民間企業では世界初!月面探査を実現する「株式会社ダイモン」が描く宇宙産業の課題と未来について取材してきました!

こんにちは、コスモ女子ライターのアンです。


コスモ女子は、2022年度に女性中心チームで人工衛星を打ち上げるという目標をもったコミュニティです。
女性中心のコミュニティが人工衛星を打ち上げることは、なんと世界初!

そんな大きな目標を掲げていますが、わたし達はもっともっと宇宙について詳しく知りたい!
ということで、宇宙に関わる様々な企業様に取材をお願いしています。


今回取材したのは、ロボット・宇宙開発ベンチャーで、民間企業では世界初じめての月面探査を実現する株式会社ダイモン(以下、ダイモン)。
創業のきっかけや宇宙業界の魅力をはじめ、女性が宇宙業界で活躍する可能性まで、
創業者である代表の中島さんと役員の芳賀さんのおふたりにお話をうかがいました。

ご多忙の中、本当にありがとうございます!


ダイモンは、現在、世界で一番、超小型&超軽量(重量は、現在、500g。kgではなく、gです)の月面探査車「YAOKI」の開発により、宇宙業界では世界的に注目を集めている企業です。
更に、「YAOKI」は、NASAの商業月輸送サービス「CLPS」に日本企業では初めて契約し、今年2021年秋に月面を探査します。

NASAが、50年前の「アポロ計画」の後継プロジェクト「アルテミス計画」を発表したのが、2017年。
月面輸送に関しては、ロケット、着陸船と探査車などを全て民間に委託する「CLPS」中、その第1回の月面に行く契約ができたのは、ダイモンの月面探査車「YAOKI」なんです。
(参考:YAOKIとは

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出典:twitter

そんな最先端を走っている企業が日本にあることを、日本人として嬉しく思いました。

前置きが長くなりましたが、ここからは中島さんと芳賀さんにインタビューさせていただいた内容を紹介します!


東日本大震災が創業のきっかけ

大学卒業後、おもに外資系企業で自動車の駆動開発に20年間、従事されていた中島さん。ダイモンを創業するきっかけになったのは、2011年3月の東日本大震災だそうです。

2012年のダイモン創業後は、震災後に長く電力不足に陥る状況を経験し、自然エネルギーの普及を目指して事業を進まていました。
一方で、XプライズSE財団の月面無人探査レース「Google Lunar XPRIZE」プロジェクトに参加していた、日本で民間初の月面探査チーム「HAKUTO」に参画したことで、幼少期にアポロ計画に触れてからずっと秘めていた宇宙への想いがどんどん現実的になったことが、「YAOKI」の開発したきっかけだそうです。

1人でスタートした会社でしたが、中島さんが宇宙開発にかける想いに人が集まり、現在は東京を拠点に社員8名で運営されています


宇宙環境における技術開発の課題とは?

ダイモンの代名詞である、月面探査車「YAOKI」。
宇宙空間を想定した開発の課題についてお聞きしました(守秘義務があり難しい質問にも関わらず、ありがとうございます!)。


課題その①:真空の対応

まず月面や移動する宇宙空間での活動で気をつけることは、空気がない真空状態であること。
いわゆる空気の無い空間では熱が伝導しないため、宇宙空間においては温度の均一化が大きな課題になるそうです。

月面や移動する宇宙空間(「YAOKI」は、ポッドという運搬ケースに入っいます)では、同時期に、太陽光線が当たる日なたでは100℃以上に、日が当たらない日陰では−100℃になります。(その差、200℃以上!)

地球でも日なたと日陰で温度差はありますが、せいぜい10℃程度ですよね。
わたし達が当たり前に感じている空気の影響力の大きさを感じます。


課題その②:距離の対応

地球と月は38万kmも離れていて、光速でも往復で約2.5秒かかります。
通信には最低でも10秒のタイムラグが発生するし、大量のデータを送るとさらに時間がかかってしまうため、情報伝達には工夫が必要です。

YAOKIから送られる映像データの画質が荒いと操作にも支障をきたすため、データ量と送信方法でどう着地点をつけるかが、課題のひとつになります。

一方、意外にも走行についてはわたしたちが思うほど大変ではないそうです(もちろん他の課題に比べれば、ですが)。

ちなみに、火星ではどうなのか気になって質問したのですが、火星は空気があって地球と環境的に近いため、月に比べたらとても簡単なんだとか。

月面での動作を実現する方が、技術的には圧倒的に困難だそうです。
中島さんの「月面で出来れば、どこでもできる」という言葉がとても印象的でした。

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インタビュー裏話:重量の課題
すでに500gという超軽量を実現しているYAOKIですが、ある日海外企業で500gの探査機が開発されたという噂を耳にしたお2人。

「じゃあこっちは498gとか398gにして、月面挑戦498(ヨンキュッパ)でいこう!!、なんて考えています。1gも10万円ですから(笑)」
と更に目標を高く掲げておられました。
※月への輸送コストは1kgあたり1億円です

とにかく楽しく活動しているおふたりの人柄に触れ、わたしは純粋にファンになってしまいました。


宇宙分野で女性が活躍できる可能性とは?
宇宙業界の魅力とは?

