金継ぎチャレンジ #3
金継ぎチャレンジ第3回です。今回は一気に進みます。
第1回、第2回はこちら。
第2工程までで破片の接着が完了しました。器に欠けてしまった部分がある場合には、第3工程の刻苧(こくそ)付けで欠損を埋める作業をするのですが、今回は大きな欠けはないので、スキップして先に進みます。
第4工程からは、金粉を蒔く前段階として継ぎ目を美しくする処理となります。まずは「錆漆(さびうるし)」で細かい穴や段差を埋め(第4工程・錆漆付け)、これを研いで滑らかにし(第5工程・錆研ぎ)、その上から継ぎ目を覆うように「弁柄漆(べんがらうるし)」を塗ってコーティングします(第6工程・塗り)。こうして継ぎ目が綺麗に繋がり、防水される訳ですね。
始める前に、まずは下準備から。
第2工程で接着に使った麦漆がはみ出たままなので、これを除去します。
取れていくのがただただ気持ち良く、楽しい作業です。
第4工程 錆漆付け
材料は砥粉(とのこ)と透漆と水。
砥粉は文字通り砥石を削った粉で、これで下地を作っていきます。
固めなので、均一に塗るのがなかなか難しい。まあ、乾燥させた後に研ぐので、多少ガタガタでも全然大丈夫だと思います。
この状態で4~5日間しっかり乾燥させます。錆漆は乾燥が早いので、麦漆に比べると短いですね。
ちなみに、「乾燥」とは言っても、漆の場合は、漆液に含まれる酵素と空気中の水分に含まれる酸素が反応して硬化する化学反応によるもの。水分を蒸発させるという意味でのいわゆる「乾燥」とは原理が異なります。
そのため、最適な環境は温度24℃~28℃、湿度70%~85%の空気が動かない場所。これより温度や湿度が低いといつまでも固まらず、逆に高いと急激に乾いて表面に艶がなく曇った状態になってしまいます。
この環境を維持するために「室」という木箱や段ボール箱を使うのは、第1回に書いた通り。段ボールの中には、濡らして絞った布巾やティッシュを置いておき、湿度の維持には気を配りました。そういう点では、梅雨~夏の時期は、金継ぎに適した気候だと思います。
第5工程 錆研ぎ
しっかり固まったら、錆漆を砥石で研いでいきます。
…の前に、厚く塗り過ぎたようで一向に進まなかったので、カッターで大体のところまで削ります。後でしっかり研ぐのだから大丈夫、大丈夫!
継ぎ目が滑らかになっていくのが楽しい作業です。
第6工程 塗り
研ぎ終わってしばらく乾燥させると、次は弁柄漆でコーティングします。
ぽてっと厚く塗ってしまうと、表面だけ乾燥して内側は固まらず、皺になってしまうのでそこだけは要注意。ここまで作業を進めていると、もうある程度は慣れたものです。
一通り塗れたら、またまた3~4日間乾燥させます。
第4回に続きます。次回はいよいよ、金粉を蒔きます。
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