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演劇公演の品質を保証するということ(作り手がやりたいこと・できること編)

このテキストの導入部分は「演劇公演の品質を保証するということ(お客様の準備・心情編)」と同じになりますので前回の投稿でお読みいただいた方は読み飛ばしていただけましたら。や、まぁ、読んでいただけたらうれしいですけれど、そりゃあねぇ。

演劇公演、一人でも多くのお客様に観ていただくために、役者・スタッフなら真剣に考えておきたい「公演の品質を保証する」という課題について。品質の保証だなんて堅苦しい書き方をしたけれど、平たく言うと、いかにミスマッチを減らすかということです。

現場や演劇人とのコミュニケーションにおいて耳にする「動員が伸びない」「集客ができない」という声。そうなる理由・原因はどんなところにあるのか、受け手はどんなことを考えて渋るのか、作り手はどんなアプローチしていったらいいのか。これらをテーマとして、今思うことを書いてみます。

考えて行動し積み重ねた人のもとへは後々何倍にもなって返ってくるだろうし、そうでない人は現状維持・いずれ衰退ってところでしょう。置かれている状況・環境・価値観は様々だし、できることならやった方がオトクかもね★ってくらいの軽いノリで、カンタンなことから試してみませんか。

なお、先日公開した「小劇場のチケット代が高い!」とぼやいたノートにも繋がる話ですので、お時間ございましたら併せてぜひ。

今回の記事で言えば、チケットの値段を下げられない以上は事前の告知・情報発信で信用してもらうしかない。ではどんな方法があるか。それは追ってまた記すとします。

公演に先駆けて発信しておきたい情報について考える

誰もしあわせになれない演劇公演のミスマッチ問題、リスクを最小限に抑えるべく、公演に先立ってできる準備の話。自分たちを応援してくれるお客様と出会うために何ができるか。自分たちが「この作品を届けたい・観て欲しい」と思っている層へ届けるために何ができるか。公演に先駆け、作り手側はどんなことができるか、どんなことをするべきかを考えてみます。

面倒ではあるけれど、ちょっと頑張ってこの辺りのケアはしておきたいというライン。難易度は高くないけどちょっと面倒、その面倒に挑んでお客様への安心・信頼に繋げるか、無難を選んでチャンスごと逃すか、みたいなイメージで読んでいただけましたら幸いです。(ターゲッティング、無難を選んでチャンスを逃すという話はまた改めて書きたいと思っていますが今回は掘り下げません。)

劇団・企画・団体のプロフィールを作るつもりで

私のnoteでは、役者のプロフィールについての記事を度々投稿してきました。今回は、これに基づいた話であり、すべては「団体のプロフィールを作る」という気分・目線で読んでいただけるとイメージしやすいかと思います。

役者の不思議(プロフィール・信用度編)
役者のたしなみ(サイト&パンフにおけるプロフィール編)
アイツのハートを掴みたい!ファン体質から役者へ贈る、理想プロフィール考。

観劇に先駆けてお客様が知りたいのはどんなことか

今回、これについてヒアリングしたわけではないので、自分自身が観劇を検討する場合に「どんなことを知りたいか」「どんなことを事前に把握しておきたいか」をピックアップしてみます。

「こんなことが知りたい!」ザザッと一例
◎どんな団体なのか・団体のバックボーン
◎どんな理念・テーマ・世界観なのか
◎どんなノリ・テイストなのか
◎どんなメンバーなのか
◎どんな作品なのか など

この辺りのポイントでアタリをつけたり、期待したり、覚悟したり。あくまで参考としてであり、必ずしも予想・想像通りとはいきませんが、それでも前情報としてこれらの要素の発信が有ると無いとでは大違いです。

情報の内容と発信方法

上記を踏まえて、ではどんな情報をどんな形で発信してゆくのがよいか、アピールできるかを簡単に記してみます。

◎どんな団体なのか・団体のバックボーン
劇団の雰囲気・特色。どんな経緯・背景があるのか。劇団のカラーをふんだんに取り込んだテキスト・デザイン・配色などで構成する。メンバーのキャラクターが伝わるコンテンツを用意するとなおヨシ。【団体のサイト・SNS・チラシなど、どんな媒体でも。】

