自慢の弟は一番最後 20話
『わぁぁぁ!』
自分の打球によって湧くバンテリンドーム
塁上でプロ野球選手としての幸せを嚙みしめる
そして...
なおも続くチャンス
ノーアウト2塁の場面
バッターは源田さん
内野の守備位置は定位置
岩崎さんの癖は、長岡選手に少しだけ教えてもらったし...
狙ってみるか...
岩崎さんがセットポジションに入る...
こっちの様子は...見てないっ!
行けるっ!
ダッ!
『走った!』
大城:フンッ
ズサー
岡本:アウト!
"セーフ!"
『わぁぁぁ!』
和:すごいっ!すごいっ!
○○三盗したっ!
咲月:さんとう...?ねぇ和、三盗ってなに?
和:今、咲月も見たでしょ?
○○が3塁まで走ったの!
咲月:う、うん、見たよ
和:1塁から2塁に向かって盗塁するよりも、2塁から3塁に向かって盗塁する方が遥かに難しいのっ!
咲月:そ、そうなんだ...笑
和の圧に押されている咲月
完全に理解はできなかったが、すごいことが起きたのはわかった
そして○○の盗塁に興奮しているのはもう一人...
さくら:すごい...
あやめ:○○、ここで走るんだ笑
さくら:○○さんって足も速いんだね!
あやめ:高校の時は50m6.1秒って言ってたけど、今はそれよりも速いんじゃない?
さくら:すごいなぁ...
あやめ:...さくちゃん、○○のこと気になる?
さくら:っ!?//
あやめ:ふふっ
大丈夫、誰かに言ったりしないから笑
(やっぱりか...笑)
さくら:あ、あやめん...
あやめ:始球式の練習に付き合ってくれた時から、気になってる感じ?
さくら:コクッ
あやめ:そっか...笑
ドームに残る残響、ベンチから身を乗り出すように見てくれている先輩たち
そして、一段と大きくなる応援
そのすべてを独り占めできた感覚
すごく楽しい...
それと同時に
『さぁ、今度はどんなことをするんだろう?』
そんな期待感が会場中に広まっていく
監督からのサインは特にない
ただ、バッターは源田さん
知っている人はいるだろう
2019年のプレミア12でのオーストラリア戦
1-2で負けている7回2アウト、ランナー3塁の場面
あの時の興奮をいまだに覚えている
あの時も監督からのサインはなかったって、周東さんが言ってたし...
これは準備しておかないと...
源田:ふぅ...
源田選手の一挙手一投足、見逃せない
岩崎:フリフリ
大城:パッ
岩崎:コクッ
バッテリー間のサインも決まったっぽい
さぁ...どうなる?
岩崎:フンッ
源田:スッ
やっぱり来たっ!
ダッ
コンッ
ボールは3塁線を転がっていく
3塁の岡本さんもピッチャーの岩崎さんも不意を突かれたため、上手く反応できていない...
いい所に転がった!
これは大丈夫!
ズサーー
"セーフ"
『わぁぁぁぁ』
パ 2ー0 セ
想定通りのセーフティスクイズ
源田さんもニッコニコでこっち見てるし...
狙い通りって感じだったのかな笑
咲月:○○くん、すごすぎない?笑
和:この2点、全部○○だもんね!
咲月:これは応援したくなるわ!
こんなにワクワクさせてくれるんだもん!
和:でも....いいの?
親御さん、ロッテファンじゃなかった?
咲月:大丈夫!
○○くんのファンだから!
和:...ならいいのか?笑
さくら:わぁ!すごい!パチパチ
あやめ:あの場面で、セーフティ...
源田選手も○○もすごいなぁ...
さくら:うん!すごい!
あやめ:さくちゃん、あとでインタビューするの○○かもね笑
さくら:っ!?む、無理だよぉ///
あやめ:ふふっ
さくちゃん、顔真っ赤笑
さくら:むぅ...
あやちゃん、怒るよ?
あやめ:ごめんごめん笑
すると...
TV出演を終え、久保さんたちが関係者席にやってきた
史緒里:さくちゃん!始球式お疲れ!
