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「採用はスピードが命」って言われるけど、敢えて選考プロセスを増やしてみた結果

こんにちは。RELATIONSのCCO(Chief Culture Officer)こと高橋です。

今日は、自社の選考プロセスについて書こうと思います。私は2015年頃から自社の採用に携わってきているのですが、今の選考プロセスは、2017年に大幅リニューアルさせたものが原型になっています。

その変更点が、「選考ステップを増やす」「社員6人としっかり話す」など、"採用はスピードが大事!"と言われている時代の流れに逆行して、選考期間が長くなるようなものばかりでした。(さすがにカバー写真の時代は古すぎますが。笑)

そこで、なぜそんな逆張りなテコ入れをしたのか? 実際にどんな良いこと・悪いことがあったのか? について、ご紹介しようと思います。

▼入社した人が4日で離職!?誰も得しないミスマッチはもう勘弁。。

選考プロセスを見直す背景にあったのは、入社後のミスマッチに対する課題感でした。どんな会社にも起こり得ることだとは思いますが、入社してくる人、もしくは受け入れる人たちが「あれ、思っていたのと違う…」ってなるアレですね。ってなるアレですね。

もちろんRELATIONSも例外ではなく、苦い経験をしたことがあります。

個人的に一番キツかったのは、自分が面接した方が入社して4日で離職した時でした…。

その時は私がお伝えしていた仕事内容と、その方がイメージしていた仕事内容に乖離があったことが原因でした。

(今でもそのカフェに行くと、思い出します…)

幸い、その方は非常に懐の深い方でしたので揉めごとにはならず、「それぞれが情報の確認を怠りましたね…」とお互いに謝りつつ、離職に至りました。とはいえ、この"誰も得しない結末"に対して、自分の中では悔しさだけが残ったのが正直なところで。

そんな中、うちの「ええ会社をつくる」というミッションに基づいて、2017年の終わり頃、自社をよりプロフェッショナルな集団にしていくという方針が明確になってきました。

当時の選考プロセスのままだと、同じようなミスマッチがいつ起きてもおかしくないなと私も感じていたので、抜本的にプロセスを見直していくプロジェクトがスタートしたのです。

▼選考プロセスを大幅リニューアル!ステップを増やし、「6人ルール」を導入

選考に関わったメンバーとブレストをしながら、下記のような点を主にリニューアルしていきました。

・選考ステップを3つから4つに増やした。
「6人ルール」を策定した。(=プロセス全体を通して、社員6人とはちゃんと話してもらうというルール)
・ワークサンプル(実際の業務を模した課題に取り組んでもらう)を最終選考に導入した。 ←ここの話は次回のブログで書きます!
・WEB適性検査を全社員に受けてもらい、結果を分析して検査用の判断軸を設けた。
・面接研修を実施して、面接官のスキルを底上げした。
・選考プロセスの変化をまとめると、このように変化したわけです。


▼選考の長さは50社に1社レベル? スピード勝負の時代に逆行

採用に関わっている人なら「いや、これってめっちゃリードタイムが長くならない?大丈夫なの!?」って感じたんじゃないかと思います。

正直、私もそこはめっちゃ不安でした。

一般的に、「選考プロセスを短くすれば、それだけ採用が上手くいきやすい」と言われています。

考えてみれば当然のことですが、選考期間が長くなればなるほど、先に他社の内定が出たりして選考辞退が起きやすくなり、採用に繋がりにくくなるわけですね。(しかも昨今は特に「売り手市場」ということで、企業側もどんどん内定出しまでのスピードを早めているトレンドのようです。)

(うろ覚えなんですが、こんな感じだったかと。)

ググってみたところ、採用リードタイム自体の情報は探せなかったのですが、面接回数についてはいい記事がありました。下記の記事によると、平均の面接回数は2.2回とのこと。

前述の通り、私たちは選考ステップを3つから4つにしたのですが、昔からすでに平均より長かったんですね…。記事には「面接4回以上の割合が2%」とあるので、今はどうやら「50社に1社」レベルの選考期間の長い会社になってしまっているようです。

このあたりの「選考辞退が増えるんじゃ?」というリスクは当時から認識していたわけですが、あるべき選考プロセスに近づけるためにエイヤ! で実施しました。

▼メリットは「ミスマッチの回避」と「入社後の関心度合いUP」

この選考プロセスになってから、以前の課題感であった双方の「思ってたのと違う!」は減らせているはずです。やりとりする情報量は間違いなく増えているので、イメージのずれが発生しにくいですよね?

