top_宮本から君へ

【深夜のマンガ薬局】 悩める新入社員にお勧めしたい、新井英樹の傑作『宮本から君へ』

こんばんは。薄手のシャツじゃまだ少し寒い春の金曜日、いかがお過ごしでしょうか?

普段はマンガトリガーという「漫画のセレクトショップ」をコンセプトにしたアプリを運営しているのですが、本当に漫画は心を豊かにしてくれますね。日本人、いや世界中の人が漫画を読めば戦争とかもなくなるんじゃないかと、わりと本気で思ったりします。

漫画は人を救うと思うけれど、「どういう人」に「どういう作品」と出合ってもらえば救われたり、豊かになったりするのか。意外と届くべき人に届いていないんじゃないか、と思ったりするのですね。

そこで思い立ったのが、本当に思いつきで初めた今回の【深夜のマンガ薬局】。悩める人や、挑戦している人、苦しんでいる人たちの心を、前に向かせてくれるような動機を提供してくれるようなマンガを、処方箋のようにそっと差し出してみると、人も作品もハッピーになるのではないかという企画です。自分の思考実験的にも、マンガを読み解く筋肉を鍛えるために出来る限り続けていきたいと思いますので、夜の暇つぶしにでも読んでみて下さい。

目の前の課題に逃げず、もがきながらも前進する姿は美しい

記念すべき第一回目のマンガは、マンガ好きのファンや漫画家が敬愛する新井英樹先生の『宮本から君へ』。特にお勧めしたいのは、「この春社会人になった新入社員」や「新しいことを始めたけどもどかしさを感じる方」です。

文具メーカー「マルキタ」の新人営業マンである宮本浩。恋にも仕事にも不器用な主人公・宮本は自分の存在の小ささに苛立ちながらも前へ進もうとする。そんなとき、宮本は通勤途中の電車のホームで、甲田美沙子に出会う。新米サラリーマンのほろ苦く厳しい日常をリアルに描いた新井英樹の秀作!(Amazonより)

この作品は、「理想と現実のギャップに悩みつつも、そこから逃げない凡人の物語」です。新人時代って、「オレはこんなんじゃない」とか、「この仕事は向いてない」とか、そうやってできない理由を外に向けがちですよね。最近だと、「向いてなかったら辞めたらいい」という考え方も認められてきていますし、3年は同じ職場で我慢して働くなんてしなくていいんじゃないか、なんていう向きもあります。

当然、その考え方でどんどん転職するのもいいと思いますが、すべての人がその働き方・生き方に向いてるとは思えません。やはり、多くの人はひとところにとどまって、もがき、悩みながら生きていくのだと思います。そんな時こその、『宮本から君へ』です。

『宮本から君へ』から学べることは、「目の前の課題から逃げないことの美しさ」です。

・自分で選んだ就職先なら、一度くらい目の前の仕事に本気で取り組む
・思い描いた「理想の姿」に届かず無力さに打ちひしがれても、逃げない
・「自分は未熟だ」と言っているうちは、自分に陶酔しているだけだ
・不器用さ、愚直さも極まれば周りを巻き込める
・心の声ではなく、思ったことは口にする

宮本は、本当に不器用です。上記を実践しまくって、全身傷だらけです。THE・凡人といった感じが、若い頃の自分を見ているようで胸が締め付けられるほどに。ただ一点、宮本が強いのは、「自分に恥じない行動を取る」ということ。凡人のマッチョイズム、ここに極まれりです。

世の中順風満帆にいかないことばかりで、マンガのような急成長物語なんてない。そんなリアルを描いたマンガだからこそ、心に響くものがある。

「自分はもっと評価されるべきだ」と思って新天地を求めようとしている人がいたら、ぜひ一度『宮本から君へ』を読んでみてください。「宮本があんなにボロボロになりながらやってるけど、自分はどうだ」と思えるのではないかと思います。

続きはありませんが、書き続ける動機づけのために100円設定してみました。もしおもしろければ支援していただけると嬉しいです。

コロクのTwitterはこちら

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?