者さんの目の前で払いたい」とかね?

サディ:そうそうそう。

とっちー:見えるところでやりたい。

サディ:著者に直に渡すのとは全然違うじゃん?

とっちー:うん、たしかに。

サディ:っていうので、実は様々なことが、まだまだエンタメになるはずで

とっちー:あー、可能性がある。

サディ:うん、でもそれが全部バラけちゃってるから、それをどういうふうにしてコンテキストとして、一本筋を通すのかっていうことが、「コンテンツを外まで編集する」っていう行為だなって思ってて。

とっちー:ああ、なるほど。

サディ:そのコンテンツだけじゃないっていうか。

とっちー:うん。

サディ:コンテンツをつくるときに、外まで編集するってことを考えるように、もう一回してるんだよね。

とっちー:それはPRとして、分けちゃうんじゃなくて。

サディ:いや、PRじゃないの、もうそこもコンテンツなの

とっちー:そうなんだ。

サディ:ツイッターを読むのもコンテンツなの。

とっちー:うんうん、なるほどね。

サディ:そう。それが今まさに、考えていることで。

とっちー:考えていること。

サディ:だから、今までは、どういうラブレターを書くと口説けるかなって考えてて、一生懸命文章を考えていたのが、「どういうふうにラブレターを渡すと、このラブレターの文面だと口説けるのかな」っていうところまで、セットで考えるようになってきたってことかな。

とっちー:シチュエーションとか?

サディ:うん、そう。

とっちー:なるほどね。それがこれからの、読者の口説き方?って感じね。オッケー?笑

サディ:オッケー。

とっちー:はい、どうもありがとうございました。

サディ:はーい、ありがとう。

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おわりのあいさつ

とっちー:最後まで聴いてくださって、ありがとうございます。今サディが考えていることでね、あんまり、いつもよりピチッとまとまったという感じがしなかったかな、と私は思うんだけど、

でもそういうのって、サディのほんとに頭の中のことで、別に誰かに綺麗に説明しなくても「こういうことってあるよね~」みたいなことが聞ける、こういうカジュアルさってすごくいいなって思いました。

メディアの記事とかだと、最後きちっとまとめなきゃいけない、とかさ。メディアの未来がどうこうみたいな、そういうのまとめたりしなきゃいけないけど、こういうふうにサディの頭の中を垂れ流すみたいなことって、素敵だなって思いました。

どうだったでしょうか。感想とかいただけると嬉しいです。ツイッターでもいいし、このコメントでもいいので、よろしくお願いします。以上、『コルクラボの温度 by Voicy』お相手はとっちーでした。バイバーイ。

関連リンク

●コルクラボの温度HP

●サディTwitter サディnote

とっちーTwitter とっちーnote

各種担当者

●文字起こし:まーしゃ

●編集:くりむー

●投稿:くりむー

編集後記

今回は『コルクラボをどう変えたいか?』に続く、サディのインタビュー回のテキスト化、第2弾でした!

「良質なコンテンツを作ることができたら、あとは発信さえすれば自然と時間を割いてもらえるだろう」と思ってしまうのではなく、「5秒10秒のかたちで何回も口説く」。そうして初めて、消費者に時間を割いてもらうことができる。そして、その口説きが、さらに先にある『したしみ』や『愛着』につながっていくのだろう。

そんなことを考えながら、今回のサディの話を聞いていました。「キスが超うまいからって誰とでも付き合えるわけじゃない」という考え方は忘れずに持っておきたい!そう思った回でした!(くりむー)

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