釣り好きトウト

夫(トウト)の釣り好きは、日々増している。

そう感じ始めたはここ数ヶ月のことだった。

学生のころから釣りをやっていたそうだけれど、出会ったころにはまったく釣りをしていなかったのでわたし自身もトウトが釣り好きだというイメージも湧かずに過ごしてきた。

大人になってから趣味にお金をかけられるようになったというのも理由のひとつかもしれない。ほんの数ヶ月前にたまたま釣具屋にふたりで行ってから再発起。

釣りをやれるようになったトウトは水を得た魚のようにうれしそうに、そして没頭し始めた。

これまで仕事人間でギスギスしていたトントンに少し癒やしの時間が生まれた。

毎日潮の満ち引きのアプリと、Youtubeとそれから、昨日の反省点を活かしながらネットを駆使してひたすらにらめっこしている。前の反省を次につなげようとしているのだ。

わたしはトウトのこういうところがたまらなく好きだ。

自分だったら「今日は釣れなかったなー」と反省もせずに終わらせてしまいそうだもの。やっぱりトウトは根がアングラーなんだなと思う。

実はというと出産前にこんなに毎日釣りにのめり込んで、口を開けば子どものことはおろか、「今日は釣れるかな」しか言わないトウトにはじめは父親として大丈夫かなとも思わなくもなかったけれど、それ以上にこの釣り話をトントンの口から聞くことの方が楽しかった。
だから、いまは息子にトウトの釣りの話を聞かせてあげたいとすら思うようになった。


川の濁り、静かな川、流れの早い川。冬の川。イナッコが絨毯のように広がる川。

それぞれに川の中の生体の動きも変わるようで、聞いているだけで川の表情が目に浮かぶようでワクワクする。変化のひとつひとつが面白い。

出不精の私にとってはトウトの毎日は大冒険で、自転車ひとつで最寄りの川じゃ飽き足らず、一度いったら4〜5時間は集中してなかなか帰ってこない。

先へ先へと拠点を変えて、どっぷり浸かりきってお土産話を聞かせてくれる。

トウトにはこんな集中力があったのだと、才能の開花を感じてしまった。

トウトとは結婚前に7~8年の付き合いがあったのだけれど、なんにも知らなかったんだなあと、思い起こす。

才能が目覚めたトウトは、息子が大きくなったらどんなアングラーに成長しているんだろう。

トウトと息子。母ちゃんにとってはふたりの成長に目を見張るばかりなのだ。

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