120. 不同視が大きい,もしくは不同視の増加,偏心固視,遮閉治療のコンプライアンス不良は長期的な視力低下と関連していた(遮閉治療後15年の視力変化)

Long-term follow-up of an amblyopia treatment study: change in visual acuity 15 years after occlusion therapy

Kadhum A, Simonsz-Tóth B, van Rosmalen J, Pijnenburg SJM, Janszen BM, Simonsz HJ, Loudon SE. Acta Ophthalmol. 2021 Feb;99(1):e36-e42. doi: 10.1111/aos.14499. Epub 2020 Jul 13. PMID: 32657530; PMCID: PMC7891344.


目的:過去の弱視治療研究(Loudon 2006)の対象者の視力(VA)変化を調べ,VA低下の危険因子を評価すること。

方法:2001年から2003年の間に治療を受けた対象者に,2015年12月から2017年7月にかけて連絡を取った。自覚的屈折検査,最高矯正視力,読書視力,両眼視,固視,cover-uncover test,ACTなどが行われた。弱視の程度を示す指標として,遮閉治療終了時の眼間VA差(InterOcular VA Difference:IOD)を,Wilcoxonの符号付き順位検定を用いてfollow-up時のIODと比較した。IODの変化に対する臨床的および社会経済的要因の影響を明らかにするために,回帰分析を行った。

結果:研究対象者303名のうち208名がコンタクトに成功し,59名が拒否,15名が非弱視性の視覚障害により除外された。治療終了時(平均6.4歳)の平均IODは0.11 ± 0.16 logMAR,追跡検査時(平均18.3歳)のIODは0.09 ± 0.21 logMARであり,この差は有意ではなかった(p = 0.054)。不同視の程度(p = 0.008;単変量解析),不同視の増加(p = 0.009;多変量解析)、偏心固視(p < 0.001; 単変量および多変量),大きなIOD(p < 0.001; 単変量および多変量),治療中のコンプライアンス不良(p = 0.028; 単変量)はIODの増加と関連していました。

結論:遮閉治療の長期成績は良好であった。不同視が大きい,もしくは不同視の増加,偏心固視,遮閉治療のコンプライアンス不良は長期的なVA低下と関連していた。初期のVAが低い被験者では,遮閉をほとんどしていないにもかかわらずVAが大きく増加したが,長期的にはVAが低下していることが多い。

※コメント
この研究では,12〜15年前に弱視の遮閉治療を受けた患者の視力の長期的な結果を評価しています。最終的な対象者は134名。
2 logMAR line以上(重度)の悪化を示した5人の対象者のうち,4人は混合弱視であり,3人は不同視が増加,また眼鏡を掛けていなかったとのこと。ですが,本研究から,重度の視力低下を伴う割合は低いことが示されています。

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