293. COVID-19パンデミックにおける自宅監禁中の小児の近視進行:系統的レビューとメタ解析

Myopia progression in children during home confinement in the COVID-19 pandemic: A systematic review and meta-analysis

Laan D, Tan ETC, Huis In Het Veld PI, Jellema HM, Jenniskens K. J Optom. 2023 Oct 23;17(1):100493. doi: 10.1016/j.optom.2023.100493. Epub ahead of print. PMID: 37879184.


目的:近視はパンデミック(世界的流行病)の一つであり、特に小児では後年弱視になる危険性が高い。COVID-19の流行期における家庭内への閉じ込めにより、スクリーンを見る時間の増加、屋外での時間の減少、近業活動の増加を通じて近視の進行が増加した可能性がある。本研究の目的は、COVID-19パンデミックにおける家庭内の閉じ込め期間中の小児の近視進行をCOVID-19以前の進行と比較することである。

方法:2023年1月にPubMed、EMBASE、Cochraneで関連研究を検索した。以下の基準を満たす研究を組み入れ対象とした:小児(18歳未満)、COVID-19による自宅隔離、等価球面屈折値(spherical equivalent refractive:SER)および眼軸長(axial length:AL)の測定、進行度を測定するための追跡期間。質の評価は、Joanna Briggs Instituteのコホート研究用ツールを用いて、2人のレビュアーが独立して行った。近視の転帰は、SER(ランダム効果)とAL(固定効果)を分析したメタ解析により評価した。

結果:検索により120の論文が同定され、そのうち5つの研究が解析に含まれた。バイアスのリスクは中等度であり、研究にはいくつかの重大な欠陥があった。COVID-19の流行期には、COVID-19の流行期以前と比較して、SER(-0.83D [95 %CI, -1.22, -0.43])とAL(0.36mm [95 %CI, 0.13, 0.39])の両面で、近視進行がより速かった。

結論:COVID-19の流行期における近視の進行は、COVID-19以前と比較してより急速に加速した。自宅監禁が近視に及ぼす影響は、将来的な監禁対策を考える際に考慮されるかもしれない。

※コメント
総じて言えるのは、おそらく、自宅の中で過ごす時間が多い事で近業作業が増え、それに伴い屋外活動の時間が減少している事が眼へのストレスを増加させているのでしょう。皮肉にもCOVID-19がきっかけで近視進行の研究(考え方)が広がったと言っても過言ではないと思います。

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