ここは定量的なデータを取るのが難しいので、実際にこの選考プロセスを通過して、2018年12月に入社してきたメンバーに話を聞いてみました。

「選考で6人と話してもらいます」と最初に聞いた時は、「うわ、多いな」と正直思いました(笑)
でも丁寧に自社に合う人を探してるんだろうなーというのも感じましたし、自分も本当に合っている会社かどうかをじっくり考えたいと思っていたので、乗ってみようかなと。
選考のためにRELATIONSに来社して、当時の職場に戻ることを何度か繰り返すんですが、その時に感じる"差"があるんですよ。それを通して「あ、やっぱり自分ってこうなりたいんだなー」という内省ができましたし、落ちついて転職について考えられたのは良かったです。
実際に入社してからの印象の差は少なかったですね。「人事と社長の熱のイメージで入社を決めたら、実態は違った…」っていう"転職あるある"があると思うんですが、うちでは人事や自分が関わるチームの人に加えて、違うチームの人や職種の違う人とも話せたので、より会社全体のことが理解できたんだと思います。

(そりゃ最初はそう思いますわな。。)

また別のメリットとしては、「新しいメンバーのことを支える人が増える」という点も実感しています。

今の選考プロセスでは、選考段階で6人とはしっかり話をしているので、入社時にはチームをまたいだコミュニケーションラインがすでにありますし、選考に関わったメンバーは「自分が面接した人」が入社してくると、より一層関心を持つようになるんですよね。

実際に、あるメンバーは同じチームでもないのに自分が面接した新メンバーと1on1をやっていたり、自分が面接した新メンバーのサポート担当を積極的に買って出るメンバーがいたり、という光景が社内で見られています。

転職という大きな環境変化を乗り越えていくには、周りのメンバーがちゃんと寄り添ってあげる必要があるわけで、うちも昔からそういう雰囲気がある会社ではありますが、このプロセスになってからよりその色が強まったんじゃないかなと思います。

▼選考期間は2倍…!でも、選考途中の離脱は増えなかった。

じゃあリードタイムはどうなったか? というと、やはり長くなりました。以前の選考プロセスだと初回の面談から選考を終えるまでは17日だったのが、35日に延びました。

ですが、当初の懸念だった選考途中の辞退率については、リードタイムが長くなっても特に影響は出ていません。初回の面談から面接以降の辞退率は5%以下なので、これまでと変わらず。

(まだ実証できたとは言えないですが。。)

もちろん候補者の方に「選考が長くても受けたい」と思ってもらうには、どこまで会社を魅力的に思っていただけるかが重要になるので、最初にお会いした時に会社説明などはかなり丁寧にやっている方だと思います。

▼運用上、大変なのは「大人数の目線合わせ」と「採用工数」

じゃあ何が大変かというと、選考に関わる人が増えたことで、採用基準の目線合わせの難易度が上がります。

プロセスを変更してすぐの頃、同じ採用候補者の方の選考評価なのに、最高評価と最低評価に意見が割れた時はマジでどうしようかと思いました…。

基準をすり合わせる時間を持ちながら、選考の回数を重ねていけば、徐々に目線が合ってくるとは思いますが、ここは継続的に洗練させていかないとなーと思ってます。

あとはシンプルに工数はかかりますね。みんな忙しい中で時間を作って採用活動をしているので、これはキツくないわけがない(笑)

でも本当に自社にフィットした仲間を集めるためには、一定の代償は必要だと思いますし、逆にミスマッチが起きてしまった後に費やすエネルギーの方が多分大きいので、入り口のタイミングでがっつり時間をかけることは合理的なのかなと信じてやっています。

▼採用は「重大な意思決定」。スピードよりじっくり向き合うことが本質では?

売り手市場も採用競争の激化も分かるんですが、採用スピード至上主義によってミスマッチが発生して、イキイキ働けていない人や、苦労している組織が増えてるのであれば、もはや「社会悪」ですよね。

今はどんどん気軽に転職ができる時代になってきていますが、そんなに何回も何回も繰り返すものでもないと思うんですよ。会社からしても、1人を採用することのインパクトってめちゃめちゃ大きい。うちみたいな少人数の組織だとなおさらです。

お互いにそれだけ重大な意思決定をするわけなので、スピードも大事なんですが、じっくりとお互いに向き合うことの方が本質なんじゃないかなと思うんですよね。

もう、スピード命な選考するのは辞めにしませんかね?

…という話でした。

次回ブログの挿絵もお楽しみに!

(うちのデザイナーに頼らずに、自力で頑張りました)

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