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『 深海魚 』 ZINE 発行

この度、コスモテックの営業 青木と現場 前田がタッグを組み、『 青木前田 』 という( そのままの )ユニット名で 『 深海魚 』 というタイトルのZINEを刊行します。

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◎ 気になる内容は?

前田が使い捨てカメラを使用してずっと以前から密かに撮り溜めてきた、シールの廃材( シール製作時に出るごみ )の写真を集めた、一風変わった写真集です。

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お客様にお納めしているシール製品製作の裏側では必ず廃材が生まれています。使用するシール材・インキ、シールの形状、デザインによって、この廃材の色や形状も様々です。どんな廃材が生まれてくるのかはまさに偶然の産物で、一期一会の物体です。

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生まれてくる廃材の異形の姿は、なぜか私たちを惹きつけ、不気味なのにどこか美しささえも感じられます。

◎ 『 深海魚 』 というタイトルは?

ある日、グラフィックデザイナー小玉文さんに、前田がこれまで撮り溜めてきた写真をたまたまお見せする機会がありました。

小玉さんから頂いた言葉 「 なんかこれ、深海魚みたいですね。面白い! 」 。 これがそのまま、このZINEのタイトルとなりました。

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加工現場の知られざる空気感はどこか未知の世界である深海のようであり、そこで生まれる廃材の数々はまるで深海にひそむ謎多き魚のよう。

小玉さんから頂いた 『 深海魚 』 という言葉は、スッと 『 青木前田 』 の中に入ってきました。

◎ 写真を乗せる紙を選ぶ・プリントする

今回、『 深海魚 』 を製作するにあたり、紙は 『 SPS-N 』 という薄く、表面がつるつるの紙を選定しました。本文用紙だけでなく、表紙・裏表紙も全て 『 SPS-N 』( 厚みも本文用紙と同様 )

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また、ZINEの在り方やアングラ感を踏まえ、データは Word に JPG 写真を嵌め込むだけ。全ページをカラープリンターでプリントアウトする仕様としました。

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『 SPS-N 』 にカラープリントすることで、表面が独特の光彩感を帯び、触感もやや粘り気のある、少しねっちょりした感じが生まれます。また用紙の薄さも相まって、丁合して束ねた際、ぐにゃぐにゃ・うねうねします。

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なお、プリントと丁合作業は青木が行いました。
使い捨てカメラで撮影した写真の少し荒っぽい画質も手伝って、独特なクセのある写真集に仕上がっています。

◎ 光る製本で綴じる

『 深海魚 』 を製本は、小原一哉さん( 篠原紙工 )のご提案により、 「 光る製本 」 を採用しております。 『 深海魚 』 の製本を考えるにあたって、真っ先にご相談したのが小原さんでした。

小原さんが 『 深海魚 』 からイメージを膨らませ辿り着いたのが「本を光らせる」というアイディア。本の断面の四面に施された蓄光インキが暗闇の中でぼんやり光ります。


小原さん 「 深海にいる魚は、暗い海の底で光っているイメージがありますよね。なので、製本でもこのイメージを損なわず、光らせてしまえと。 」

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四面中の、一面はPUR製本の糊の中に蓄光インキを混ぜ合わせ、三面は蓄光インキを用いてコバ塗りしたりと、随所に製本の技、何よりも挑戦が感じられる製本設計になっております。 

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製本は小原一哉さんが所属する、そしてコスモテックも 『 青木前田 』 も絶大な信頼を寄せる有限会社篠原紙工によるもの。

◎ 表紙の加工は型押しというシンプルさ

カラープリンターで出力した 『 SPS-N 』 に深海魚の明朝体の文字を型押し( デボス )加工しました。 加工は前田によるもの。

写真から、加圧加減の調整に余念がない様子を感じ取ることが出来ます。

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日々箔押し加工に従事する青木・前田ですが、表紙の加工に選んだものは箔押しではなく、型押し( デボス )加工。しかも物凄い小さい面積で。

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当初から 『 青木前田 』 間で 「 これは箔押しじゃないよね 」 という共通見解があり
、何よりも今回作るもの・見せたいものを考えた際、一番に写真があり、そして小原さんがご提案して下さった 「 光る製本 」… 『 深海魚 』 の世界観を考えた際、 「 箔押しよりも型押しがふさわしい 」 という結論に達しました。

◎ 「 水に箔押し 」 からデータを作る実験

表紙の型押し( デボス )加工一つ取っても、最終的にはシンプルに明朝体をポンと配置すると決定するまでには、実は紆余曲折がありました。

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当初考えていたプランは 「 溶ける紙 水(とけるし みず) 」( その名の通り、水に溶ける紙 )に 『 深海魚 』 の文字を箔押しし、それを水に浮かべて、箔の文字をぷかぷか浮かべて( 水に箔押しする表現・動画は黒箔押し )、文字がバラバラになったところを写真に押さえて、そこからデータを作り、表紙に型押し( デボス )するというもの。


これは、 『 深海魚 』( シール廃材 )は無作為に生まれるものなので、「 タイトル文字の組み方・バラけ方も無作為だとおもしろいのでは? 」 という実験でした。 結局、このプランはボツになってしまいましたが、なかなかおもしろい発想だったと思います。

◎ コスモテックではありつつも、コスモテックではない 『 青木前田 』

今回、ZINEを作ると決めて題材を探していたとき、前田が密かに撮り溜めていたシールの廃材写真が目にとまりました。

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僕等 『 青木前田 』 が本当に作りたいものを考えた時、普段のコスモテックという殻をぶち破るようなものを作ってみたいと意見が一致し、この 『 深海魚 』 の製作に取り組んできました。

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写真集 『 深海魚 』 の中には、恐らく常人では理解し難い不思議で不気味な世界が溢れていると思います。ページをめくればめくる程に深海の深い所へと潜っていくような気分になるでしょう。


万人に好まれるものでないからこその面白さがあります。
この写真集を手に取った皆さんからどんな反応を得られるか 、僕らはとても楽しみにしているのです。

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『 深海魚 』
製品が生み出される裏側では、
意図せぬ異形の副産物もまた静かに産声をあげる。
偶然に生み出され、廃棄される時を待つだけの
冷たい深海魚たちのパレード。
WEB : https://deep-sea-fish-label.tumblr.com/

©︎aokimaeda “Deep sea fish“, 2019 Printed in Japan

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