166. 0.05%アトロピンによる中国学童の近視進行抑制:無作為化3年臨床試験

0.05% atropine on control of myopia progression in Chinese school children: a randomized 3-year clinical trial

Zhu Q, Tang GY, Hua ZJ, Xue LP, Zhou Y, Zhang JY, Zhu YT, Zhang XF. Int J Ophthalmol. 2023 Jun 18;16(6):939-946. doi: 10.18240/ijo.2023.06.17. PMID: 37332542; PMCID: PMC10250955.


目的:中国近視児を対象に、0.05%アトロピンの2年間の近視抑制効果(第I相)と、中止後1年間の等価球面屈折(spherical equivalent refraction:SER)の進行に対する効果(第II相)を評価すること。

方法:142名の近視小児を0.05%アトロピン群とプラセボ群に無作為に割り付けた。第I相では、小児は毎日片眼に1回ずつ点眼した。第II相では、患者は点眼しなかった。眼軸長(AL)、SER、眼圧(IOP)、アトロピン関連の副作用を6か月間隔で評価した。

結果:第I相において、SERの平均変化はアトロピン群で-0.46±0.30Dであったのに対し、プラセボ群では-1.72±1.12Dであった(P<0.001)。アトロピン群のAL平均変化量(0.26±0.30mm)は、プラセボ群(0.76±0.62mm、P=0.002)より有意に短かった。さらに、第II相(アトロピン投与中止12か月後)では、アトロピン投与群のAL変化量はプラセボ投与群のAL変化量(0.31±0.25mm vs 0.28±0.26mm、P>0.05)と比較して有意差はなかった。さらに、アトロピン群のSERの変化は0.50±0.41Dであり、プラセボ群の0.72±0.60Dより有意に低かった(P<0.05)。最後に、いずれの段階においても、治療群と対照群との間に眼圧の有意差は認められなかった(すべてP>0.05)。

結論:0.05%アトロピンを2年間連続使用することにより、アトロピン中止1年後にSERが有意に進行することなく、ALの伸長、ひいては近視の進行を効果的に抑制できる可能性がある。したがって、0.05%アトロピンを2年間毎日投与することは有効であり、安全である。

※コメント
0.05%アトロピンの有効性を示した報告です。
点眼中止後はリバウンドもなく、逆に抑制効果(屈折)はプラセボ群と比較して継続しているような結果でした。baseline dataでは年齢が平均9歳なので、その辺りは結果に影響を及ぼしてそうな印象です。

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