さくら:あぁ、ありがとうございます
史緒里:ナイスボールだったよ!
ねっ!柚菜!
柚菜:うんっ!すごかった
さくら:そっか...ありがと!
史緒里:それはそうと...あやめん!!
あやめ:な、なんですか?
史緒里:あの井上選手と幼馴染なの!?
あやめ:えぇっと...
柚菜:ごめん、柚菜が教えちゃった笑
あやめ:あっ、なるほど...笑
史緒里:なんで隠してたのっ!
あやめ:別に隠してたわけじゃなくて、言い出す機会がなくて...笑
史緒里:すごいじゃん!
幼馴染がプロ野球選手なんだもん!
あやめ:久保さんだってそうじゃないですか笑
弟さん、今はメジャーでしたっけ?
※IF~参照
史緒里:そうなの!
でも井上選手とうちの弟が同じ名前だったなんて、運命じゃない?
あやめ:ですね笑
史緒里:それでそれで!
あやめんは井上選手の事、気になってなかったの!?
さくら:!?
あやめ:う~ん...
気になってなかった、わけではないかもしれないですけど...
史緒里:けど!?
あやめ:あいつには相棒がいましたから...
史緒里:ふ~ん、そうなんだ!
あやめ:(さくちゃんも気になるって目で見てきてるし、話を変えておくか...)
あっ、ちなみに自分も双子ですよ?
史緒里:えっ?ほんと!?
あやめ:ほんとです、ほんとです笑
史緒里:弟君?妹ちゃん?
あやめ:私は弟ですね
史緒里:それで井上選手と幼馴染ってことは...
その弟君も野球やってた?
あやめ:ご名答です笑
今は宮城の大学でやってますよ
史緒里:ほんとに!?
今日、あやめんから聞いたこともない情報知れてびっくりしてるんだけど笑
あやめ:あまり話す機会なかったですもんね笑
『うぇい!○○!』
『ナイスよ!』
あの後、ベンチに戻ると先輩たちみんなに祝福された
自分が憧れた選手、手本にしてきた選手たちに...
ただただ嬉しかった
この後、5回にもう一度打席に立ったけど、山崎さんのナックルに翻弄されサードゴロに終わった
あ、ちなみにちゃんと体感しましたよ?
『ヤスアキジャンプ』
あの会場の盛り上がりは、すごかったなぁ...
そんなファンの時の気持ちが出てきちゃうのもオールスターゲーム
今回の試合、選出された選手を全員使いたいってことで、自分はここでお役御免
初のオールスターは、2打数1安打1打点1盗塁と出来すぎなぐらいの結果で終わった
試合はこのまま、2-0で終了
そして...
MC:第1戦のMVPは....
福岡ソフトバンクホークス 井上○○選手です!
『わぁぁぁぁ』
○○:マジっすか...
源田:ほら、行ってきな
○○:は、はい...
和:初出場で、MVP...
咲月:そりゃねぇ、この活躍を見れば当然じゃない?
和:出来すぎだよ~
もう怖いよ笑
あやめ:ほら、やっぱり○○だった
さくら:うぅ...どうしよ
あやめ:大丈夫、○○はしっかり話してくれるから
(あいつもあいつで緊張してるかもしれないけど...笑)
さくら:リップもう一回塗ってこよ
あやめ:大丈夫だって笑
さくちゃんは今のままでも可愛いよ
MC:MVPおめでとうございます!
○○:ありがとうございます
MC:今、どんな思いでいらっしゃいますか?
○○:そうですね...
こんな日が自分の野球人生であると思ってなかったので、素直に嬉しいです
MC:あの2回のエンドランと三盗からのスクイズでのホームイン
あれは狙ってたんですか?
○○:エンドランに関しては、ギータさんからサインが出ていましたし...
たぶんギータさんが頓宮さんを走らせたかったのかなぁと思ってましたけど
『わははは!』
○○:まぁうまい具合に打てたので良かったですね
盗塁については、まぁ直感的に行けるかなと思ってました
MC:直感的に行ける、ということでしたが、スクイズの場面もですか?
