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2017年に約1500冊読んだ中で特におもしろかった漫画33選

新年あけましておめでとうございます。本年は自分の頭の中をしっかりアウトプットすることにしたいと思います。ということで、noteの更新頻度を高めようと思っています。

現在、漫画アプリを運営していることもあり、ありがたいことに公私共に漫画に浸っておりまして、おそらく1500冊くらい読みました。これだけ時間を費やしても1500冊しか読めないのかと絶望しますね(年間12000冊以上の新刊が発行)。。今回は、そんな一年間の総括として、2017年大量に読んだ漫画の中から「これは…!」と思えた作品たちをご紹介します。

いろんな方がオススメ漫画を書いていらっしゃるので、僕は【恋愛系】【いろいろ考えさせられる系】【泥沼・破滅系】【ミステリー系】【ファンタジー系】【仕事・才能系】【番外編: 一気読みした完結作品】とカテゴリーに分けてご紹介しようと思います。気がついたら合計32作品……紹介しきれないしかなり時間が掛かるのでここで打ち止め。興味がある方は、ぜひ読んでみてください。

【恋愛系】
『ルポルタージュ』売野機子(3巻・続刊)
舞台は2033年の日本。マッチングアプリやSNSが一般化し、恋愛がマイノリティになった社会を生きる男女の物語。乾いた毎日を送っているように見えた主人公・青枝聖の「ずっと誰かを愛したいと心の中で渇望していた」という言葉が印象的で、当たり前にしてきたはずの「恋愛」というものを改めて考えさせられる傑作。打ち切り後移籍先が決まって一安心です。

『悪魔を憐れむ歌』梶本レイカ(2巻・続刊)
『コオリオニ』や『高3限定』といったBL漫画家として知っていた梶本レイカ先生の新作で、漫画好きからの評価も高い作品。こちらはBLではなく本格的なクライム・サスペンスで、一本の映画を観ているかのような物語の展開にグイグイ引き込まれていきます。そしてお見事というか、男性の描き方がセクシー過ぎる。

『潜熱』 野田彩子(1巻・続刊)
コンビニでバイトするフツーの女の子がヤクザに恋をした話。相手がヤクザだと分かっていても、相手に忠告されたとしても、その気持ちは止められない。理性で抑えられない「禁断の恋」は、興味をそそりますね。

『来世は他人がいい』小西明日翔(1巻・続刊)
『春の呪い』で「このマンガがすごい!2017」(オンナ編)2位にランクインした小西明日翔先生の新作。こちらは、大阪ヤクザの娘がちょっと頭がおかしい東京ヤクザの息子(婚約者)に惚れられ、迫られる物語。ヤクザ絡みの恋愛漫画、最近人気なのかな。

【いろいろ考えさせられる系】
『月曜日の友達』阿部共実(1巻・続刊)
奇才・阿部共実先生の新作。中学生の多感な時期に抱える秘密って、ワクワクしました。大人の会談を登り始める水谷茜と月野透の緊張感のある関係は見ていてハラハラします。

『BEASTARS』板垣巴留(6巻・続刊)
オンラインでもオフラインでも、今年あらゆるところで激推しした作品。肉食・草食動物たちの特徴を捉えつつも、そのステレオタイプを壊そうとする(あるいはそのステレオタイプに葛藤する)感情の機微に心を揺さぶられました。板垣巴留先生、デビュー作にしてこんなに壮大な物語を描いていてすごい。ルイの闇堕ち展開は結構好き。

『北北西に曇と往け』入江亜季(1巻・続刊)
アイスランドで探偵業を営む17歳の少年のお話。途中から、弟が人殺しの容疑を掛けられていることが分かり、少しずつ物語の展開が見え始めたが、まだまだ謎が多い。不思議な少女リリヤがかわいい。

『昭和天皇物語』能條純一、半藤一利(1巻・続刊)
日本国民にとって精神的に近く、物理的に遠い天皇という存在。この漫画は、そんな謎多き昭和天皇となる、迪宮裕仁さまを「一人の人間」として捉え、周囲を取り巻く人たちとの関係性を描いた作品です。同級生が腕相撲をしている中、入らせてもらえない迪宮さまが「いいな」とポツリつぶやく様子に、皇室に生まれた人間の宿命を感じずにはいられません。

【泥沼・破滅系】
『零落』浅野いにお(1巻・完結)
浅野いにお先生、相変わらずこじらせてるなぁと感じる作品。心血注いで続けてきた連載が終了した漫画家が心にぽっかりと開いた空虚感をデリヘルの女の子で満たそうとする。あぁこじらせている……そう思いながらも、こうした主人公のような人生にちょっと羨ましさを抱いてしまう自分もいる。なんというか、破滅に向かう人に吸い寄せられちゃうんですよね。