大前提として、男女の差はほとんどないと考えておられました。
強いて言うなら、男性より女性の方が繊細な方が多いので、「YAOKI」を操作する「月面操作士」に適している可能性はあるとのこと。

また、宇宙への輸送コストは1kgあたり1億円ほどなので、体重70kgの男性と50kgの女性がいたときに、輸送コストで20億円の差が生まれます。
能力が同等だったらどちらを選ぶかは言わずもがな。つまり、より体重が軽い女性の方が宇宙には行きやすい!!

わたしも将来宇宙遊泳を実現するために、ダイエットも課題の一つにしようと決めた瞬間でした。

さらに、宇宙空間は重力が低いため、腕力のアドバンテージがないことも女性が有利になるポイントのひとつ。

そもそも宇宙というマーケット自体が未開拓であるため、どこで新しい価値が創出されるか、どんな産業と繋がるか、まだ見ぬ可能性に満ちあふれていると感じています。

月面探査だけで見ても、50年前のアポロ計画からほとんど進んでいません。
いまどき、50年前から変わっていないことなんて珍しいと思いませんか?

それだけに、「YAOKI」がいち早く月面にいって実績をつくることは、大きな意味があります。


未開拓の分野で将来のことを考えると、すごくワクワクします!
そんな可能性も宇宙の魅力ですね。

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今後の計画とメッセージ

ダイモンの将来的なビジョンについてもお聞きしました!

下記は、今後の具体的なアクション計画です。

2021年 月面探査で実績づくりに注力!
2022年 複数AI機を用いた自動探査を実現
2023年 探査機の恒常的な活動を実現
2024年 アルテミス計画の準備
2025年 月面基地建設に向けてYAOKIの軽量・小型技術を他分野に展開
2030年 月面基地完成に向けて究極のSDGsに技術貢献


宇宙では建造物の材料調達、飲食物や空気の再利用、など限られたリソースを最大限利用する必要があります。
1kgあたり1億円の輸送コストを考えると、何でも地球から持っていくわけにはいかないですよね。

宇宙で調達し、宇宙で消費して、宇宙で再利用する。
まさに宇宙での地産地消なのです。
宇宙で活動領域を増やす営みが、そのままSDGsの技術革新に直結するのだと学ばせていただきました。

ものすごく大きな可能性にあふれている宇宙産業。
中島さん、芳賀さんからも、コスモ女子は新たな価値を創出することを期待されています。
最先端を走る方々に期待していただけるのは、すごくありがたいことですね!


取材を終えて

エンジニア・発明家として情熱と技術開発で圧倒的なエネルギーを生み出す中島さんと、
業界を横断する豊富な知識と洗練されたマーケティング力で、目標達成の効果的な方法とマネタイズを創出する芳賀さん。

おふたりのやり取りからは、それぞれが得意な分野で輝きながら互いに助け合う、理想のチームワークの形をビシビシと感じました。

「コスモ女子も今後の活動でダイモンとご一緒できることがあればぜひ!」と熱い約束を交わし、濃厚な取材を終えました。

改めて、今回ご多忙の中にも関わらず、取材をお受けいただいた株式会社ダイモンの代表の中島さん、役員の芳賀さんに感謝申し上げます。

YAOKIのSNSもありますので、宇宙好きのみなさま、要チェックです!
色んなメディアにも出演されているので、見かけたことがある方もいるのではないでしょうか。



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【コスモ女子について】

コスモ女子_横


わたしたちコスモ女子は、株式会社KanattaがSDGs5番目の目標である「ジェンダー平等の実現」をミッションに掲げ、「宇宙を身近な存在に」をテーマに発足した女性コミュニティです。
宇宙に関する専門的な勉強会から、宇宙がちょっぴり気になる初心者でも楽しめるイベントなどを定期的に開催しています。
宇宙に興味がある女性のキャリア形成、ビジョン実現を応援し、たくさんの女性が宇宙業界で活躍できる場を増やすことを目指しています。

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