149. 小児の近視進行に対する0.01%および0.02%アトロピンの3年間にわたる有効性と安全性: 無作為化臨床試験 (CHAMP study)

Efficacy and Safety of 0.01% and 0.02% Atropine for the Treatment of Pediatric Myopia Progression Over 3 Years: A Randomized Clinical Trial (Childhood Atropine for Myopia Progression (CHAMP) study)

Zadnik K, Schulman E, Flitcroft I, Fogt JS, Blumenfeld LC, Fong TM, Lang E, Hemmati HD, Chandler SP; CHAMP Trial Group Investigators. JAMA Ophthalmol. 2023 Jun 1. doi: 10.1001/jamaophthalmol.2023.2097. Epub ahead of print. PMID: 37261839.


重要性:近視の世界的な有病率は2050年までに50%に近づくと予測されており、人生の後半に視覚障害を引き起こすリスクが高まっている。小児近視の進行を治療するための薬理療法は承認されていない。

目的:近視進行を治療するための新規の防腐剤フリーの0.01%および0.02%低濃度アトロピン製剤であるNVK002(Vyluma)の安全性および有効性を評価する。

デザイン、設定、参加者:本試験は、2017年11月20日から2022年8月22日まで実施された。プラセボ vs 低濃度アトロピン0.01%および0.02%(2:2:3比)のダブルマスク、プラセボ対照、並行群、無作為化第3相臨床試験である。参加者は、北米の26の臨床施設と欧州の5か国から募集された。登録された参加者は3歳から16歳で、-0.50D~-6.00Dの等価球面屈折異常(spherical equivalent refractive error:SER)と-1.50D以下の乱視があった。

介入: 1日1回プラセボ、低濃度アトロピン0.01%、0.02%の点眼薬を36か月間投与した。

主要アウトカムと測定方法:主要アウトカムは、治療に反応した参加者の眼の割合(3年後の近視進行が0.50D未満)であった。有効性の副次評価項目は、modified intention-to-treat集団(modified intention-to-treat:mITT:ベースライン時の年齢が6~10歳の参加者)における36か月目のSERおよび眼軸長の(ベースラインからの)平均変化量である。また、治療を受けた参加者(3~16歳)の安全性も調査した。

結果:合計576名の参加者が治療群にランダムに割り当てられた。このうち、573名(99.5%;平均年齢、8.9±2.0歳;女性315名[54.7%])が試験治療を受け(ランダム化された3名は試験薬を受けなかった)、安全性調査に含まれた。無作為化時に6~10歳であった489名(84.9%)の参加者がmITTセットを構成した。36か月目に、プラセボと比較して、低濃度アトロピン0.01%は、応答者の割合を有意に増加させ(オッズ比[OR], 4.54; 95% CI, 1.15-17.97; P = 0. 03)、平均SER進行の遅延(最小二乗平均[LSM]差、0.24D;95%CI、0.11D~0.37D;P < .001)、眼軸長の伸展を遅らせた(LSM差、-0.13mm;95%CI、-0.19 mm~-0.07mm;P < .001)。36か月目では、プラセボと比較して、低濃度アトロピン0.02%も有益性を示したが、応答者の割合の有意な増加(OR, 1.77; 95% CI, 0.50-6.26; P = 0.37) や平均SER進行の遅延(LSM差, 0.10 D; 95% CI, -0.02 D~0.22 D; P = .10) はなかった一方で、平均眼軸長の伸展は遅らせている(LSM差、 -0.08mm; 95% CI, -0.13mm~-0.02mm; P = .005)ことがわかった。重篤な眼科的有害事象はなく、重篤な非眼科的事象もほとんどなかったが、アトロピンと関連があると判断されたものはなかった。

結論と関連性:本無作為化臨床試験の結果、低濃度アトロピン0.01%は、プラセボと比較して、3つの主要評価項目すべてにおいて有効であることが示唆された。有効性と安全性が確認されたことから、低濃度アトロピンは小児近視進行の治療選択肢となる可能性が示唆された。

※コメント
0.01%がプラセボと比較して効果があり安全であるという結論は既報と変わりない結論でした。1点異なるのが0.02%では効果が乏しい(0.01%より弱い)結果となっていることです。濃度依存性が認められていません。
これに関しては深い考案はされていません。

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