204. ヒト眼における低濃度局所アトロピン(0.01%)の房水および硝子体液中濃度の評価

Evaluation of the Levels of Low Dose Topical Atropine (0.01%) in Aqueous and Vitreous Humor in Human Eyes

Kumar P, Saxena R, Dhiman R, Phuljhele S, Kumar V, Chawla R, Velpandian T. Optom Vis Sci. 2023 Jul 27. doi: 10.1097/OPX.0000000000002044. Epub ahead of print. PMID: 37499168.


意義:生きたヒトの眼において、0.01%の局所アトロピンの房水および硝子体液への浸透を確認した最初のヒト試験である。これは、後眼部構造を介したアトロピンの作用機序の可能性を支持するものである。この知見は、近視管理の成績向上に役立つであろう。

目的:低濃度アトロピン0.01%の房水および硝子体液中への浸透性を評価すること。

方法:この横断的介入パイロット研究では、白内障48例を4群(各12例)に分け、黄斑上膜・黄斑円孔(Epiretinal membrane/Macular hole:ERM/MH)30例を3群(各10例)に分けた。手術眼に0.01%アトロピンを1滴点眼した。白内障手術を受けた患者から、第1群60±15分、第2群120±15分、第3群240±15分、第4群360±15分、網膜硝子体手術を受けた患者から、第1群120±15分、第2群240±15分、第3群360±15分に房水サンプルを採取し、液体クロマトグラフ質量分析計(liquid chromatography-mass spectrometry:LC-MS)を用いてアトロピンの定量を行った。

結果:アトロピン濃度の中央値は、60分で1.33(0.6min-6.46max;IQR-3.05)ng/mL、120分で2.60(0.63min-4.62max;IQR-1.97)ng/mL、240分で1.615(0.1min-3.74max;IQR-1.62)ng/mL、360±15分で1.46(0.47min-2. 80max;IQR-1.73)ng/mL、360分後の硝子体試料ではそれぞれ120分後0.102(0min-0.369max;IQR-0.366)ng/mL、240分後0.1715(0min-0.795max;IQR-0.271)ng/mL、360分後0.2495(0min-0.569max;IQR-0.402)ng/mLであった。

結論:低濃度アトロピン(0.01%)を1滴点眼したところ、房水および硝子体液中に測定可能な濃度が認められた。脈絡膜や網膜など後眼部に存在するムスカリン受容体が、近視における低濃度アトロピンの作用部位である可能性が考えられた。

※コメント
難しいことはよくわかりませんが(勉強します…)、低濃度のアトロピンでも後極部への機械的な作用を及ぼしていることが示唆されたようです。

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