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閉じた言葉に気をつけて。あなたの当然は誰かの当然じゃないよという話、あるいは自分という商品をデザインすることについて。

仲間内で使うような感覚的な表現や専門用語がお客様を遠ざけているかもしれないという話、あるいは自分という商品をデザインすることについて。演劇について書きますが、たぶんきっとどの業界も同じこと。

タイムラインを眺めて思うこと

宣伝美術なんていうセクションを担っていると、交友関係やSNSのフォロー・フォロワーも自然と演劇関係者が多くなります。TLに流れてくるシェアされたコンテンツも同じく。

そこでよく気になるのが「この人は誰に対して発信しているのだろう?」ということ。

たとえばnoteで役者が芝居について話す場合、演技・テクニック・知識などについて専門用語を交えて話すことにもすんなり納得できます。「熱量万歳!」「愛を語る!」的なコンテンツが受け入れられる空間だから。ところがTwitterはこれが掴みにくい。不特定多数も不特定多数、ジャンルもターゲットも属性もテンションも方向性もどフリーだから自由過ぎて逆に散漫にもなりやすい。

同業者に対して技術的な話や演劇論的な話をしていたかと思えば、突然お客様への観に来てアピールが始まったりする。

Twitterという即発信できる手軽なツールだからこそ「発言すること」のハードルが下がるのだし、つぶやくという表現はまさにそういうことなのだと思う。が。

アピールやPRに使う以上、言葉は選んだ方がよくないかい?

個人的に割とよく出くわすのが、お客様やファンに向けて、作り手向けの言葉や表現で発信してしまうこと。役者間の言語や作り手同士の表現、専門用語、そのあたり一般人にはほぼ理解できません!

元役者とか、役者に近いセクションの経験者、専門用語などが好きなタイプの演劇ファンでもない限り「ん?なにそれ?どういうこと?」となる場合が多いんじゃないかと思う。少なくとも私はそう。

「え?ごめん。その感覚、たぶんこういうことかな?くらいには思うんだけど、伝わってきたかどうかで言うと全然伝わってこない……。」ということが結構ある。演劇は好きだし近くにいるけれど、役者や演出家が使うような感覚的な表現や専門用語はまるで理解できない。ユーザーとして演技そのものに興味はあっても、概念などを追いかける方向に興味はない。

アカウントを分ける必要ナシ、視線は分けて。

作ることとユーザーやお客様へのアピールを同じアカウントで行おうと思うとどうしても難しい部分は出てくると思うんですが、もうちょっと意識して発言してみてもいいんじゃないかなと思うことが多いです。

すべての言葉を初心者でもわかりやすいように、って、やり過ぎると「馬鹿にしてんのか!?」となってしまうので加減が難しいのですけども。なにより、つぶやきがベースですし。

ただ、ものを作るという立場にある以上、やはり「誰にでもわかりやすい表現で伝えるスキル」というのは絶対に必要だと思います。役者や作家として表向きに解放しているアカウントであるならば。

賢さは言葉にあらわれる

個人の好みも含んだ話になるのですが、どの分野においても真に賢い方は、けして難しいことばは使わず、回りくどい表現もせず、気取ることもなく、老若男女・誰にでもわかりやすいことばやたとえで読み手の世界を広げてくれます。

時には読み手に寄り添い、読み手とは別分野の話であっても勇気をもたらしてくれる、背中を押してくれる場合すらあります。

やさしい言葉は世界、ときに裾野を広げる。

そういう方のことばに触れると、自然と「ちょっと、その世界を覗いてみようかな」とか「もうちょっと知ってみたいな」という方向へ広がることもあるのです。未来のファン・未来のお客様に繋がる可能性さえあるということ。

これは人の心理として自然なことで、しかし促そうと思うとなかなか難しいこと。そして、ある意味では人間味が売りであろう演劇関係において、残念ながらあまり出くわさないこと。

「表現するスキル」を持っているなら有効活用

演劇業界において言えば、作ることや各セクションの技術を深めることに対して掘り下げることの方が主になってしまうという傾向ゆえかもしれません。だけど、表現するスキルを磨いているのにそれではもったいないと思うのですよね。

役者であれば尚のこと自分という商品を売り込むことが必要で、既に表現することの大切さを知っているし表現する技術を持っている。ならばあとは言葉や佇まい・見え方などで自分という商品をデザインすることだけ。これも意識の向け方にさえ気をつければ割とすんなりできると思う。活用しない手はないねと思います。自分という商品をプロデュースして、パッケージまでデザインして、プロモーションする。そんなイメージです。

「やらなくてはならない」ではない。

だけど、「やってみて、上手くいったら超おトク!」ということで。気負わず、焦らず、日常の中ですこしだけ、気に留めてみてはいかがでしょうか。三日坊主も繰り返したら力になろうということで。

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