『世界で一番、俺が○○』水城せとな(3巻・続刊)
『失恋ショコラティエ』の水城せとな先生がイブニングで連載している作品。幼なじみ三人が一年懸けて不幸自慢を競い合うという物語だが、後半になればなるほど加速度的に泥沼化していて、今かなりおもしろい。子どもの頃からの付き合いとかって、すごく落ち着く一方で心の奥底では居心地が悪かったりすることがあると思います。この漫画の幼なじみたちも、不幸を競うゲームを通じて心の奥底に抱える闇の部分が表面化していく様子が観られておもしろい。僕はこのゲーム、したくないなぁ。

『ロッタレイン』松本剛(3巻・完結)
こちらも『BEASTARS』よろしく公私共に激プッシュしていた作品。彼女も仕事も母親もすべてを失った主人公が、13歳の女の子(義妹)に恋をするという話。登場人物に感情移入してしまう僕は、「自分がこの境遇にいたら…」と想像するだけでゾッとするし、そんな中でこんな女の子が登場したら、魅力的だったら、そこにすがるしかないのかも……という気持ちも分かる気がしました。しかし圧倒的に女性たちに受けが悪かった。「普通にキモい」という一言に傷つきました。

『血の轍』押見修造(2巻・続刊)
出ました。僕的こじらせ漫画大賞受賞作。子どもへの偏執的な愛情を抱える母子の物語です。押見修造先生は『惡の華』が大好きなのですが、本作も狂気じみてて嫌な汗が出てきます。昔、自分が小学生の頃の友達のお母さんが彼を溺愛していて、何故かその二人を思い出してしまった。なぜこの作品を作ろうと思ったのか、なぜこの毒親をテーマにしたのか、とても興味深いです。

『中学聖日記』かわかみじゅんこ(3巻・続刊)
かわかみじゅんこ先生のことは、『パリパリ伝説』というエッセイ漫画で先に知っていたので、本格的な物語を描かれた本作を見て驚いた。中学生のませた男子が女教師を好きになるっていうのは、松嶋菜々子とタッキーの「魔女の条件」を思い出しますが、ちょっといいな。なんというか、羨ましいな。これもある種の「禁断の恋」ですね。

『さよなら、ハイスクール』森もり子(1巻・完結)
クラス最底辺がリア充に下克上を仕掛ける、スクールカーストをテーマにした作品。「主人公がカースト上位の女子・伊藤さんと付き合う」という作戦の童貞感と陰湿さがあっていいし、スクールカースト上位にいる可愛い女の子という最高のステータスを持つ伊藤さんの底知れない闇深さがとてもいい。集団を枠にはめたところで、枠の中にいるのは一人ひとりの人間であり、感性もばらばらである、という事実を突きつけられますね。

【ミステリー系】
『夢で見たあの子のために』三部けい(1巻・続刊)
『僕だけがいない街』の三部けい先生の新作。それだけで「ミステリー」としての安心感があるのは僕だけではないはず。両親を惨殺され、双子の兄も(おそらく)殺された未解決事件の生き残り・中条千里が真相究明に力を尽くす物語。この人は伏線を張り巡らせるから、一巻だけでは評価をつけづらいんですが、非常に期待感を持てる始まりでした。続きが超楽しみな作品の一つ。

『テセウスの船』東元俊哉(2巻・続刊)
実の父親が21人の大量殺人事件の容疑者として捕まり、死刑判決を受けたが、真犯人は別にいるかもしれない……その真犯人を追うべく調査をしていたら、事件が起こる前にタイムスリップして事件を未然に防ごうという物語。それこそ、『僕だけがいない街』に近い空気感がありますが、違うのは主人公が過去に戻っても子どもにならないのと、行き来できないこと。こちらはこちらで重厚なミステリーの空気感があり素敵です。

『マイホームヒーロー』山川直輝、朝基まさし(2巻・続刊)
『ロッタレイン』『BEASTARS』に次いで、こちらもめちゃくちゃおもしろいと絶賛して回った作品。「愛する娘のために、父は殺人を犯し、完全犯罪を目論む」という、非常に刺激的な物語。しかも、お父さんはミステリーオタクだから死体の隠蔽工作が得意!人は意外と簡単にダークサイドに堕ちるのかもしれない……そんなことを考えさせられます。1月6日発売の最新のヤングマガジンでは、これまでの「父vs父」の構図から「母vs母」の構図も登場し、それぞれの立場における葛藤がしっかり描かれていて深みが増しています。2017年の新連載で個人的に一番おもしろいと思った作品です。

