360. 不同視弱視における逆パッチ(inverse patching)後の眼間抑制の減少

Reduced interocular suppression after inverse patching in anisometropic amblyopia

Hu J, Chen J, Ku Y, Yu M. Front Neurosci. 2023 Dec 11;17:1280436. doi: 10.3389/fnins.2023.1280436. PMID: 38152718; PMCID: PMC10752599.


目的:最近の研究で、弱視眼を毎日2時間、2か月にわたってパッチする(すなわち、逆パッチする;inverse patching)ことにより、弱視の年長児や成人の両眼バランス、視力、立体視が大幅に改善することが観察された。このような有望な知見にもかかわらず、逆パッチの基盤となる正確な神経機構はまだ解明されていない。本研究では、定常状態視覚誘発電位(steady-state visual evoked potentials:SSVEPs)に注目し、逆パッチによって誘発される神経変化をより深く掘り下げることを試みた。特に、年長の弱視小児と成人において、両眼または弱視眼の単眼遮断後のSSVEPの変化を調べた。

方法:臨床的に不同視弱視と診断された10名の参加者(17.60±2.03歳、平均±SEM)を本研究のために募集した。各参加者は、初日に健眼で120分間のパッチテストを受け、2日目に弱視眼で同様のテストを受けた。ベースラインのSSVEPs測定は、毎日パッチの前に行われ、パッチ後のSSVEPs測定はパッチセッションの直後に行われた。実験デザインには、SSVEPs測定を利用した両眼闘争パラダイムを組み込んだ。

結果:その結果、逆パッチは神経可塑性に強い影響を及ぼし、健眼から弱視眼への眼間抑制の減少として現れた。対照的に、健眼をパッチすることによる視覚野への影響はごくわずかであった。さらに、逆パッチ後の眼間抑制の変化は弱視眼の視力と相関を示した。

結論:逆パッチは、従来の治療法に抵抗性を示す重度不同視弱視と闘う青年や成人にとって、有望な治療手段となりうる。この革新的なアプローチは、視覚野においてより強固な神経可塑性を誘発し、従来の弱視治療よりも効果的に神経相互作用を調節する可能性を示している。

※コメント
これは非常に素晴らしい報告だと思います。
inverse patchingの有効性をVEPで確認したものです。神経学的所見からの話は、非常にパワーが強い情報です。
個人的には、重度でない弱視にとってはどのような結果になるのか興味があります。

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