71. 不同視を持つ被験者において,毛様体筋の後部領域が厚いことは,近視の増加に関連している。

Ciliary muscle thickness in anisometropia

Kuchem MK, Sinnott LT, Kao CY, Bailey MD. Optom Vis Sci. 2013 Nov;90(11):1312-20. doi: 10.1097/OPX.0000000000000070. PMID: 24100479; PMCID: PMC3985092.

目的:毛様体筋厚(ciliary muscle thickness:CMT),屈折異常,眼軸長との関係を,被験者全体および不同視を持つ成人の各眼(more and less myopic eyes)の間で調べること。

方法:1.00D以上の不同視差を持つ成人被験者29名の両眼を測定した。毛様体筋の厚さは,最大厚さ(CMTMAX),強膜岬(scleral spur)の後部1.0mm(CMT1),2.0mm(CMT2),3.0mm(CMT3),さらに先端部(先端CMTMAX=CMTMAX-CMT2,先端CMT1=CMT1-CMT2)で測定された。Multilevel regression modelを用いて,様々なCMT測定値と調節麻痺下屈折または眼軸長との関係を明らかにし,成人不同視の近視の強い目と弱い目の間にCMTの違いがあるかどうかを評価した。

結果:CMTMAX,CMT1,CMT2,CMT3は平均屈折異常と負の相関があり(いずれもp≦0.03),最も強い相関は後部領域(CMT2,CMT3)であった。しかし,先端CMTMAXと先端CMT1は,被験者全体で平均屈折異常と正の相関があった(いずれもp<0.0001)。被験者内では,すなわち不同視眼間を比較した場合,どの領域においてもCMTに統計的に有意な差は見られなかった。

結論:先行研究と同様,不同視を持つ被験者において,毛様体筋の後部領域(CMT2および CMT3)が厚いことは,近視の増加に関連していた。逆に,より(眼軸長が)短く遠視の強い眼は,毛様体筋の前部,先端部(Apical CMTMAXとApical CMT1)が太い傾向にあった。このことから,不同視では毛様体筋が増加することなく,眼球がより長くなり,近視度が高くなることがあることがわかった。

※コメント
不同視がある症例では,毛様体筋が変化し,解剖学的な変化を及ぼす可能性があるようです。

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