『東京卍リベンジャーズ』和久井健(4巻・続刊)
『新宿スワン』の和久井健先生のマガジン連載作品。こちらもタイムリープもので、忘れられない過去の過ちを正すために、ひょろいヤンキーが暴走族総長を目指すという物語。青年誌から少年誌への移籍によって和久井先生の作画の線が太く力強くなっていて、『東京卍リベンジャーズ』もその線の太さと主人公の真っ直ぐさがリンクしていていい。王道不良漫画とは少し違い、ミステリー要素も多分に含まれているところがポイント高いですね。

【ファンタジー系】
『約束のネバーランド』白井カイウ、 出水ぽすか(7巻・続刊)
「このマンガがすごい!2018」オトコ編で堂々一位になった本作。少年ジャンプでたまに発生するダークファンタジーの極みみたいな作品ですが、物語も骨太で超おもしろい。最近一気読みしたけど、正直『Dr.STONE』よりもハマりました。子どもたちが孤児院を脱走する際のイザベラの最後の台詞に、彼女の積年の罪悪感が開放されていてグッときます。

『アリスと蔵六』今井哲也(8巻・続刊)
『ぼくらのよあけ』の今井哲也先生の作品。絵があまり得意じゃないんですが、アニメ化されていたのと、過去作がおもしろかったので購入したら、まぁおもしろい。浮世離れした少女たちと頑固爺の組み合わせは結構ウルウルきちゃいますね。自分がじじいになった時も、突然やってきた謎の少女とか少年とかと暮らすはめになる、みたいなドラマ的展開が欲しいです。

『終極エンゲージ』江藤俊司、三輪ヨシユキ(3巻・続刊)
こちらも最近まとめ買いして読んだ作品。アプリ漫画って軽いものが多い印象(あくまで印象)ですが、最近は本当におもしろい作品が増えてきました。終極エンゲージはその代表例のようなものです。ジャンププラスで連載中の王道バトル漫画、必見です。

【仕事・才能系】
『BLUE GIANT SUPREME』石塚真一(3巻・続刊)
圧倒的熱量でJazzを描くのがこの作品。前作『BLUE GIANT』の衝撃的なエンディングから程なくして、前作以上に覚悟と責任を背負い込んだ宮本大の等身大のカリスマ性に嫉妬と畏怖の念を感じます。やはり第一部の盛り上がりと展開、宮本大以外のキャラの個性が非常に素晴らしかったので、第二部もこれからもっと盛り上がることを期待。第一部を超えてほしいです。

『はじめアルゴリズム』三原和人(1巻・続刊)
モーニングで第一話を読んで、「あ、これいい」と瞬時に思った作品。老齢の数学者が片田舎で土に数式の落書きを書いていた少年に、数学者としての才を見出したところから始まる物語。興奮する数学者を思いっきりグーで殴るシーンが大好きです。「数学は若者の学問」ということもあり、歳を重ねすぎた数学者にとって目の前に突然現れた才能をほうっておくわけにはいかないですよね。若い世代に自分のなし得なかった夢を託すというシチュエーションはグッと来ます。

『ダンス・ダンス・ダンスール』ジョージ朝倉(7巻・続刊)
「バレエ」が題材というだけで少し遠ざけていたのですが、ジョージ朝倉先生は変わらずカリスマを描く天才でした。カリスマを描くくせに、結構つまずくし、一筋縄ではいかない感じが凄くいい。熱量も相変わらずで、ジョージ朝倉おそるべし…!

『左ききのエレン』かっぴー、nifuni(1巻・続刊)
Webメディア「cakes」で連載が始まり、ネット上で話題が爆発した熱血ビジネス漫画。圧倒的熱量がこの漫画の魅力です。ジャンププラスでリメイク版が連載され、いよいよ第1巻が発売。「天才になれなかったすべての人へ」というメッセージに胸が締め付けられる……。仕事でくすぶっている人にこそ読んでほしいです。

『DAYS』安田剛士(25巻・続刊)
高校サッカー漫画の歴史を塗り替えるかもしれない。それくらい今めちゃくちゃおもしろい漫画です。いつかレビューを書きたいと思っているのであまり多くは語りませんが、スポーツ漫画の金字塔『SLAM DUNK』級におもしろいといえばどれほどか分かってくれるはず……。まだ読んでない人が羨ましい!!

【番外編: 一気読みした完結作品】
『鋼の錬金術師』荒川弘(全27巻)
『なにわ友あれ』南勝久(全31巻)
『サンクチュアリ』池上遼一、史村翔(全12巻)
『ジパング』かわぐちかいじ(全43巻)
『プラネテス』幸村誠(全4巻)
『TOKYO TRIBE2』井上三太(全12巻)
『デビルマン』永井豪(全5巻)

以上でございます。長かった……。僕にとって、漫画は手のひらサイズの社交場です。漫画で人と対話し、漫画で人を知る。普段出会えないような人たちが、漫画の中にはたくさんいます。2018年も、沢山の漫画と登場人物と出会えるのを楽しみにしています。

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