◎どんな理念・テーマ・世界観なのか
団体で描くテーマ・世界観。過去公演のビジュアル(美術や衣裳などの要素含む)を公開。舞台写真やアートワークなど、静のビジュアルコンテンツを用意。衣裳や美術などが凝っている団体の場合は、スタイル画やスケッチなどを掲載してもおもしろい。【団体のサイト・SNS・チラシなど、どんな媒体でも。】

◎どんなノリ・テイストなのか
ノリやテイスト、作風や世界観が伝わる動画を公開。動のビジュアルコンテンツを用意。気楽に見られる尺の中に、ノリ・間・空気感・スピード感が伝わるようなものだとよい。台詞や舞台上の音など「生の音」が入っていると更にヨシ。声や言葉のセンスには相性も好き好きもあるから参考になります。【団体のサイト・SNS・YouTube・動画チャンネルなど。】

◎どんなメンバーなのか
ビジュアルはもちろん、関係性や簡単なキャリアなども発信があると親切。お馴染みのメンバーなのか、初参加なのか。これまでにどんな活動をしてきたのか、最近どんな活動をしているのか。完全観客目線で言えば、バックボーンがチラ見えすると初日を観に行くか避けるかの判断基準にもなるのでありがたい。※作り手目線だとこの判断が難しい場合も多いのは重々承知の上。【団体のサイト・SNS・チラシなど、どんな媒体でも。】

◎どんな作品なのか
いわずもがなですが、タイトルだけで想像しにくいのが演劇公演。チラシに記されるようなテキスト(あらすじというよりリード)から、もうちょっと踏み込んだ紹介を。有料コンテンツの導入部分みたいなイメージ。書き過ぎてもダメ書かな過ぎてもダメという難しい部分ではありますが、読ませる文章を書けるようになるとやっぱり効きます。それから視覚的な要素、相関図がある作品はとても理解しやすくありがたいなと思います。【団体のサイト・SNS・チラシなど、どんな媒体でも。】

言うは易く行うは難し

でもやらなきゃどうにもならないんですよ!(笑)不格好でも、不足があってもいいからとにかく挑むということが大切。最初から不足なく体裁の良いものなどサービスできるかってんだい。トライアル&エラー。試行錯誤の連続だい。改善を重ねてゆけばブラッシュアップされてくるでしょうから、途中で投げ出さず、続けてゆくしかないと思います。情報発信の精度が上がってきたと感じられるようになった頃には、ミスマッチもだいぶ減ってくるんじゃないかな。

さいごに

これをやっておけば絶対というワケではないけれど、ここまでフォローできている団体というのは少ないから、今のうちにちょっと頑張ってこの辺りを整えておけば意外と簡単にある程度は差をつけられるんじゃない?と思ったりもします。

その他の業務をこなしながら準備やメンテナンスをするのはエネルギーが必要ですし、一時的には犠牲にする時間も出てくるかもしれません。何事も思い立ってから行動するまでが億劫、大体のイメージが固まってからリリースするまでが大変であってね。ふた山くらい越えて公開まで行ければ、あとはメンテナンスとブラッシュアップの繰り返しでもってある程度の質はキープしつつ落ち着いてくるのではないかなと。

それから、サイトやコンテンツなどを出す時に、完成度にこだわりたいという方もいらっしゃると思うんですけど。

完璧を狙ったところで完璧なんていつまで経っても訪れはしないから、ある程度の形のところで表に出してしまった方がいいと思います。今回のようなケースでは、人の目に触れさせてヤイヤイ言ってもらってブラッシュアップをしてゆくのが効率的。完成度ばかりを追求した結果、閉じてしまうとまったく求められていないもの・ニーズとかけ離れたものを提供してしまう可能性も高まるから。そういうリスクを回避するためにも。

落ち着いてきた頃にはお客様にもある程度の安心感を持っていただけるような存在になれるのではないだろうかと思います。まずはそこまで継続することが第一の難関。細く長くは存外大事。

さて、これから航跡のサイトのメンテナンスしてきまーす。

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