つらつら

梅雨が明けた。

7月下旬。仕事が夏モードになってきた。日ごろ人と関わりまくる業務の反動は大きく、その他のこともあって今だいぶメンタルが削られている。この夏モードの期間で少し整えられると良い。

少し前、職場で夏の読書におすすめの本を紹介して欲しいという原稿依頼があった。異動してきて4ヶ月。職場には当然自分のことを知らない人もいるので名刺になりそうな本が良いかと思い、院生当時研究していた分野にかかわる入門にもってこいの学術書を選んだ。

出来上がった冊子を見ると、紹介されている本は小説や絵本などフィクションばかり。他人の興味関心を伺い知ってなるほどと思ったりしたけれど、自分が目に見えて浮いている現実も見えた。空気読めない奴確定演出。それでもブレずに生きていくしかない。

配信で「幕張ツーマンライブ ロングコートダディ×シカゴ実業」を見た。20日木曜日のライブ。

会っている回数が1日300回(堂前さん談)のDポイに対し、コンビ同士では上京してから全くと言っていいほど共演がない2組。大阪では同じ時代を同じ劇場で過ごしてきた、同級生同士のような関係性。久しぶりに再会しても相変わらず仲の良いままで、それはそれは楽しかった。

シカゴ実業のネタのお陰で、小学校の国語の教科書に出てきた「ポディマハッタヤさん」が記憶の優先順位の前の方に現れた。平成10何年代に光村図書の教科書で学んでいた人ならきっと知っている「一本のえんぴつの向こうに」というお話に出てくるポディマハッタヤさん。兎さんとひちゃさんは知らないようだったけど、堂前さんは「ポディマハッタヤさん忘れてたのに俺…」とぼやいていたので、きっと同じ教科書だったのだろう。

ロコディは撮影のコント。後ろのゴミ箱に空き缶を投げても投げても入らない。最後に監督に叩きつけられた主演台本を投げる。これが入っても入らなくても面白くなるようにできているネタで何回見ても良い。

トークコーナー。上京して4ヶ月で衝撃を受けたこと。やはり東京の電車の混み具合は衝撃的らしい。兎さん曰くいつ何線に乗っても混んでいるとのことで、タクシーに乗ってそうな兎さんも電車移動することがあるのかと、シンプルにほえーと思った。堂前さんはりんかい線の英語の車内放送の「Tokyo Rinkai Kosoku Tetsudo Rinkai Line」が生の臨場感があって気持ちいいと話していた。これはちょっと分かる。曰く大阪でいうと「西中島南方」くらいの語感の良さらしい。

上京して4ヶ月で変わったこと。シカゴ実業は無限大のレギュラー入りして仕事が増えたそう。ロコディは仕事がゆったりした(大阪のように複数の劇場を行ったり来たりすることが少ない)と。「ほんまに上がって良かったなぁ」とレギュラー入りをしみじみと祝福するロコディ。無限大楽しい?と聞かれて同世代の芸人が多くて楽しいと答えるシカゴ実業。進む道は違うけどお互いの活躍を認め合える関係性が続いて欲しいなとつくづく思った。

この仕事の話題の流れで、気の許せるメンバーだからか珍しく堂前さんが自分の心境を真面目に語っていた。

この4ヶ月で、というより去年くらいから仕事に対する考え方がずっと流動的だという堂前さん。曰く「楽しかったらええかという感じでいたけど、楽しいだけでも、何かすっげぇ見えへん何かが削られてることがある」そうで、「楽しくないはしたくない、けどもう一個、楽しいけどこれしてたらあかんなという瞬間が最近出てきた」らしい。「楽しいけど、これしてたら大事な何かがなくなっていってる」「あかんとこで花火してるみたいな。楽しいし、あの子と近付けるかもしれんけど、これしてたらあかんな、みたいな……」言語化するのが難しい感覚なのか言葉を探しながら話しているようだったけど、これは堂前さん、自分を取り巻く諸々の変化に対する直感が冴えまくっている。

「削られてる」「大事な何かがなくなっていってる」「これしてたらあかんな」。推測の域を出ないけどこれってきっとメディアや大衆に消費される自己への気付きとそれに対する違和感や危機意識のようなものだったり、自分に集まってくる「楽しいこと」の性質の変化だったり、なんだろう、つまるところ、本格的に「売れ始めた」という現象を目の当たりにして果たして本当にこれで良いのかという戸惑いも含めた様々な要素が絡んでいる感覚なのだろう。根っこの部分には堂前さんの人間性もありそうだ。分からないけれど、自分で仕事を選んで、時には断って、本当に心から楽しめるものだけを楽しんでいる姿を見られるとうれしいなと思ったりする。

ライブの最後には「定期的にやりたいくらい楽しかった」という言葉が出るほど楽しそうだった2組。4人中2人は同じ家から一緒に来て、一緒に帰ったのだなぁと思うとまた趣深い。

そんなこの日の幕張からの帰り道、ポイさんが堂前さんと新木場駅でガチャポンを回し、ヨガをするゴリラを引き当てたことをInstagramに投稿していた。ハフちゃんへのおみやげらしい。よく知っている場所で好きな人たちがガチャポンを回して楽しんでいるという現実……2人は本当に東京で日常を過ごしているのだなという実感が増した。

今日、自分もヨガゴリラが欲しくて新木場駅に行った。僭越ながら、2人が回したものと全く同じガチャ機を回した。なんと、一発でヨガゴリラを引き当てた。堂前さんが「ゴリラや!」と言っていたように、自分も心の中で「ゴリラや!」と思った。なんなら声に出ていたかもしれない。同じ場所で同じヨガゴリラを手に入れた。ちょっとうれしい気持ち。

JR新木場駅のガシャポンコーナーにてヨガゴリラ

あと今日は、神保町の漫才劇場でロングコートダディ仕様のチケットホルダーを買った。来月、ロコディが出演する某ライブのチケットも発券した。ちゃんとチケットホルダーに入れて見に行こう。楽しみだな。生きよう。

2428文字。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?