88. 涙液の安定性とマイボーム腺の状態は,オルソケラトロジーレンズを一晩装着しても大きな影響はなく,12か月間の使用も眼表面への影響は少ないことが示された

Influence of overnight orthokeratology on tear film and meibomian glands in myopic children: a prospective study

Ruan J, Zhang Y, Chen Y. BMC Ophthalmol. 2023 Apr 3;23(1):136. doi: 10.1186/s12886-023-02883-8. PMID: 37013481.


背景:オルソケラトロジーレンズは近視の進行を抑えるために一晩中装着することが推奨されている。オルソケラトロジーレンズは角膜上に設置され,リバースジオメトリーデザインにより角膜表面を一時的に整形することで眼球表面に影響を与える。本研究では,8~15歳の小児を対象に,夜間のオルソケラトロジーレンズが涙液の安定性とマイボーム腺の状態に及ぼす影響について調査した。

方法:この前向きself-controlled studyは,オルソケラトロジーレンズを1年以上処方された単眼のみ近視の小児33人を対象とした。実験グループ(オルソ群)は,33人の近視眼で構成された。対照群は,同じ参加者の正視眼で構成された。涙液の安定性とマイボーム腺の状態は,Keratograph 5M (Oculus, Wetzlar, Germany)を用いて測定した。2群間のデータ比較には,対応のあるt検定とウィルコクソンの符号順位検定を使用した。

結果:1年後の診察時,非侵襲的涙液破壊時間:non-invasive first tear film break-up time(NIBUTf)値は,オルソ群および対照群でそれぞれ6.15±2.56秒および6.18±2.61秒であった。涙液メニスカスの高さは,それぞれ18.74±0.05μm,18.65±0.04μmであった。Wilcoxon符号順位検定を用いたオルソ群と対照群の間には,マイボーム腺の消失や非侵襲的涙液破壊時間に有意差は認められなかった。

結論:涙液の安定性とマイボーム腺の状態は,オルソケラトロジーレンズを一晩装着しても大きな影響はなく,オルソケラトロジーレンズを12か月間連続使用しても眼表面への影響は少ないことが示された。この知見は,オルソケラトロジーレンズの使用に関する涙液の質の臨床管理の指針になると考えられる。

※コメント
オルソを12か月使用した後,マイボーム腺と涙液の安定性は保たれるとの報告です。
オルソの安全性は高そうです。

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