「同人作家とコスモテック - 新しい箔表現の探求」

今では各種SNSを通して、コスモテックでも同人誌への箔押し加工を行っていることは、そこそこ知られていると思いますが、少し前では「同人誌への箔押しはやっていらっしゃいませんか?」と少し恐縮した感じでのお問い合わせが多かった記憶があります。

全面箔押しカバーの同人文庫本(2017年)| 集さん( @rbandcosb

こうして各種SNSや書籍をはじめとするメディアを通して、コスモテックが同人作家の方々へ知られる前の話。

コスモテックのブログを開設して(2005年~)、その数年後までさかのぼりますが、その当時からコスモテックでは個人の方からご依頼頂く同人誌や同人関連の印刷物への箔押しを行っていました。更に前には、同人印刷を得意とする印刷会社からの下請けとして受ける箔押し加工も多くありました。

一般的な書店に流通するような書籍と違って、同人作家がイベントで頒布するような同人誌やアイテムは、主に著作権や肖像権など権利関係や本の内容を不安視する、コストや納期がきびしいなどの理由で敬遠する印刷加工所も少なくありません。同人作家が恐る恐る問い合わせを下さるのは、そんな背景があってのことでしょう。

先に述べたようにコスモテックでは、数はそんなに多くないにしろ昔から同人印刷物への箔押しを扱っていることもあり、ひとつの作品づくりのお手伝いとして、ほかの印刷物と同様に大切に丁寧に箔押し加工させて頂いております。任せて下さった同人作家にも、その作品を購入して手に取ってくださる方にも喜んで頂きたいのです。

最近は、同人印刷会社に全てを委ねれば手配がとても楽にもかかわらず、あえて同人作家自身がハンドリングして、希望の印刷会社・加工所を使い分けることも増えているようです。印刷会社で印刷した表紙の箔押しをコスモテックに直接お持ち込み頂く場合や、同人印刷会社に「コスモテックで箔押しを」とご指名いただくという驚きの流れを作る方々も数多くいて、コスモテックとしても光栄に思います。

2色の超見当合わせを実現させた『ゆるゆるミリタリー』
ツイッターで RT14,000 / Fav27,000 の記録的大爆発(2017年) | 
サカモトさん( @alpadesign_n

学ばせて頂くことが沢山ある!

僕が加工所の立場で、同人誌の仕事で一番感じるのは同人作家の、作品に対する並々ならぬ熱意です。

同人誌のご依頼では「この特殊紙とこの変わった箔とを組み合わせて、このイラストを箔押ししたいんです!」と、驚くような組み合わせで印刷の常識を破壊してくれる勢いとパワーが感じられて、ドキドキします。

とは言っても、僕やコスモテックにも今まで積み上げてきた経験値や印刷加工の知識があります。できるだけご希望を汲んだ上で「もっとこうしたら良くなりますよ」というご提案を伝えるため、箔押し校正でご希望以外の数パターンの箔を勝手に押しては問いかけてみることもあります。このようなやりとりを同人作家とコスモテック間でしている時間は僕にとってもとても楽しく、宝物のようです。新しい表現の探求、発見の連続がそこにはあります。

表裏箔押し。更には紙の断面はキラキラのホログラム箔の名刺(2015年
高河ゆん先生( @yunk99 ) とのスペシャルコラボレーション

緩衝材プチプチクッション封筒に
2色の箔を全面押したCDケース(2014年) | GEOGRAPHIC


僕が提案用に勝手に押した校正について、同人作家の方から「校正箔のボツ案は今後必ず生かします!」と言われたことは目から鱗でした。限られた資金と時間をやりくりして大好きなものづくりをしている方々の、今後のための経験値になっていることなのだと確信し、うれしく思います。

同人作家のあたり前と、僕やコスモテックのあたり前の中でのせめぎ合いや、作品を通して対話する中で生まれる箔押し表現には目新しさがあり、そこには新しい可能性が満ち溢れております。僕もずいぶん学ばせて頂きました。

大槍葦人先生 画業20周年記念 額装風ポストカード(2016年
コスモテックの「つばめ返し」の技法を取り入れて製作
夏コミで光の速さで瞬殺完売 | 大槍葦人先生( @oyariashito

慣れない印刷所・加工所にコンタクトすることは、恐らくものすごく緊張するでしょう。ましてや、コスモテックは会社のホームページがなく、ブログのみ。箔押しは高価な印象が強い加工ですし、価格表もありません。気の利いた注文フォーマットもない加工所へのお問い合わせ・ご依頼は、きっとハードルが高いことなのではないかと思います。

そこを「作品一緒に作りたい!」という一心で飛び越えてくるパワーには、尊敬の念を抱きます。そのような熱意のある方には、こちらも技術でお返ししたくなってしまうわけです。

特殊紙プライクに様々な箔を押して
製作した名刺兼タグ(2014年) | 図工部


コスモテックでは特殊紙パチカを用いた名刺作成キャンペーンを年に何度か行なっています。2018年6月現在、すでに11回開催していますが、年々、ご注文者の中に同人作家の方の割合が増えているように感じます。そして、皆さん、表現の限界値を探るような挑戦的で奇抜なデザインばかり!

このキャンペーンはコスモテックにとっても、新しい表現方法に触れる良い機会となっています。また、バリエーションに富んだデザインに触れることで新しい世界が開いていくのを感じています。パチカのキャンペーンをやってよかったなぁと感じる瞬間です。

これからも、コスモテックは同人作家とのお仕事も楽しみにしています。ぜひ遠慮なさらずに気軽にご相談くださいませ。お互いの熱と熱がぶつかり合って、新しい箔表現の方法が生まれる予感がします。

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コスモテックという、ある箔押し屋の話

十数年をコスモテックの営業として過ごした僕の思い、お客様・職人・コスモテックへの感謝を言葉にしたい。今だからこそ伝えられることがあるのではないだろうかと思い立ち、僕なりの文章として残すことに決めました。
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