○○:そうですね
監督からサインは出ていなかったですけど、源田さんなら多分やるかなと
プレミア12の時のセーフティスクイズを覚えている方なら思ったんじゃないですかね
MC:そうですか!
それではもうお一方、本日始球式も務められました遠藤さくらさんからもインタビューお願いします
さくら:あっ、遠藤さくらです
MVPおめでとうございます!
○○:ありがとうございます
さくら:初の舞台とのことでしたが、緊張はされなかったのですか?
○○:そうですね...
緊張はしまくりです笑
『わははは』
○○:自分がTVで見ていた選手たちと野球ができていること自体がまずすごいことだなと思ってますし...
それでも自分はファンの方の投票でこうしてこの舞台に立てているので...
すごく感謝しています、ありがとうございます
パチパチパチパチパチ
さくら:それでは最後に明日に向けての意気込みをお願いします
○○:はい、明日もMVPになれるような活躍ができるよう頑張ります
『おぉ~!』
○○:そして、ギータさんのバッティングピッチャーもしっかりやらないと怒られるので...
『わははは!』
○○:そっちもしっかりやって楽しみたいと思います
さくら:改めてMVPおめでとうございます!
MC:第1戦のMVPは福岡ソフトバンクホークス、井上○○選手でした!
パチパチパチパチパチ
その後、ベンチに戻ると...
先輩たちに拍手で迎えられた
それがすごく嬉しかった
監督、コーチにもいろいろ褒めてもらって...
少し気持ちが舞い上がりながら片付けて帰路につこうとすると...
あやめ:○○!
○○:おう!あやめ
あやめ:お疲れ
○○:ありがと
あと...遠藤さん、ですよね?
始球式、めっちゃよかったですよ!
さくら:あ、ありがとうございます///
あとMVPおめでとうございます!
○○:ありがとうございます!
あやめ:すごかったねぇ~
初のお立ち台?
○○:そう...だね、プロに入って初めてだ!
あやめ:初がオールスターの選手なんていないでしょ?笑
○○:うん、それは俺も思う
『さくら~、あやめ~車出ちゃうよ!』
あやめ:あっ、もう時間だって
○○:そっか...
じゃあ、元気で頑張れよあやめ
あやめ:○○もね
(さくちゃん、○○の連絡先聞けるかな?笑)
○○:さくらさんも!
うちの姉がさくらさん推しでよく見てるんで、応援してますね
さくら:嬉しいです!ありがとうございます!
○○:じゃあまた!
あやめ:さくちゃん、○○の連絡先聞いてないでしょ?
さくら:...あっ!
でももう...
あやめ:○○!
○○:ん?
あやめ:後で連絡するから、必ず見てね!
○○:わかった~!
あやめ:ふぅ...
はい、これ
ピコン
さくら:これって...
あやめ:○○の連絡先
さくら:い、いいのっ!?
あやめ:誰が連絡するって言ってないから○○はびっくりするかもだけどね笑
さくら:ありがと、あやちゃん!
あやめ:ふふっ、いいえ~
そんな○○たちの少し先の出口には...
咲月:ねぇ、行こうよ
和:待って!さくらさんいるもん
緊張していけないよ...
咲月:もう...
To Be continued...
ここから先は物語と関係ありません
ただのあとがきですので、見たくない方はここで閉じてください
先日ソフトバンクホークスから3人の育成選手が支配下登録されましたね。
この作品を書くにあたって、勝手にモデルとさせてもらった選手も含まれてました!
個人的にすごく嬉しかったですし、これからも応援したいなと思っています。
頑張りが報われる世界って、当事者じゃなくても嬉しいですね。
あともう一つ
自分の体調に関してですが、少しずつ良くなっています。
まぁただ波もあるような感じなので、完全に戻るのにはまだ少し時間がかかるかなと思ってますが...
つきましては、Xに戻るのも早くても4月以降になるかなと思います。
もうしばらくご不便をおかけするかもしれませんが、よろしくお願いいたします。
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