4e6a123851678e6fa503ac6464536e95_m_反転

演劇公演の品質を保証するということ(お客様の準備・心情編)

演劇公演、一人でも多くのお客様に観ていただくために、役者・スタッフなら真剣に考えておきたい「公演の品質を保証する」という課題について。品質の保証だなんて堅苦しい書き方をしたけれど、平たく言うと、いかにミスマッチを減らすかということです。

現場や演劇人とのコミュニケーションにおいて耳にする「動員が伸びない」「集客ができない」という声。そうなる理由・原因はどんなところにあるのか、受け手はどんなことを考えて渋るのか、作り手はどんなアプローチしていったらいいのか。これらをテーマとして、今思うことを書いてみます。

考えて行動し積み重ねた人のもとへは後々何倍にもなって返ってくるだろうし、そうでない人は現状維持・いずれ衰退ってところでしょう。置かれている状況・環境・価値観は様々だし、できることならやった方がオトクかもね★ってくらいの軽いノリで、カンタンなことから試してみませんか。

なお、先日公開した「小劇場のチケット代が高い!」とぼやいたノートにも繋がる話ですので、お時間ございましたら併せてぜひ。

今回の記事で言えば、チケットの値段を下げられない以上は事前の告知・情報発信で信用してもらうしかない。ではどんな方法があるか。それは追ってまた記すとします。

演劇公演、観に行くか否かを迷う、ユーザーの声。

ここでひとつ、生の声をご紹介します。

「演劇って近寄り難い。舞台を観に行く時間を捻出して、チケット代を払って、それでおもしろくなかったら……なんて思うと、チケットを取ることにも消極的になるし、新規開拓だとか、役者やスタッフに誰一人知り合いがいないだとか、そういう公演は本当に未知の世界。ハードルが高くて劇場まで運べない。それに演劇って、自分が生きていく上で観なきゃいけない・これがなきゃ生活できないっていうものではないし。」

生の声って言ったけれど、これは演劇を近寄り難く思っているお客様の声ではないよ。演劇に近いところに居て、関連する仕事もしている私の生の声だよ。関わりがあったってそう思うんだよ。

ユーザーがためらう理由に目を向ける

役者・スタッフなど、ご自身が演劇や劇場に馴染みがあるがゆえ、ためらう感覚がわからないという方も、ハードルが高いと言われる理由がわからないという方も、前述の私の言葉を介せば多少なりとも理解していただけるのではないでしょうか。

演劇という世界にいて、劇場へ運ぶということが当然になってしまうとなかなか気付けない(かもしれない)、多くのお客様にとって演劇は特別なものだという話。

次の項目では、観劇するにあたって受け手がどんな準備をするか・どう捉えているのか・どう向き合っているのかという一例を記してみます。

劇場は非日常的な空間、観劇は非日常的な行動。

劇場は多くのお客様にとって非日常的な空間であり、観劇は非日常的な行動です。「舞台を観に行くぞ!」となれば、準備・融通しなくてはならないポイントも存外多いもの。それはそれは作り手が想像している以上に。

当日までの準備一例として……

まずは仕事の段取りや家の都合との兼ね合い・調整。上演される作品が既に本なり何なりで存在しているならば事前に読んだり、付随する要素(背景・文化・歴史・単語など)を勉強したり。はたまた恋する乙女のような気持ちが炸裂すればデートさながら、いや、デート以上にコスメや服の新調・メイク&コーデ研究までやることいっぱい!もちろん往来・上演時間などの時間を都合することも。

そんな準備をして、その上で、ちょっと良いランチ~結構イイごはんを食べられちゃうくらいの金額を払ってチケット手配。人によっては「せっかくだから差し入れとかプレゼントとかも奮発しちゃいましょうか」ってなりますしね。

観劇のために数日(なんなら数ヶ月)という時間と、足代+チケット代+α のお金をかけて準備してくださる方というのは少なくないワケよ。

役者やスタッフのように劇場で仕事をしている人たちだと何も気にならない・気負わないことでも、そこがホームや仕事場でない人からしたらそういうもの。特別な場所、特別な時間なの。

「推しが出ているから観に行くんだけど、とはいえ気になるものは気になる」という心情。

「観に行くよ?そりゃあ推しが出るという以上、観に行くんですけどね?いや、でもこの劇団のことよく知らないし、推しが出演を決めた以上本人的には歓迎もしくは問題ないっていう判断なんだろうから、そういう意味で安心はしていいのだとは思うんだよ?そうは思うんだけど……どんな団体なのか、どんな世界観なのか、どんなノリ・テイストなのか、最低限は把握しておきたくない?」

推しが出ていればそれだけで観にゆくよ!というアツいお客様でも多少は気になるところでしょう。自分の場合に置き換えてみたってそう思うもの。

推しや直接の関係者であってもこれだもの。

推しや直接の関係者という、それだけ明確な理由や動機があっても気になるのだもの、そのもう一歩外側に居る人たちからしたらハードル高いどころの話ではないのではないのよ。そういうことなのよ。

というワケでして、次は『演劇公演の品質を保証するということ(作り手がやりたいこと・できること編)』にて、完全クリアにできずとも緩和する方法がないかどうかを探ってみることとします。

余談

女性に多い観劇前準備として「デートさながら~」と記しましたが、私も結構しっかり準備するタイプです。

これまでにどんなことをやったことがあったか、もはや覚えていないけれど、コスメ&服の新調・メイク&コーディネート研究はもちろん、サロンへ行って髪を整えたり、整体やマッサージで歪み&浮腫みケアしたり、ウェイトコントロールしたりという、わりとアレな感じ

いやまぁ、誰に会うでもないんだけど、自分にとっては特別なことだからテンション上げたいんですよね……。なので、たとえばTシャツ&ジーンズというカジュアルな感じであっても、それは考え抜いた結果のTシャツ&ジーンズなワケです。

たぶんこれはもう不治の病の類なのだと思っています。

この記事が参加している募集

コンテンツ会議

サポートありがとうございます。いただいたサポートは創作活動にあてさせていただきます。