白杖使用者の日常―強風

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視覚障害、白杖歩行で困ることのひとつ。

雨や雪は大変なイメージがあるかもしれませんが、これは案外、思われないところかもしれません。

強風。

これは、簡単な程度の雨より大敵です。

風というのは周りの音をさらっていく、もしくは風自体の音も加わって、方向感覚がわからなくなるのです。
同時に、強風だとそれに煽られて身体のバランスを崩し、方向性がいつの間にかズレて、更に方向感覚が狂っていくことに。

強い風にあおられると、私はしばらく立ち往生せざるを得なくなります。
無理に進めばどこに進むかわからないので危険であるし、私の場合は体幹や平衡機能にも問題があるから特にかもわかりませんが…いずれにせよ視覚情報が取得できない状態というのは、身体のバランスを崩しやすいので、手すりを持つことのできない満員電車にせよ、風にせよ、立っていること自体が難しいのです。
風の強い日、風のない時でも、いつ吹きすさぶかわからない中、つまりいつ一瞬で方向感覚を失うか身体のバランスを失うかわからない中で移動しているのは、…いやただでさえ強い風で普段と周囲の音の感じが違ったり音の取得がしづらくなっている中で、移動しているのは、平然と歩いているように見えて実は結構な心細さがあります。

もし、風の強い日、白杖で歩いているひとを見かけたら、できましたらどうかぜひ、お声をかけていただけると、非常に助かります。

ちなみに、この記事を思いついたのは、つい数日前、外出時に私自身が強風に煽られ、その場から文字通り一歩も動くことができなくなり、完全に立ち往生してしまった(しかも何度も)ことがありました。
まったく動けなくなるだけでなく、強風の音と圧力で周囲の空間情報が突如奪われ、自分がどこにいるかどこを向いているかわからなくなる中で更に強風によって無理やり身体が押され、飛ばされそうな状態に。踏みとどまるだけで精いっぱい。
病院に行くときで、高層ビルの前(間?)でしたから、ビル風も重なっていたのでしょう。
それでも時間に間に合うためには進まねばならない。
僅かずつ僅かずつ進んでいると、丁度同じ病院に行く患者さんが「どこに行くんですか?お手伝いしましょうか」と声をかけてくださり、誘導していただくことができました。

そして、帰りもまた同じ目に…。
高層ビルの敷地から出るのに階段を下りねばならず、とにかくゆっくり進み、杖の先で段を探りながら、身体のバランスを保ちながら、1弾ずつゆっくりと降りていると、どこから現れたか(そもそも風で周りの様子がわかりません)、男性の声が「肘、持ってください」と、さっと腕を差し出してくださり、残りの数段、階段を降り切るまで手伝ってくださいました。そして、「ここ、右に曲がると駅がありますから」と。
こんな階段数段、数メートルのご助力でも、本当にありがたいのです。

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